縁の鎖

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禍の足音

王妃の憂い

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ガチャン!

顔面蒼白なジュエリアは、ティーカップをソーサーに落としてしまう。


「ジュエリア、大丈夫!?王妃様、義妹と言うの、ですか!?」
「ええ。カモミーラは知っているようね?」
「はい。私が義兄と仲が良いところを見たジュエリアが、羨ましいと言って義妹との関係を教えてくれました。」


ユーディアはジュエリアの溢したお茶を拭きながら、疑問を打つけてみた。

「カモミーラ様、ジュエリア様と義妹様の関係っていったい…。」
「ユーディアは知らなかったな。俺から話していい話でもないから言わなかったし。とりあえず義姉上、水を飲んで落ち着いて。」

サーペントが水を渡す。


「マディラ伯爵夫人の前で、この様な言い方をしては叱られてしまうかもしれないけれど…。一言で言えば“躾のなっていない野良猫”よ!」
「ほほほ。“躾のなっていない野良猫”とは良く言ったものね。」
「王妃様!カモミーラ様も、侯爵令嬢なのですよ!では言ってはいけませんよ!」
「勿論、では言いませんわ。」


そんなやり取りをしていると、ジュエリアが漸く口を開いた。

「お、王妃様…何がどうなっているのですか?」
「実はね、が先日、病死したのよ。そこから話さないといけないわね。」


王妃は今までのジュエリアの境遇、フィサリスがエガリテ学園に編入する事になった経緯を話す。

「大公は粛正女王の御言まで担ぎ出して、恩赦を捥ぎ取ったのよ。」
「お父様が・・・。」
「ジュエリア様、主人は今まで以上に警備を強化すると言っておりました。ですのでご安心下さいませ。」
「ジュリーは今まで通りでいいのよ。二度と、あのような苦しみを味合うことはないわ!私が王妃として、義母として貴女を守るわ!それに今は友人も居るでしょう?あの頃とは違うわ。」
「「「そうよ!そうだよ!そうです!」」」
「王妃としてではなく義母として私から3人に、お願いするわ。私の目の届かない学園で、ジュエリアを守ってくれないかしら?いくら改心したように言われていても、あの女の娘だもの猫を被っているに決まっているわ!どうかジュエリアの側に居て、支えてあげてちょうだい。お願いします。」

王妃は、ジュエリアの身を案じ続ける。


「母上、俺ちょっと妬けるかも。義姉上の事になると、俺達実の息子より率先するんだもんなぁ~。」
「あら!久しぶりに可愛い事を言うじゃない!」

サーペントを揶揄い始める王妃にジュエリアは、感謝する。


『ありがとうございます。私の身をこれほど案じて下さって。本当にありがとうございます。』
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