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第5章 星空満点空中ツアー

【042】初めての休暇と星空満点空中ツアー4

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「そうなんですか、助けて頂きありがとうございます。あの~ウィーンさん。もう大丈夫ですので、降ろしてもらえますか。そっ、その恥ずかしいので。」

雪娘が頬を赤らめながら僕にお願いしてくる、着物が肌けているのをみて、慌てて前に寄せ合わせみえないようにしていた。うん、これが普通の女の子の反応だよな。と妲己姉さんを見ながら思った。

僕はそっと、雪娘を地面に降ろした。雪娘は、降ろされると、ほどいてあった帯を素早く、自分で撒いて、着物を固定した。一人で着付けが出来るとは見事なものである。

「私は、雪女の雪那(セツナ)と申します。分け合って、このような少女の恰好をしえおりますが、年齢は100をとおに越えております。私は、この白山を統べる物の怪にあたるのですが、近年白山の開発が進み、森林が切り倒され、動物たちの住み家がなくなりました。

それに伴い、人間の技術の発達の増加、並びに人口の爆発的増加によって、二酸化炭素が増え、地球全体が温暖化してきました。その影響で、例年なら、今の暑い初夏の季節においても、ここは涼しく、少し上に登れば名残雪がありました。

でも、だんだんと年月を重ねるごとに名残雪は少なくなっていき、とうとうなくなってしまいました。

私は、雪の物の怪です。雪あっての物の怪でもあります。雪がなくならないように、冬の雪の積もっている間に雪の結晶を洞窟の保冷庫に運んで保存しておりましたが、先月それもなくなり。

段々と弱ってしまい、大人の姿を維持できず、このような子供の姿となりました。」


「なるほど、そういう経緯があって、子供の姿をされているんですね。それで、脇腹の銃創の方は?」

「それはですね。子供の姿になって、最後の名残雪を探しに夕方涼しくなってから、洞窟を出て、森の中を歩いていたのですが、どうも、猪を狩る狩人が間違えて発砲したようで。運悪く、私のお腹にあたってしまったのです。」


「なるほど。それは少し運が悪かったのですね。でも、それなら、当たった獲物を探しに、人間の狩人が君を探しにきたのではないですか?」

「いえ、その時私が叫び声をあげたため、狩人は人にあたったと思い、一目散に逃げて行きました。」

「あ~ひき逃げ事故ではないけども、過失ということで、何らかの刑に施されることを考えて、なかったことにしたのか。ま~それも、他の人間に打たれた人が見つかったら時間の問題だろうに。」

「それでも私は、雪女ですから、見つかるとまずいので、残った力を振り絞って、洞窟までにげたのですが、そこで出血が多すぎて、体力がなくなって動けなくなってしまったのです。

もうダメだと思ったときに、空に一陣の黒い物体が通り過ぎていったので、助けてもらえるかもと思い、最後の力で、声をあげた次第です。」


と雪那(セツナ)は話ながら、傷跡をさする。

「そこで、たまたま運よく、僕たちが空を飛んでいて、たまたま森に降りた時にその叫び声が聞こえて、あなたを雪那(セツナ)さんを見つけることが出来たのか。
なにより間に合ってよかったよ。それで雪那(セツナ)さんはこれからどうするんですか?」


「今まで通り、白山を統べる物の怪として、管理したい所ではあります。ですが、初夏でこの暑さですと、このままいてもすぐに同じような状態になってしまい、おそかれはやかれ、体力は消えてなくなり、私は消えてしまうでしょう。」

その話を聞いていると、妲己姉さんが僕をみて、

「ウィーンさん、あなたなら彼女にしてあげられることがあるんじゃない?」

僕がしてあげられること?僕がして上げられることってなに?傷は塞いだし、体調はほどよくなるまで妲己姉さんが治癒してくれた。あとは、なにができるんだ。

僕がしてることって、ダンジョンマート金沢店のオーナーで、人間相手に接客しているだけだし。彼女には関係ないよね。

もっと深く考えると、現在ダンジョン1階は、砂漠でオアシスが設置されていて、環境は夜だし、冷たくて、涼しくはあるけど、雪はないから、雪女の彼女が来ても仕方がない。

いや、僕としては非常に助かるかも、スタッフをどうしようか迷ってたし、人間を雇うより物の怪を雇った方が僕としては安心できる。でもそれは、僕のメリットであって、彼女のメリットではない。????妲己姉さんは僕に何が出来るっていうんだ?

頭を悩ませて考えていると、見るに見かねた妲己姉さんが雪那(セツナ)さんに質問する。

「雪那(セツナ)さん、あなたは雪があるところにいけば、体調は本調子に戻るのかしらん?」

「ええ、雪があって、冷たく寒い所であれば、私は、体調がよくなります。けど、もう石川には雪のあるところはありませんよ。ここが一番名残雪の多い場所になりますから。」

「ねぇ~~、ウィーンさん。あなたのダンジョンは、1階は砂漠で夜で冷たいのよねん。2階はどうする予定かしらん。たしか、2週間後には、オープンする必要があったと思うのよねん」

なっ、なるほど、それを考えて僕をここへ連れてきたのか。

「ええ、僕のダンジョンマート金沢店は1階は砂漠、2階は色々と考えてましたけど、雪山に設定する予定ですよ。なので、僕の所に来れば、雪が沢山あって、冷たくて、寒いし体調を戻すにはもってこいですよ。」


「ダンジョンですか?そのような所が金沢にあるんですね。ええ、雪があるなら、体調を元に戻せます。雪が降る季節まで、そこで休ませて頂くことはできるでしょうか?

助けて頂きながら、恩返しもせずに唯々不義理なお話ではありますが、雑用でもなんでも致しますので、どうか私をそのダンジョンマートとやらに置いて下さい。」


雪那(セツナ)さんが、血濡れた着物を着乍ら僕に頭を下げてお願いしてくる。


「いえいえ、そんな、僕としては、同じ物の怪を助けるのはやぶさかではありませんし。

それに、人手が不足していましたので、雪那(セツナ)さんみたいな綺麗な女性が手伝ってくれるのであれば、他の恩返しなんていりませんよ。働いてくれた分、お給料もちゃんとお支払いしますし、こちらこそ宜しくお願いします」


「あっ、でも私が離れちゃうと、この白山が、初夏の熱気と合わせて噴火するかもしれません。なので定期的にみにこないと危険です。

う~~~ん、でも私がここにいても出来ることは今のままだとなにもないし、元気になって、せめて冬にならないと。。。。でも、そうすると、今夏に噴火する可能性が高くなるし。。。。。」


「あらん、それなら大丈夫よん。この夏は少なくとも白山が噴火することはないわよん。」


「えっ、どうしてですか、夏はエネルギーが高く、一番エネルギーが臨海に達し噴火しやすい時期なのに。。。。。。えっ、白山の持っていた溢れそうなエネルギーが半分ほどになっている。どうして?雪女の力をもってでしかこれまで、抑えてこれなかったのに。。。。。」

雪那(セツナ)さんが頭を抱え込んで悩んでいる。どうも白山が持つエネルギーがなんらかの原因でなくなってしまったのが不思議なようだ。

「あっ、それももしかしたら妲己姉さんが減らしてくれたのかもしれません。妲己姉さんさっき、霊気を吸収しに行くっていってましたし、その霊気が白山のエネルギーのことなんですね。妲己姉さん?」

「ふふふっ、そうかもしれないわねん。ま~冬までは十分もつわよん。そろそろお話もまとまってきたようねん。わらわは眠くなってきので、中国に帰ることにするわん。バイバイ。ウィーンさん。雪那(セツナ)さん」

といって、地面の自分の影に溶けるように消えた。その後、「荷物は全部中国支社に送ってね~~~ん」と言った声が聞こえてきた。

「えっ、・・・・妲己姉さん自分で中国まで移動したの?嘘っ。どうやって????」

はじめての出来事に僕の頭はクエッションマークで一杯になった。


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