縁の鎖

孤立と孤独

商会の会頭

「義兄上。」
「ボルダー！来てくれて嬉しいよ。今年も来てくれないのかと思っていた。」
「…そのつもりではありましたが、こちらの令嬢に説得され、まかり越しました。お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう。それでボルダーの気持ちを和らげてくれた、こちらのご令嬢はどなたかな？」
「こちらはフィサリス・ライ・ソーディア公爵令嬢です。」
「初めまして。フィサリス・ライ・ソーディアでございます。」
「あぁ…貴女が。ソーディア公爵令嬢のお父上である大公閣下には、いつも商会を御贔屓いただいております。どうぞ今後もご愛好賜りますよう、よろしくお願いいたします。」
「こちらこしそ、よろしくお願いいたします。フィサリスとお呼びください。」
「何のおもてなしもできませんが、楽しんで行ってくださ。ソーディア公爵令嬢。」

トリフェンは経営者らしい笑みを浮かべ、社交辞令のお決まり文句を言うとフィサリス達から離れた。


「父上。ボルダーがソーディア公爵令嬢を伴って、ここに来ています。」
「ジュエリア様・・・では無いな。ジュエリア様は今ご到着なされたようだからな。」

カモミーラがエレスチャル侯爵とトリフェンの元に、ジュエリアを連れて来た。

「トリフェン様、お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとうございます。ジュエリア様、また王妃様へ新作の魔法道具マジカルウイティをお持ちくださ。ユーディアより、送られて来ました。」
「ありがとうございます。それは王妃様がお喜びになりますね。使い方を教えていただけますか？」
「はい。上のVIPルームにご用意していますので、そちらで操作方法をお伝えいたします。」
「ジュエリア様。ようこそ、おいでくださいました。息子の誕生日の祝いの席に出席いただき、ありがとうございます。どうぞこちらで楽しんで行ってください。」

ジュエリアは二階にある個室に案内された。