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最終話 獲物
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勇者の件は謝罪も受け入れて、とりあえず一件落着。
「ところで宰相閣下、約束のご褒美のこと、忘れてはいませんよね?」
「ああ、もちろんだ。私に出来ることなら何でもしよう」
よっしゃ、それなら言っちゃうぞ。
「宰相閣下、実は一目惚れでした。私と結婚してください!」
「は?」
ナイスミドルのあっけに取られた顔もかわいいなぁ。
「だから、私と結婚してくださいって言ってるんですが。確か宰相閣下は独身でしたよね?」
「い、いや、そうなんだが、なぜ私なんだ?君とは親子ほども年が違うし…ほら、勇者パーティの男性陣だっているだろう?彼らも少なからず君のことを好ましく思っているようなんだが」
チッチッチッと人差し指を横に振る。
「私って昔から年上にしか興味ないんですよね。それに宰相閣下と私だったら、年齢差といっても貴族の婚姻じゃめずらしくない程度じゃないですか」
「そうかもしれないが…いや、でも、なぁ…」
とまどう宰相閣下もまた良し、うんうん。思わずニマニマしてしまうわぁ。
でも、あんまり困惑させるのもかわいそうなので、このくらいにしておくか。
「ま、さすがに結婚はちょっと言いすぎたかなと思うんで、これで勘弁してあげますよ」
宰相閣下のネクタイを軽くひっぱって顔を引き寄せ、宰相閣下の唇を奪ってニコッと笑う。
「ごちそうさまでした♪それじゃ、失礼します」
「…待て」
宰相閣下の執務室を出るため、ドアノブに手をかけたところで呼び止められた。
「…その、君の物怖じしない性格と頭の回転の速さ、そして行動力は大変好ましく思っている。勇者パーティの面々からも陰日向なく働いてくれたことも聞いている」
宰相閣下が私の方に歩み寄る。
「私は仕事一辺倒で、こういう時にどうしていいかわからない。だからまずはお互いを知るところから始める、ということでどうだろうか?」
おおっ、意外な好反応。
「わかりました。結婚どうこうはさておき、必要なら宰相閣下の手駒として、いつでも使ってもらってかまいませんよ。宰相閣下が頭脳明晰なのは存じ上げてますけど、時には力仕事が必要になることもあるでしょう?」
「ああ、そうだな。それではこれからよろしく頼む」
抱擁でもキスでもなく、固い握手を交わして宰相閣下の執務室を出た。
宰相閣下は知らない。
私は故郷にいた頃から狩りの獲物を一度たりとも逃したことはない。
そして標的が大物であればあるほど血が騒ぐ。
正直に言って、魔王を目の前にした時よりも今の方がはるかに萌え…じゃなかった、燃えている。
さてと、これからじわじわと追い詰めていくといたしますか。
「ところで宰相閣下、約束のご褒美のこと、忘れてはいませんよね?」
「ああ、もちろんだ。私に出来ることなら何でもしよう」
よっしゃ、それなら言っちゃうぞ。
「宰相閣下、実は一目惚れでした。私と結婚してください!」
「は?」
ナイスミドルのあっけに取られた顔もかわいいなぁ。
「だから、私と結婚してくださいって言ってるんですが。確か宰相閣下は独身でしたよね?」
「い、いや、そうなんだが、なぜ私なんだ?君とは親子ほども年が違うし…ほら、勇者パーティの男性陣だっているだろう?彼らも少なからず君のことを好ましく思っているようなんだが」
チッチッチッと人差し指を横に振る。
「私って昔から年上にしか興味ないんですよね。それに宰相閣下と私だったら、年齢差といっても貴族の婚姻じゃめずらしくない程度じゃないですか」
「そうかもしれないが…いや、でも、なぁ…」
とまどう宰相閣下もまた良し、うんうん。思わずニマニマしてしまうわぁ。
でも、あんまり困惑させるのもかわいそうなので、このくらいにしておくか。
「ま、さすがに結婚はちょっと言いすぎたかなと思うんで、これで勘弁してあげますよ」
宰相閣下のネクタイを軽くひっぱって顔を引き寄せ、宰相閣下の唇を奪ってニコッと笑う。
「ごちそうさまでした♪それじゃ、失礼します」
「…待て」
宰相閣下の執務室を出るため、ドアノブに手をかけたところで呼び止められた。
「…その、君の物怖じしない性格と頭の回転の速さ、そして行動力は大変好ましく思っている。勇者パーティの面々からも陰日向なく働いてくれたことも聞いている」
宰相閣下が私の方に歩み寄る。
「私は仕事一辺倒で、こういう時にどうしていいかわからない。だからまずはお互いを知るところから始める、ということでどうだろうか?」
おおっ、意外な好反応。
「わかりました。結婚どうこうはさておき、必要なら宰相閣下の手駒として、いつでも使ってもらってかまいませんよ。宰相閣下が頭脳明晰なのは存じ上げてますけど、時には力仕事が必要になることもあるでしょう?」
「ああ、そうだな。それではこれからよろしく頼む」
抱擁でもキスでもなく、固い握手を交わして宰相閣下の執務室を出た。
宰相閣下は知らない。
私は故郷にいた頃から狩りの獲物を一度たりとも逃したことはない。
そして標的が大物であればあるほど血が騒ぐ。
正直に言って、魔王を目の前にした時よりも今の方がはるかに萌え…じゃなかった、燃えている。
さてと、これからじわじわと追い詰めていくといたしますか。
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