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殺人鬼・樹已竜悟の殺人鬼退治
4.禁酒法時代のウイスキー
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銀髪ピッグテールの男、樹已竜悟に捕まったボクは今現在、バートゥンプコというお店で酒を飲むことになった。
「バーテンダーはいねぇのか?」
「いないみたいだな」
ボクは初めて入店するはずのこのバーに既視感のようなものを感じていた。
「誰に酒を注文すりゃあいいんだ?」
困惑したような表情を浮かべる殺人鬼。
殺人鬼でも困惑することがあるものなのかと。
何もできぬまましばらくの時間をバーカウンターで過ごしたのちに図鑑のようにこの世の全ての酒があるのではないかと思えるほど充実した圧巻の品揃えに目を奪われた。
そうしてその中の一つのボトルに何か酒の名前ではない文字列が書き込まれていることに気が付く。
「飲みたい、ものを、今いる席から、注文すれば、直ちに、出す」
「んだそりゃあ?」
「って書いてある」
「品書きもねぇってことなのか?」
「飲みたいものってことだから、本当に飲みたいものを頼めば来るのかもしれない」
「んじゃあ、やってみるか」
そう言って恐る恐る竜悟が本当に飲みたいお酒を注文をしてみせた。
「禁酒法時代に裏取引された格別に美味いウイスキーのロックをくれ」
確かに飲みたいものとは書いてあるものの、なんとも無理難題を絵に描いたような、文字に起こしたような、卑劣な手口であった。
何か反応があったわけでもなく、数分の時間を置いてバーカウンターの上をロックグラスがカーリングのストーンのように滑り込んできたと思いきや竜悟の目の前で動きを止めた。
「こういうことか」
「そういうことみてぇだな」
得体の知れない酒を前にして竜悟の声に興奮の色合いが滲み出る。染み出る。
竜悟はロックグラスを掴み、その中身をクッと大きく口の中へと流し込んだ。ゴクリというこれ以上ない、それ以上ない、喉を鳴らすという表現において最もわかりやすく象徴的な音を立てて禁酒法時代のウイスキーを鼻、口、喉、食道、胃という酒が通り抜けた場所全てを使って味わうと、一時的に竜悟は項垂れた。
別物だったのだろうか。別物だったのだろうかと言ってみたものの、禁酒法時代にこの殺人鬼が生を受けているわけがなく、はずがなく、別物かどうかなど知りようもなければ、確かめようもない。
項垂れたと思われた次の瞬間、竜悟は今度はボクを殺そうとした時と同じように素早い動きで天を仰いだ。そしてこういった。
「これだ! この味だ! うめぇえ!」
「………」
ボクは顔には出ていないと思うが、唖然としていた。何故これだとわかるのだと。
この男のわけがわからない一連のやり取りを見た上でというのか、見せられた上で、何歳なんだという疑問を生み出すわけなのだが、それよりもさらにボクはこの殺人鬼のことを『ボクを殺そうとして、真犯人を探し出そうとしている殺人鬼』ということ以外、何も知りはしないことが頭をよぎった。
「お前もなんか飲めよ」
「ボク?」
「お前以外に誰がいんだよ? ここはオレ様の奢りだ」
「随分と景気がいいんだな」
「殺人鬼ってのはいつでも景気がいいもんだぜ」
「そうなのか?」
「そうさ。殺人鬼なんては頭の景気が良くなきゃ勤まんねぇよ」
「勤めてるのかよ」
「勤めてるんだよ。ほら、さっさと飲め。さっさと頼んで飲み始めねぇと夜が明けちまうぜ?」
「………」
ふと我に返る。
何故ボクはボクのことを殺そうとした殺人鬼と夜明けを共にしなければならないのかと。
「じゃあ、ボクはチョコレートリキュールを一つ」
「オレ様はおかわりだ!」
ボクの手元のチョコレートリキュールを見て、竜悟。
「お前って甘党なのか?」
「いや、そういうわけじゃない」
「んじゃあ、チョコレートが好きなのか?」
「うん」
「仕方ねぇな。今度オレ様が作ってきてやるよ」
「いらない」
「遠慮すんなって」
「遠慮するだろ。お前はボクを殺そうとしたんだぞ」
「ああ、そういえばそうだったな。まぁ安心していいぜ?」
「何が安心できるって言うんだ?」
「丫桜類歌って言ったよなお前。覚えたぜ? とりあえず、殺すのはやめだ。また今度、日を改めて殺してやることにした」
「喜んでいいのかわからんぞそれ」
「執行猶予ってやつだぜ。オレ様がお前様をぶっ殺すまではしばらく人生を悔いなく楽しむこったな」
「なんだよそれ……」
ボクはそう呟いて、こう呟いて、チョコレートリキュールの甘さに逃げ込むのだった。
ここらで夜が明ける雰囲気であったのだが、ボクはどうしても気になったことを思い出した。思い出してしまった。
「逮捕されたんじゃないのか?」
「ああ、あったなそんなことも」
竜悟は懐かしむような顔をしてみせたが、全て今日の出来事である。
「まぁ気にすんなよ」
「気にするだろう。どうやって逃げてきたんだ?」
ボクはどうやって逃げてきたんだと口にしてすぐに思い当たることになった。それはこの目の前の男がそもそも何者なのかということを考えれば真っ先に浮かんでもおかしくない単純で、簡単で、至ってシンプルな答えだった。
「まさかお前」
「そう怖い顔すんなよ。オレ様は殺人鬼なんだぜ? 相手が警察だからって殺さないと思ったのか? 殺すぜオレ様は。オレ様が殺すと決めた相手はそれが誰であろうと必ず殺す」
スーパーマーケットで樹已竜悟と遭遇してしまった時、この男が返り血を浴びていたのは警察の返り血であったということのようであった。
夜が明け、ボクと竜悟がカプセルホテルから目を覚ました。前置きしておく別に同じ部屋ではない。
何故ボクがアパートではなく、ホテルにわざわざ宿泊したかなかという点に関しては察してほしいところである。
殺人鬼に、ただの殺人鬼ならばまだしも、ただの殺人鬼でも嫌であるが、ボクのことを殺そうとしている殺人鬼に自らが住まう現住所をホイホイと教えたくなかったのである。なので、それなので、これなので、ボクは仕方なく、仕様がなく、どうしようもなく、ホテル代を支払いカプセルホテルに宿泊したという運びであった。
「んじゃあ、いくか」
「行くってどこにだ?」
「どこって決まってんだろ」
「決まってるのか」
「決まってんだよ、オレ様に濡れ衣を着せようとしている奴を探し出してぶっ殺してやんだよ」
「まだそんなこと言ってたのか」
「まぁ別にいいんだけどよ。ただオレ様に濡れ衣を着せようとした奴がどんな奴なのか気になるのは本当だぜ? 殺すかどうかは別としてな」
昨日までの血の気の多い血気盛んな表情とは打って変わって、穏やかな表情でそう言った。逆に怖い。
「早く行こうぜ」
ボクは言われるがまま、殺人鬼の背中を追った。
それからというもの、これからというもの、あれからというもの、ボクは殺人という罪を犯しそうな怪しい人物がそもそもこの男以外にいたのか警察官が刺されていた現場付近で聞き込み調査をいかにも怪しい奴を連れながら行うことになった。どちらかというとボクたちの方が怪しい分類であることに違いなかった。間違いなかった。
自警団活動まがいなことをしていると、縁郷もまた部下を連れて聞き込み調査を行っている姿を目撃することなった。その男は、この男は、あの男は、ボクが今一番会いたくない男かもしれなかった。
「おい、お前」
「なんだ? 初対面で失礼な奴だな」
「この辺りで怪しい奴を見なかったか?」
ボクが縁郷に戸惑っていると、そんなボクをよそに竜悟が縁郷に聞き込みを開始した。
殺人鬼が刑事に聞き込みをするというのは一体全体何が起きればそのようなことになるのやらとボクは開いた口が塞がらない顔ができなかった。
「怪しい奴か」
顎をさすりながら少し考えるような素振りを、身振りを、手振りを、見せた縁郷であったが、我に返ったのであろう。
「お前が一番怪しいだろ」
と、当たり前の返答を竜悟に返してみせた。
返答を受けて竜悟は唖然とした顔を見せる。何故その返答を念頭に入れていないのか。
どう考えても刑事に逆事情聴取を行う殺人鬼の方が怪しいのは当たり前のことであった。
「ああん? オレ様のどこが怪しいってんだよ?」
そういうところだよと。
「どこが? どこからどう見ても怪しいだろ。よく見りゃあお前さんのその特徴、銀の髪の男って警察官を殺害して逃走した男だな」
「あっ、やっべ」
この男は自分が追われる身になっていることを忘れていたのだろうか。
「やっべぇけど、ピンチはチャンスってか!?」
「何言ってやがる?」
「お前に構ってる暇はないぜ!」
どこからともなくナイフを取り出した竜悟は間髪入れることなく縁郷に斬りかかろうとした。ボクは縁郷が回避できないであろうことを察知し、音速で縁郷の前に出ると縁郷の身代わりに右斜め方向に一閃を食らうことになった。
「昨日のニート!?」
助けてあげたこの場面でその一言は最悪過ぎると思った。
「斬った感触がない。何か仕込んでるな?」
そう言いながらも、この混乱に乗じて樹已竜悟はその場から逃走し、どこかへと走り去っていった。その様子はしかしながら、逃走しているというよりも誰かを追いかけているように見えた。
縁郷は竜悟を目で追いながらも、追いかけることはせず、ボクの介抱する。
「おい、大丈夫か!」
「はい、なんとか」
「大丈夫じゃないだろ! すぐに救急車を読んでやるから」
「いえ、本当に大丈夫です」
すると、そうすると、こうすると、ボクの懐から四冊の分厚い少年誌が真っ二つにされた状態で落下した。
「お前、これって?」
「最近何かと物騒ですから、装備しておいたんですよ」
「へっへ、見直したぞニート」
「ニートって呼ぶのやめてもらっていいですか?」
「ニートは何をしてもニートだろ」
確かにニートは何をしようともニートであるが、ニートが就職した場合はニートではなくなると思うのだが。というよりも、そもそもボクはニートでもない。
「それよりすまないな。助かった」
「いえ、間に合ってよかったです」
「それよりも、ボクよりも、あの男を追った方がいいんじゃないですか?」
「お前は大丈夫なのか?」
「はい、少しダメージがありますが、休憩すれば大丈夫です」
「そうか、なら、俺はあの男を追わせてもらう」
「はい」
そして必ずやボクに迷惑をかけてくる、謎に絡んでくる、危険極まりない殺人鬼を再び逮捕してもらいたいところである。
縁郷が先程、竜悟が走っていった方向と同じ方へ向けて走り出した。縁郷と一緒にいた部下も遅れて縁郷の後を追った。
その場に、この場に、片膝ついたボクだけが取り残される。
「音速、、あと二回か……」
ボクは音速で竜悟たちを追いかけるのではなく、先回りすることにした。回り込むことにした。
回り込もうとする最中で必死に逃げる男二人組と追走する竜悟と、さらにそれを追いかける縁郷と部下の姿を順々に、順繰りと確認することができた。
竜悟がナイフを一本、男に向かって投げつけたが、男は避けるまでもなくナイフは服をかすめて命中することはなかった。
しかし、だがしかし、突如として、突然にして、唐突に、竜悟はナイフが外れるのと同時に男二人組を追跡する足を止めた。
気になったボクは自ら竜悟の前に姿を現すことになってしまった。関わりたくないと言っているのにも関わらず、ボクは何をやっているのやらと、自分の行いに溜め息が出る。
「おう、来たか」
竜悟は何かを拾い上げた。
「それは?」
「これはあれだろ? 財布って奴だろどう見ても」
「誰の?」
「もちろん、真犯人のだよ」
「何故わかるんだ?」
「犯人は現場に戻ってくるもんだ。あの馬鹿二人も気になって現場を見に来てやがったのさ。そして多分、オレ様が捕まる瞬間をこの目で見たかったはずだ。だから、危険を冒してでもオレ様に接近する必要があった。だが、オレ様から逃げ切れるわけがねぇよな」
ナイフは外れたのではなく、わざと外れたように見せかけ、最初から本命の財布の入ったポケットを狙っていたのだった。
そのまま、このまま、あのまま、どのまま、竜悟が財布を漁ると大学の学生証が某クエストのように入手できた。
「身分証が手に入ったぜ。さて、聞き込み再開だぜ」
「まだやるのかよ」
「まだやるに決まってんだろ。あの馬鹿共に本当の殺人鬼がどんなもんか教えてやるんだよ」
そんなこんなで、こんなそんなで、あんなこんなで、こんなあんなで、どんなそんなで、そんなどんなで、ボクと殺人鬼は男二人組が在籍しているであろう、少なくとも一人は在籍しているであろう大学で聞き込みを開始することになった。
「おい、お前」
竜悟が道行く大学生を無理矢理肩を掴んで引き留める。
「木輪端って知ってるか?」
学生証から真犯人の男の名前が木輪端ということが判明した。発覚した。
大学生は木輪端という名前を聞くとあからさまに、明らかに、わかりやすく嫌な顔を見せてくれた。
「木輪端さんですか、あの人がどうかしたんですか?」
「ちょっと用があってな。会いたいんだが、どこにいるか知らねぇかな?」
「どこかって言われるとよくわからないですね。最近は大学にも来てないみたいですし」
「木輪端はどんな奴なんだ? 例えば良い奴とか、悪い奴とか」
今度はボクが大学生に質問を投げかけた。
「木輪端さんはそうですね、悪い奴、、ですかね。悪い噂はよく聞きますし。グレてるっていうかなんというか。それにも僕自身もイジメられてて」
木輪端の話をする大学生はとにかく木輪端のことが嫌いなのだろう。終始、不機嫌な顔をして受け答えをしていた。
「あ、でも、なんとなく場所ならわかるかも」
「おっ、いいね! 教えろ」
「確か、よく夜の店に出入りしてるらしくて、この間、馬鹿みたいに大きな声でそれを自慢してましたね。確かお店の名前は『バートゥンプコ』だったと思いました」
ボクと竜悟は顔を見合わせた。
『バートゥンプコ』という名前に聞き覚えどころか、昨日入店した店に目当ての男が、標的の男が、顔を出すということだったからだ。
「そりゃあ、ありがたい情報だったぜ。礼をしないとな」
そう言うと竜悟は財布を取り出し、大学生に一万円札を差し出す。あまりにも意図の見えない竜悟の行動に戸惑いを見せる大学生。
「いや、受け取れないですよ……」
「構わねぇよ。お前の様子を見てると木輪端って馬鹿者がどれだけ馬鹿者なのかよくわかるからよ。きっと名前も出したくねぇんだろ? だから、こりゃあ、謝礼金だ。嫌な思いした分、これで美味いもんでも食って機嫌直してくれ。悪かったな」
いつになく真剣な顔で大学生にそう告げる竜悟。
このような、そのような、あのような、どのような、姿を見ていると本当にこの男が殺人鬼なのかと疑わしく思える。けれど、だけれど、それだけれど、この男は間違いなく、紛うことなく、殺人鬼である。ボクを殺そうとした殺人鬼なのである。
「そもそも聞き込みをしなくても、財布に免許証もあったんだから、そっちで家に行った方が早かったんじゃないのか?」
ボクが竜悟に尋ねると、竜悟は『今更、当たり前なこと言ってんじゃねぇ』とでも言うのかと思われたが、そういうことでもなかった。こういうことでもなかった。
「ああん? 家に行っても面白くねぇだろ。美味い酒ぐらい最期に飲ませてやろうぜ」
そうして、こうして、どうして、竜悟のバーに張り込むという提案により木輪端が現れるまでボクと竜悟は飲み明かすことになるかと思われたが、幸いにも木輪端はすぐに姿を現してくれた。
「おっと!」
酒に酔っ払った大学生の男が、フラフラとおぼつかない足取りのまま、竜悟に体当たりをかましてしまった。その男こそが木輪端であった。
「ってえぇな」
怒りの演技をする竜悟だが、木輪端を発見した喜びからか声色に喜びが滲み出てしまっている。染み出てしまっている。溢れ出てしまっている。
「さーせーん」
木輪端は全く悪びれる様子もなく、反省している様子も見せず、その場凌ぎの謝罪を口軽く吐き捨てた。
「お前飲み過ぎだって。マジでウケる」
竜悟に木輪端と飲んでいたもう一人の男が腹を抱えて笑っている。木輪端と一緒に逃走している男であった。
「せっかく人が気持ちよく酒を飲んでんのによお。全くさらにオレ様を気持ちよくしてくれるってんだから、今日はいい夜だぜ」
「待て、殺すな」
ボクは竜悟の手を掴む。
それを振り払って凄む竜悟。
「オレ様に指図するんじゃねぇよ。オレ様が殺すと決めたなら相手が誰であれ殺すんだよ。お前もいつかは最高にいい感じに殺してやるから期待してな丫桜類歌」
そう言い残して、竜悟の正体に気付き逃げるように店を出て行った男二人組の後を追った。
「ようよう、さっきはいい感じにかましてくれちゃって感謝するぜ?」
「樹已竜悟!」
「おうおう、知っててくれて嬉しいぜ。握手したいか? オレ様と」
「はあ? な、何言ってんだよ」
「ああ、悪い。握手する手がねぇのか」
木輪端の両の手から血飛沫が上がった。
痛みからか、恐怖からか、それともどちらともか、木輪端の叫び声が静まり返った、静寂に包まれた、夜に響き渡る。
「お前に生きる価値はない。さっさと死ぬのが世のためだぜ」
「俺が何したって言うんだよ!」
「おいおい、それはこの期に及んでなしだろ。たっぷり殺ったろ? オレ様のフリしてよ? それに何やら、大学でも色々やってるみてぇじゃねぇの? イジメとかさ。殺人にしろ、イジメにしろ、お前の行いに価値はねぇだろが」
「だ、だったら、お前も殺人鬼なんだから価値ないだろ!」
「ああん? 殺人鬼と鼻垂れ小便小僧の殺人を一緒にすんじゃねぇよ。お前に今から殺人鬼ってやつを教えてやるよ」
その後、ニュースにてバーにいた連続無差別殺人事件の加害者である大学生の男二人が死亡したと報じられることになったことは言うまでもないが、言わなければわからないことではあるのでこの場を借りて報告させてもらうとしよう。
それから現在、どこかの大学病院にて---
金色の髪に緑色に光る青い瞳の女性が病室から窓の外を眺めていた。
「よお、エリル。調子はどうだ?」
「あら、竜悟くん。今日はとても調子が良いよ」
「そっか、そりゃあ、よかった」
「どうかした?」
「いや、なんでもない。今日はエリルにお見舞い持って来たんだぜ?」
「今日はっていつも持ってきてくれるのに」
「今日は今日で特別なんだぜ?」
「じゃあ、楽しみ」
エリルは儚くも優しい笑顔を竜悟に向けるのだった。
「バーテンダーはいねぇのか?」
「いないみたいだな」
ボクは初めて入店するはずのこのバーに既視感のようなものを感じていた。
「誰に酒を注文すりゃあいいんだ?」
困惑したような表情を浮かべる殺人鬼。
殺人鬼でも困惑することがあるものなのかと。
何もできぬまましばらくの時間をバーカウンターで過ごしたのちに図鑑のようにこの世の全ての酒があるのではないかと思えるほど充実した圧巻の品揃えに目を奪われた。
そうしてその中の一つのボトルに何か酒の名前ではない文字列が書き込まれていることに気が付く。
「飲みたい、ものを、今いる席から、注文すれば、直ちに、出す」
「んだそりゃあ?」
「って書いてある」
「品書きもねぇってことなのか?」
「飲みたいものってことだから、本当に飲みたいものを頼めば来るのかもしれない」
「んじゃあ、やってみるか」
そう言って恐る恐る竜悟が本当に飲みたいお酒を注文をしてみせた。
「禁酒法時代に裏取引された格別に美味いウイスキーのロックをくれ」
確かに飲みたいものとは書いてあるものの、なんとも無理難題を絵に描いたような、文字に起こしたような、卑劣な手口であった。
何か反応があったわけでもなく、数分の時間を置いてバーカウンターの上をロックグラスがカーリングのストーンのように滑り込んできたと思いきや竜悟の目の前で動きを止めた。
「こういうことか」
「そういうことみてぇだな」
得体の知れない酒を前にして竜悟の声に興奮の色合いが滲み出る。染み出る。
竜悟はロックグラスを掴み、その中身をクッと大きく口の中へと流し込んだ。ゴクリというこれ以上ない、それ以上ない、喉を鳴らすという表現において最もわかりやすく象徴的な音を立てて禁酒法時代のウイスキーを鼻、口、喉、食道、胃という酒が通り抜けた場所全てを使って味わうと、一時的に竜悟は項垂れた。
別物だったのだろうか。別物だったのだろうかと言ってみたものの、禁酒法時代にこの殺人鬼が生を受けているわけがなく、はずがなく、別物かどうかなど知りようもなければ、確かめようもない。
項垂れたと思われた次の瞬間、竜悟は今度はボクを殺そうとした時と同じように素早い動きで天を仰いだ。そしてこういった。
「これだ! この味だ! うめぇえ!」
「………」
ボクは顔には出ていないと思うが、唖然としていた。何故これだとわかるのだと。
この男のわけがわからない一連のやり取りを見た上でというのか、見せられた上で、何歳なんだという疑問を生み出すわけなのだが、それよりもさらにボクはこの殺人鬼のことを『ボクを殺そうとして、真犯人を探し出そうとしている殺人鬼』ということ以外、何も知りはしないことが頭をよぎった。
「お前もなんか飲めよ」
「ボク?」
「お前以外に誰がいんだよ? ここはオレ様の奢りだ」
「随分と景気がいいんだな」
「殺人鬼ってのはいつでも景気がいいもんだぜ」
「そうなのか?」
「そうさ。殺人鬼なんては頭の景気が良くなきゃ勤まんねぇよ」
「勤めてるのかよ」
「勤めてるんだよ。ほら、さっさと飲め。さっさと頼んで飲み始めねぇと夜が明けちまうぜ?」
「………」
ふと我に返る。
何故ボクはボクのことを殺そうとした殺人鬼と夜明けを共にしなければならないのかと。
「じゃあ、ボクはチョコレートリキュールを一つ」
「オレ様はおかわりだ!」
ボクの手元のチョコレートリキュールを見て、竜悟。
「お前って甘党なのか?」
「いや、そういうわけじゃない」
「んじゃあ、チョコレートが好きなのか?」
「うん」
「仕方ねぇな。今度オレ様が作ってきてやるよ」
「いらない」
「遠慮すんなって」
「遠慮するだろ。お前はボクを殺そうとしたんだぞ」
「ああ、そういえばそうだったな。まぁ安心していいぜ?」
「何が安心できるって言うんだ?」
「丫桜類歌って言ったよなお前。覚えたぜ? とりあえず、殺すのはやめだ。また今度、日を改めて殺してやることにした」
「喜んでいいのかわからんぞそれ」
「執行猶予ってやつだぜ。オレ様がお前様をぶっ殺すまではしばらく人生を悔いなく楽しむこったな」
「なんだよそれ……」
ボクはそう呟いて、こう呟いて、チョコレートリキュールの甘さに逃げ込むのだった。
ここらで夜が明ける雰囲気であったのだが、ボクはどうしても気になったことを思い出した。思い出してしまった。
「逮捕されたんじゃないのか?」
「ああ、あったなそんなことも」
竜悟は懐かしむような顔をしてみせたが、全て今日の出来事である。
「まぁ気にすんなよ」
「気にするだろう。どうやって逃げてきたんだ?」
ボクはどうやって逃げてきたんだと口にしてすぐに思い当たることになった。それはこの目の前の男がそもそも何者なのかということを考えれば真っ先に浮かんでもおかしくない単純で、簡単で、至ってシンプルな答えだった。
「まさかお前」
「そう怖い顔すんなよ。オレ様は殺人鬼なんだぜ? 相手が警察だからって殺さないと思ったのか? 殺すぜオレ様は。オレ様が殺すと決めた相手はそれが誰であろうと必ず殺す」
スーパーマーケットで樹已竜悟と遭遇してしまった時、この男が返り血を浴びていたのは警察の返り血であったということのようであった。
夜が明け、ボクと竜悟がカプセルホテルから目を覚ました。前置きしておく別に同じ部屋ではない。
何故ボクがアパートではなく、ホテルにわざわざ宿泊したかなかという点に関しては察してほしいところである。
殺人鬼に、ただの殺人鬼ならばまだしも、ただの殺人鬼でも嫌であるが、ボクのことを殺そうとしている殺人鬼に自らが住まう現住所をホイホイと教えたくなかったのである。なので、それなので、これなので、ボクは仕方なく、仕様がなく、どうしようもなく、ホテル代を支払いカプセルホテルに宿泊したという運びであった。
「んじゃあ、いくか」
「行くってどこにだ?」
「どこって決まってんだろ」
「決まってるのか」
「決まってんだよ、オレ様に濡れ衣を着せようとしている奴を探し出してぶっ殺してやんだよ」
「まだそんなこと言ってたのか」
「まぁ別にいいんだけどよ。ただオレ様に濡れ衣を着せようとした奴がどんな奴なのか気になるのは本当だぜ? 殺すかどうかは別としてな」
昨日までの血の気の多い血気盛んな表情とは打って変わって、穏やかな表情でそう言った。逆に怖い。
「早く行こうぜ」
ボクは言われるがまま、殺人鬼の背中を追った。
それからというもの、これからというもの、あれからというもの、ボクは殺人という罪を犯しそうな怪しい人物がそもそもこの男以外にいたのか警察官が刺されていた現場付近で聞き込み調査をいかにも怪しい奴を連れながら行うことになった。どちらかというとボクたちの方が怪しい分類であることに違いなかった。間違いなかった。
自警団活動まがいなことをしていると、縁郷もまた部下を連れて聞き込み調査を行っている姿を目撃することなった。その男は、この男は、あの男は、ボクが今一番会いたくない男かもしれなかった。
「おい、お前」
「なんだ? 初対面で失礼な奴だな」
「この辺りで怪しい奴を見なかったか?」
ボクが縁郷に戸惑っていると、そんなボクをよそに竜悟が縁郷に聞き込みを開始した。
殺人鬼が刑事に聞き込みをするというのは一体全体何が起きればそのようなことになるのやらとボクは開いた口が塞がらない顔ができなかった。
「怪しい奴か」
顎をさすりながら少し考えるような素振りを、身振りを、手振りを、見せた縁郷であったが、我に返ったのであろう。
「お前が一番怪しいだろ」
と、当たり前の返答を竜悟に返してみせた。
返答を受けて竜悟は唖然とした顔を見せる。何故その返答を念頭に入れていないのか。
どう考えても刑事に逆事情聴取を行う殺人鬼の方が怪しいのは当たり前のことであった。
「ああん? オレ様のどこが怪しいってんだよ?」
そういうところだよと。
「どこが? どこからどう見ても怪しいだろ。よく見りゃあお前さんのその特徴、銀の髪の男って警察官を殺害して逃走した男だな」
「あっ、やっべ」
この男は自分が追われる身になっていることを忘れていたのだろうか。
「やっべぇけど、ピンチはチャンスってか!?」
「何言ってやがる?」
「お前に構ってる暇はないぜ!」
どこからともなくナイフを取り出した竜悟は間髪入れることなく縁郷に斬りかかろうとした。ボクは縁郷が回避できないであろうことを察知し、音速で縁郷の前に出ると縁郷の身代わりに右斜め方向に一閃を食らうことになった。
「昨日のニート!?」
助けてあげたこの場面でその一言は最悪過ぎると思った。
「斬った感触がない。何か仕込んでるな?」
そう言いながらも、この混乱に乗じて樹已竜悟はその場から逃走し、どこかへと走り去っていった。その様子はしかしながら、逃走しているというよりも誰かを追いかけているように見えた。
縁郷は竜悟を目で追いながらも、追いかけることはせず、ボクの介抱する。
「おい、大丈夫か!」
「はい、なんとか」
「大丈夫じゃないだろ! すぐに救急車を読んでやるから」
「いえ、本当に大丈夫です」
すると、そうすると、こうすると、ボクの懐から四冊の分厚い少年誌が真っ二つにされた状態で落下した。
「お前、これって?」
「最近何かと物騒ですから、装備しておいたんですよ」
「へっへ、見直したぞニート」
「ニートって呼ぶのやめてもらっていいですか?」
「ニートは何をしてもニートだろ」
確かにニートは何をしようともニートであるが、ニートが就職した場合はニートではなくなると思うのだが。というよりも、そもそもボクはニートでもない。
「それよりすまないな。助かった」
「いえ、間に合ってよかったです」
「それよりも、ボクよりも、あの男を追った方がいいんじゃないですか?」
「お前は大丈夫なのか?」
「はい、少しダメージがありますが、休憩すれば大丈夫です」
「そうか、なら、俺はあの男を追わせてもらう」
「はい」
そして必ずやボクに迷惑をかけてくる、謎に絡んでくる、危険極まりない殺人鬼を再び逮捕してもらいたいところである。
縁郷が先程、竜悟が走っていった方向と同じ方へ向けて走り出した。縁郷と一緒にいた部下も遅れて縁郷の後を追った。
その場に、この場に、片膝ついたボクだけが取り残される。
「音速、、あと二回か……」
ボクは音速で竜悟たちを追いかけるのではなく、先回りすることにした。回り込むことにした。
回り込もうとする最中で必死に逃げる男二人組と追走する竜悟と、さらにそれを追いかける縁郷と部下の姿を順々に、順繰りと確認することができた。
竜悟がナイフを一本、男に向かって投げつけたが、男は避けるまでもなくナイフは服をかすめて命中することはなかった。
しかし、だがしかし、突如として、突然にして、唐突に、竜悟はナイフが外れるのと同時に男二人組を追跡する足を止めた。
気になったボクは自ら竜悟の前に姿を現すことになってしまった。関わりたくないと言っているのにも関わらず、ボクは何をやっているのやらと、自分の行いに溜め息が出る。
「おう、来たか」
竜悟は何かを拾い上げた。
「それは?」
「これはあれだろ? 財布って奴だろどう見ても」
「誰の?」
「もちろん、真犯人のだよ」
「何故わかるんだ?」
「犯人は現場に戻ってくるもんだ。あの馬鹿二人も気になって現場を見に来てやがったのさ。そして多分、オレ様が捕まる瞬間をこの目で見たかったはずだ。だから、危険を冒してでもオレ様に接近する必要があった。だが、オレ様から逃げ切れるわけがねぇよな」
ナイフは外れたのではなく、わざと外れたように見せかけ、最初から本命の財布の入ったポケットを狙っていたのだった。
そのまま、このまま、あのまま、どのまま、竜悟が財布を漁ると大学の学生証が某クエストのように入手できた。
「身分証が手に入ったぜ。さて、聞き込み再開だぜ」
「まだやるのかよ」
「まだやるに決まってんだろ。あの馬鹿共に本当の殺人鬼がどんなもんか教えてやるんだよ」
そんなこんなで、こんなそんなで、あんなこんなで、こんなあんなで、どんなそんなで、そんなどんなで、ボクと殺人鬼は男二人組が在籍しているであろう、少なくとも一人は在籍しているであろう大学で聞き込みを開始することになった。
「おい、お前」
竜悟が道行く大学生を無理矢理肩を掴んで引き留める。
「木輪端って知ってるか?」
学生証から真犯人の男の名前が木輪端ということが判明した。発覚した。
大学生は木輪端という名前を聞くとあからさまに、明らかに、わかりやすく嫌な顔を見せてくれた。
「木輪端さんですか、あの人がどうかしたんですか?」
「ちょっと用があってな。会いたいんだが、どこにいるか知らねぇかな?」
「どこかって言われるとよくわからないですね。最近は大学にも来てないみたいですし」
「木輪端はどんな奴なんだ? 例えば良い奴とか、悪い奴とか」
今度はボクが大学生に質問を投げかけた。
「木輪端さんはそうですね、悪い奴、、ですかね。悪い噂はよく聞きますし。グレてるっていうかなんというか。それにも僕自身もイジメられてて」
木輪端の話をする大学生はとにかく木輪端のことが嫌いなのだろう。終始、不機嫌な顔をして受け答えをしていた。
「あ、でも、なんとなく場所ならわかるかも」
「おっ、いいね! 教えろ」
「確か、よく夜の店に出入りしてるらしくて、この間、馬鹿みたいに大きな声でそれを自慢してましたね。確かお店の名前は『バートゥンプコ』だったと思いました」
ボクと竜悟は顔を見合わせた。
『バートゥンプコ』という名前に聞き覚えどころか、昨日入店した店に目当ての男が、標的の男が、顔を出すということだったからだ。
「そりゃあ、ありがたい情報だったぜ。礼をしないとな」
そう言うと竜悟は財布を取り出し、大学生に一万円札を差し出す。あまりにも意図の見えない竜悟の行動に戸惑いを見せる大学生。
「いや、受け取れないですよ……」
「構わねぇよ。お前の様子を見てると木輪端って馬鹿者がどれだけ馬鹿者なのかよくわかるからよ。きっと名前も出したくねぇんだろ? だから、こりゃあ、謝礼金だ。嫌な思いした分、これで美味いもんでも食って機嫌直してくれ。悪かったな」
いつになく真剣な顔で大学生にそう告げる竜悟。
このような、そのような、あのような、どのような、姿を見ていると本当にこの男が殺人鬼なのかと疑わしく思える。けれど、だけれど、それだけれど、この男は間違いなく、紛うことなく、殺人鬼である。ボクを殺そうとした殺人鬼なのである。
「そもそも聞き込みをしなくても、財布に免許証もあったんだから、そっちで家に行った方が早かったんじゃないのか?」
ボクが竜悟に尋ねると、竜悟は『今更、当たり前なこと言ってんじゃねぇ』とでも言うのかと思われたが、そういうことでもなかった。こういうことでもなかった。
「ああん? 家に行っても面白くねぇだろ。美味い酒ぐらい最期に飲ませてやろうぜ」
そうして、こうして、どうして、竜悟のバーに張り込むという提案により木輪端が現れるまでボクと竜悟は飲み明かすことになるかと思われたが、幸いにも木輪端はすぐに姿を現してくれた。
「おっと!」
酒に酔っ払った大学生の男が、フラフラとおぼつかない足取りのまま、竜悟に体当たりをかましてしまった。その男こそが木輪端であった。
「ってえぇな」
怒りの演技をする竜悟だが、木輪端を発見した喜びからか声色に喜びが滲み出てしまっている。染み出てしまっている。溢れ出てしまっている。
「さーせーん」
木輪端は全く悪びれる様子もなく、反省している様子も見せず、その場凌ぎの謝罪を口軽く吐き捨てた。
「お前飲み過ぎだって。マジでウケる」
竜悟に木輪端と飲んでいたもう一人の男が腹を抱えて笑っている。木輪端と一緒に逃走している男であった。
「せっかく人が気持ちよく酒を飲んでんのによお。全くさらにオレ様を気持ちよくしてくれるってんだから、今日はいい夜だぜ」
「待て、殺すな」
ボクは竜悟の手を掴む。
それを振り払って凄む竜悟。
「オレ様に指図するんじゃねぇよ。オレ様が殺すと決めたなら相手が誰であれ殺すんだよ。お前もいつかは最高にいい感じに殺してやるから期待してな丫桜類歌」
そう言い残して、竜悟の正体に気付き逃げるように店を出て行った男二人組の後を追った。
「ようよう、さっきはいい感じにかましてくれちゃって感謝するぜ?」
「樹已竜悟!」
「おうおう、知っててくれて嬉しいぜ。握手したいか? オレ様と」
「はあ? な、何言ってんだよ」
「ああ、悪い。握手する手がねぇのか」
木輪端の両の手から血飛沫が上がった。
痛みからか、恐怖からか、それともどちらともか、木輪端の叫び声が静まり返った、静寂に包まれた、夜に響き渡る。
「お前に生きる価値はない。さっさと死ぬのが世のためだぜ」
「俺が何したって言うんだよ!」
「おいおい、それはこの期に及んでなしだろ。たっぷり殺ったろ? オレ様のフリしてよ? それに何やら、大学でも色々やってるみてぇじゃねぇの? イジメとかさ。殺人にしろ、イジメにしろ、お前の行いに価値はねぇだろが」
「だ、だったら、お前も殺人鬼なんだから価値ないだろ!」
「ああん? 殺人鬼と鼻垂れ小便小僧の殺人を一緒にすんじゃねぇよ。お前に今から殺人鬼ってやつを教えてやるよ」
その後、ニュースにてバーにいた連続無差別殺人事件の加害者である大学生の男二人が死亡したと報じられることになったことは言うまでもないが、言わなければわからないことではあるのでこの場を借りて報告させてもらうとしよう。
それから現在、どこかの大学病院にて---
金色の髪に緑色に光る青い瞳の女性が病室から窓の外を眺めていた。
「よお、エリル。調子はどうだ?」
「あら、竜悟くん。今日はとても調子が良いよ」
「そっか、そりゃあ、よかった」
「どうかした?」
「いや、なんでもない。今日はエリルにお見舞い持って来たんだぜ?」
「今日はっていつも持ってきてくれるのに」
「今日は今日で特別なんだぜ?」
「じゃあ、楽しみ」
エリルは儚くも優しい笑顔を竜悟に向けるのだった。
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