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第7章 アカネとフルーテスとのお茶会編

【男の娘100】反撃開始 その1

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 レディアントの元お父様達がご飯を食べ終わって帰ってきた。いやーみんな満足した様な顔をしているね。キャロットちゃんは少し申し訳なさそうな顔をしている。

 ちなみに私は、ほかほかに茹でた豆を稲藁に包んでもらったものを既に受け取っている。後は時間が経てば、イナワラ菌が増殖して、発酵して、納豆になるんだけどね。ふっふっふっ。

 魔法陣は、リリスちゃんと小人たちに書いてもらったから準備は完了。マッシュ兄さんとの定期連絡で近くまで来ていることは分かっているから後は詳細な場所を知らせれば万事解決する筈。


「どうだいガーネット、私達の話に賛成するかい?」

「プラダさん。そうしたら、キャロットちゃんは解放して、ベジタル家に返してくれる」

「あぁ、私達は、ガーネット、お前さえいてくれれば問題はないよ。キャロットさんには、丁重な扱いをした上でベジタル領に返却しよう」

 プラダは、そう言っているが、事前の小人さん達のリーク情報によると、私を飼い慣らす為には首輪が必要だから、キャロットちゃんを解放する予定はないそうだ。プラダの第二夫人にするか、仲間の貴族の息子達の遊び相手にするって計画らしい。

 よくもまー、そう言う何ともない顔して、平気で嘘をつくものだね。元父親は。私達がキャロットちゃんの救出計画を準備していることを悟られてはいけない。彼らに警戒させてはいけない。自分達の計画が寸分なく順調に進んでいて、大丈夫だと思っていてもらわないとね。油断大敵火がボウボウ。

 レディアント家の皆さんには多いに油断してもらわないと。その為には、アカネは一世一代の役者となってこの舞台を円滑に進めて行かないとね。勿論は最後はハッピーエンドが、好きなんだよ。その後の辛いお話は現実だけにしないとね。

「分かったわ。キャロットちゃんがベジタル領に五体満足で戻れるなら、私はプラダさん達の指示にしたがいますわ。」

 私は床に転がって縛られた状態で、そう言い放った。

「やけに物分かりがいいじゃないか、ガーネット。一人でいた時間が長いと考えが変わるものだね。」

「それで、プラダさん次の婚約者にはいかほどで私を譲り渡すのかしら?ベジタルさんとこの倍?」

「そんなことが気になるのか?まー、譲り渡しの額次第では、ガーネットの向こうさんでの待遇が変わるかも知れんから、気にはなるか。よし、せっかくだから教えてやろう。ベジタルのところなんて比較にならん金額だからよく聞いておけよ。」

 私はごくっと唾を飲み込む。

「なんとベジタルの金額の1000倍だ」

「いっ1000倍!!!」

 私の年収の1000年分?そんなに高いの?でも私の条件を知っているのは、圧縮梱包の空間魔法だけよね。なら、他の希少な属性も使えるなら、この人達ならもっと金額を釣り上げ様とする筈だよね。なら、作戦はこのまま進めよう。

「プラダさん、それは空間魔法の値段ですか?」

「あぁ、その通りだよガーネット。お前の引き渡しの時に使った魔法が是非とも欲しいと言われている方とお会い出来てな。譲り渡してくれるならその金額をポンと提示してくれたよ。」

「空間魔法だけで、その金額ですか?なら今ならもっと上がるかもしれませんね。」

 がかたがかたがかたっと、レディアント家一同が前に傾いた。いやいやいや反応し過ぎでしょう。皆さんもっと落ち着いて下さいって。

「私あれから、ベジタルさんとかで簡易魔法陣で、魔法の適切を測定したんですよね。そしたら、なんと。」

「「「なんと」」」

 おー、皆さん息がピッタリですね。せっかくだから、もう少し焦らしてみましょうか。

「なんと」

「ええぃ、ガーネット、焦らさないで早く続きを話なさい。それで結局どうなったんだね。」

 ダイナもうんうんと、頷いて私の話に耳を傾けている。私の価値が上がると、どうも金額の方も上がって、レディアント家の没落した方々が一気に生活が変わるみだいなんだよね。

「ええっとですね。基本の属性は光らなかったんですの。でもね、空間と時空の適正はあった様ですわ。」

「なっなんと時空の適正まで!!!」

「ほんとですの。お姉様。」

 ダイナとお父様が身を寄せて喜んでいる。ああこれを見ていると微笑ましいね。喜ぶ要員が私の身売りのお話でなければねー。

「ホントよ。ダイナ。前は全く適性がなかったけど、ベジタル領で測定したら新しく魔法の適正があったのよ。私も今どんな魔法に適正があるのか分かってないのよね。」

 とゴロゴロ横に転がりながら語りかける。賢いプラダとダイナの二人なら当然行き着く結論に少しずつ誘導していく。

「お父様、せっかくだからお姉様にどんな適正があるのか見てみませんか?もしかしたら、もっと高値で取引してくれるかも………そしたら、私も………。」

「ダイナ。それは私も丁度考えていたことだ。魔法の測定の失敗は、既にベジタル家との取引の時に失敗してあるからな。これ以上損する訳にはゆかん。徹底的にガーネットの適正を確認するぞ。ここに簡易魔法陣を作成する。ダイナ準備をしてくれ。」

「はい、お父様。喜んで。」

 ダイナがウッキウキな顔で魔法陣を描いていく。目はお金のマークに変わってしまっている。なにはともあれ、計画は今の所順調にだよ。
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