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第3章 ベジタル家と家族

【男の娘020】ガーネットとアカネ

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 しばらく経った後

「あらあら、このこったら泣きつかれて眠っちゃったよ。ま~、それだけ気を張っていたんだろうね。緊張の糸が切れてしまったんだろうね。今日はゆっくり寝させてやろうかね。お休み、茜ちゃん」

 お母様は私を抱っこして、そっと、部屋まで運んで寝かせてくれた。


 目を覚ますと、カーテンの隙間から日がさしていた。あれっ、今って何時なんだろう?私、お母様と朝食の準備していなかったっけ?

 布団を捲ってみると、朝確かに着替えたままである。そうだ、私は朝食の手伝いに言って、お母様に全部話した後、泣いたんだった。その後は覚えてないから、気絶しちゃったのかな。

 もう一度顔を洗ってこよう。お屋敷の中は誰もいない。井戸まで行って顔を洗ってきた。みんなはどこに行ったんだろう?調理場に戻ってみることにした。

 調理場に行くと、お母様が野菜を切って料理をしていた。本当に今何時なんだろう?朝食?昼?それとも夕食の準備なの?

「お母様おはようございます。」

「あら、茜ちゃん。おはよう。今日はもう寝てなくて大丈夫なのかい?」

「えっ、お母様。茜のことは秘密にしてくださいよ。色々と説明がややこしいので、他の人に理解できると思えなくて。」

「あぁ、それなら、心配ないよ。旦那と話して、ガーネットはやめて、アカネにしようって話したのさ。あんたはもう、レディアント家でなく、ベジタル家だろう。

 それにガーネットの名前で空間魔法を使ってしまっているんだろう。そのままの名前だと足がつきやすいだろうからね。この際だし名前を変えたらどうかって相談してたんだよ。


勿論最終的には茜ちゃんの意思を尊重するから。まだ皆にはそのことは話してないからね。」


「そうだったんですね。ご心配をおかけしました。そうですね。では、せっかくなので、アカネでお願いします。ガーネットは茜色の宝石ですから、それを文字って、改名したという形でいければと思います。」

「そうだね。それなら不信に思う人も少ないだろうからね。じゃ~アカネちゃん改めて、ベジタル家へようこそ」

 と言って、お母様はまた、手を広げて迎え入れてくれた。

「お母様改めて、お願いしますわ。」

 私は、お母様の胸の中に飛び込んで行った。すごくあったかくて落ち着くよ。

「あと、ベッドまで運んで頂いたみたいで、重かったでしょう?」

「い~よ~別にそんなこと。それより、アカネちゃん、ちゃんとご飯食べないと。今のままだと軽すぎるよ」

「はいっ、ところで今ってどんな時間帯でしょう?」

「みんなはもう朝食を食べて出かけていったよ。私はお昼の準備をしている所だね。もうすぐ、お昼だけど、そこにアカネちゃんの朝食が残っているから食べてしまいなさい。」

「はい、わかりました。お母様」

 私は調理場で朝準備していた、サラダとスープとパンを食べた。うん、やっぱりどこか味気ない。不味いわけでも美味しくないわけでもない。味が薄いんだ。

「御馳走様でした」

 私は、食べ終わった食器を持って、洗い場まで持って行った。

「アカネちゃん。今日の朝食はどうだった。正直に聞かせてごらん」

 私はお母様に正直にさっき思ったことを話した。

「お母様調味料はどのようになっているのでしょう?お塩をもっと入れたり、胡椒をかけたら、味がよくなると思うのですが、そもそも私の言っている言葉の意味わかりますか?」

「なるほどね。前の世界での記憶と、こちらのガーネットの記憶がごっちゃになっているんだね。ガーネット自信が世間知らずのとこがあったために、アカネちゃんがどうやって確認すればいいかわかってないんだね。」

「そうみたいです。どうも、咄嗟の判断は、前の世界のものをベースに判断しているようで、この世界では少し、判断が鈍くなってます。」


「なら、茜ちゃんは上流貴族のとこでなく、都市部でもなく、辺境のベジタル家に来てよかったと思うよ。ここでは貴族との交流はほとんどしてないからね。

ここなら、少し行動がずれてオカシクても、都市の上流貴族様だからと流してくれるよ。。向こうなら、なぜそんなことをするのか不思議がっていただろうからね。タイミング的にも丁度よかったじゃないか。

アカネちゃんがこっちの世界に来てすぐだったんだから、ボロが出る前に来れてよかったよ。あとは、しばらく、こっちでじっくり暮らして見て、ここの世界の常識を少しずつ覚えていったらいいさ。」

「そうですね。その方が私としては助かります。それでお母様調味料の件ですが...」

「そうだったね。ちゃんとアカネちゃんの言葉で合っているよ。これが塩と胡椒だよ。味見もしてみるかい?」

 お母様が塩と胡椒と書いてあるツボを出してきた。

「お願いします。」

 私は、蓋を開いて、スプーンで、少しだして、手のひらに移し舐めてみた。

「うん、ちゃんと胡椒と塩の味がします。じゃ~なんで味が薄いんでしょう?高価だったりするんですか?」

「ああ、その通りだよ。ツボ一つで、10万エル程するからね。おいそれとは使えないんだよ。」

「10万ですか。それは確かに、あまり使えないかも」

「なので、少し味を引き締める程度に抑えているのさ。私達はその味に慣れているから、それでも美味しいと感じるんだけどね。アカネちゃんの世界ではよく使えたのかい?」

「そうです。私の世界ではこの位の量なら300エルで済みましたので、量は気にせずに使っていました。この金額は、なぜでしょう?他国からの輸送によるコストが高いのでしょうか?それとも生産性の少なさですか?」


「そうね。私も詳しいことまでは知らないけど、塩も胡椒も近くで採れるものではないから、運送費が高いのは事実だね。」

「塩なら、岩塩か海があれば比較的に入手が楽なんですけど。後、砂糖も同じでしょうか?」

「ここは内陸部の辺境だからね。海まで行こうとすると、馬車で10~15日くらいは片道でかかるよ。岩塩は知らないわね。砂糖は残念ながらうちにはないよ。ツボ一つで100万エルはするらしいから、貴族様でも有力な所だけでしか使われてないよ。」

「100万そんなにですか。じゃ~デザートなんかもお菓子ってないんですね。」

「お菓子ね~聞いたところによるとお城ではあるみたいだよ。砂糖でコーティングされた甘いケーキって代物がね。一度は食べてみたいわね。」

 ・
 ・
 ・
 うん、確信した。この世界では調味料が完全に不足している。逆にいえば、この世界の人達はお菓子が甘くて、私達の生活にかかせないものだということをわかっていない。それを知ってもらえれば十分商売になるわ。問題は、甘味の材料をどうやって入手するかよね。しかも大量に安く。
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