縁の鎖

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変わりゆく日常

ぬるま湯

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カーネリアンが仲裁役をした、ランチから暫くして国王から呼び出しがあった。
ジュエリアを庇わず、フィサリスを擁護した事で、噂に信憑性を持たせた事に叱責された。

「はぁ~。」
「殿下?どうされたんですか?溜息なんて、珍しいですね。」
「フィサリス嬢、何でも無いよ。」
「本当ですか?最近また学業や公務でお忙しい様ですし、心配です。」
「ありがとう。」

あの日からカーネリアンは、レムリアンとボルダーがフィサリスといる事が多い為、一緒に過ごす事が多くなっていた。


「ですが殿下、国王陛下から噂を何とかするように言われた事をどうだれるおつもりですか?私も父に釘を刺されました。」
「僕は、義兄上から注意の文が届いた!愛人の息子の癖に、腹立たしい限りだ!」
「マディラ伯爵か。ジュエリアの護衛を務めて居るから、過剰に反応してしまう節があるからな。トリフェンはカモミーラの一方的な話しか聞いていないだろうし。本当の中立は何なんだろうか?」
「皆様、簡単な話ですわ。私と関わらない事ですわ。それが一番の中立ですわ。」

フィサリスが物悲し気に、カーネリアン達と関わらないと伝える。

「それはダメだ!」
「そうだ!この前も、くだらない嫌がらせをされたばかりだ!」
「フィサリス嬢と関わらない様にした所で、噂は消えない。それどころか、ジュエリアが嫉妬して私を遠ざけたと、出回りかねない。」

いつの間にか、カーネリアン達はフィサリスを特別視していた。
常に重圧をかけられ緊張を強いられるカーネリアン達は、フィサリスの醸し出すぬるま湯の様な雰囲気に癒しを求めた。
それはまるで、甘い蜜に引き寄せられる虫の様だ。


『フィサリスは、本当に立派な淑女になったな。過去のフィサリスは、本当は存在しなかったのでは無いかと錯覚する程に。あぁ~。そうだったのか。私にはジュエリアに無い、この温もりが必要なんだ。いつまでも浸っていたくなる、優しく甘い温もりが。』

カーネリアンはいつの間にか、ジュエリアと距離を取る様になっていった。
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