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最終話
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数時間後、ノックもせずに第二王子殿下が執務室に飛び込んできた。
「まぁ、どうなさったんですか?」
驚いて立ち上がり、駆け寄ろうとすると、いきなり殿下が私の前にひざまずいた。
「少しずつ距離を縮めるつもりでいたが、そうも言っていられなくなった。双方の両親には話を通してきた。どうか私の婚約者になって欲しい」
「は?」
何で突然そういうことになるの?
「貴女のことを好きなのはうちの家族全員が知っていて、『やっと動き出したのか』と言われた。貴女の両親にも前から伝えてあって、他の見合いを阻止してもらっていた」
あ、やっぱりそうだったんだ。
「突然動き出した理由を聞かれ、このままでは貴女のドレス姿が見られなくなるという本音をうっかり漏らしたら、双方の両親から大笑いされた」
婚約したい理由がそれなら確かに笑うしかないよね。
「そして双方の家族からは、すべては貴女の気持ち次第だと言われた。貴女の父である宰相からは、貴女の仕事に対する熱意も聞いている。今後に関しては出来る限り貴女の希望に添えるようにしよう。すぐに心が決まらないのなら仮のままでもいい。どうかこれから私と歩む道を考えてはもらえないか」
手の甲に口づけがそっと落とされる。
「わかりました、お受けいたしますわ」
ぐだぐだ悩むのは好きじゃないから即断即決。
いつでも真っ直ぐなこの人とならば、ともに歩んでいけると思う。
「ありがとう!」
立ち上がった殿下にぎゅっと抱きしめられた。
「ただ、いくつかお願いがございます」
「な、何だろうか?」
殿下の表情に緊張が走ったように見えた。
「私は出来る限り仕事を続けていきたいと考えております。そして仕事中は動きやすい男装で通したいと思いますが、それでもよろしいですか?」
「わかった。念のため確認するが、仕事を離れればドレス姿ということで間違いないな?」
「それはもちろんです」
私の答えに少しホッとした表情になる殿下。
「それから公私の区別はきっちりつけていただきたいと思います」
「わかった。それは当然だろう」
殿下がうなずく。
「特に男装姿の時にいちゃつかれますと、あらぬ誤解を受けることになりますからお気をつけくださいね」
「き、肝に銘じる」
釘はきっちり刺しておかないとね。
「それでは、もう離れてくださいませんか。先ほどサボられた分の仕事がたまってるんですからね」
「まぁ、どうなさったんですか?」
驚いて立ち上がり、駆け寄ろうとすると、いきなり殿下が私の前にひざまずいた。
「少しずつ距離を縮めるつもりでいたが、そうも言っていられなくなった。双方の両親には話を通してきた。どうか私の婚約者になって欲しい」
「は?」
何で突然そういうことになるの?
「貴女のことを好きなのはうちの家族全員が知っていて、『やっと動き出したのか』と言われた。貴女の両親にも前から伝えてあって、他の見合いを阻止してもらっていた」
あ、やっぱりそうだったんだ。
「突然動き出した理由を聞かれ、このままでは貴女のドレス姿が見られなくなるという本音をうっかり漏らしたら、双方の両親から大笑いされた」
婚約したい理由がそれなら確かに笑うしかないよね。
「そして双方の家族からは、すべては貴女の気持ち次第だと言われた。貴女の父である宰相からは、貴女の仕事に対する熱意も聞いている。今後に関しては出来る限り貴女の希望に添えるようにしよう。すぐに心が決まらないのなら仮のままでもいい。どうかこれから私と歩む道を考えてはもらえないか」
手の甲に口づけがそっと落とされる。
「わかりました、お受けいたしますわ」
ぐだぐだ悩むのは好きじゃないから即断即決。
いつでも真っ直ぐなこの人とならば、ともに歩んでいけると思う。
「ありがとう!」
立ち上がった殿下にぎゅっと抱きしめられた。
「ただ、いくつかお願いがございます」
「な、何だろうか?」
殿下の表情に緊張が走ったように見えた。
「私は出来る限り仕事を続けていきたいと考えております。そして仕事中は動きやすい男装で通したいと思いますが、それでもよろしいですか?」
「わかった。念のため確認するが、仕事を離れればドレス姿ということで間違いないな?」
「それはもちろんです」
私の答えに少しホッとした表情になる殿下。
「それから公私の区別はきっちりつけていただきたいと思います」
「わかった。それは当然だろう」
殿下がうなずく。
「特に男装姿の時にいちゃつかれますと、あらぬ誤解を受けることになりますからお気をつけくださいね」
「き、肝に銘じる」
釘はきっちり刺しておかないとね。
「それでは、もう離れてくださいませんか。先ほどサボられた分の仕事がたまってるんですからね」
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