93 / 186
禍の足音
散骨
しおりを挟む
ダチュラの骨は使用人によって袋に詰められた。
「後は私が岩壁洞窟の共同墓地へ、納骨してくる。ただ舟を漕ぐ者も必要だ。好んで行きたいと思う場所ではないが、誰か一人共に来てくれ。」
ロベルトに扮したディラが、散骨に随行する者を募る。
罪人の墓場である洞窟へ、誰も行こうとしない。
第二夫人だったとは言え罪人に成り果てた女の骨を撒きに行くのだから、進み出る者はいない。
「仕方ない。そこの君。えーっと名前は…コッパだったな。新人の侍従に仕事もそこまで無いだろう。君が同行しなさい。」
「は、はい…。」
邸の側にあるビーチの桟橋から、舟に乗って岩壁洞窟を目指す。
岩壁洞窟の手前に舟が居る。
「来た来た。」
「遅かったね?」
「末娘が火葬にゴネて、時間をくった。」
「で、コッパを連れてきた訳を聞こうか?」
岩壁洞窟の前に居た舟には、モルガ・モスア・エピドが居た。
「隊長~聞いてくださいよ~。ディラが無理矢理、連れて来たんですよ~。自分だけじゃ、納骨できないって言って~。洞窟に辿り着けないが本音のくせに~。」
「ぅう。」
「はぁ~。魔法道具音痴を何とかしろ。」
舟の動力が魔法道具だったため、ディラは操作ができなかった。
そのために、運転手として諜報部員のコッパを連れて来た。
「と、とりあえず隊長の指示通り、侍従に扮して滞りなく毒花を消し炭にして来ました。」
「そうか。では毒花と愛人の侍従を沈める。モルガ、モスア、やれ。」
「「はい。はーい?」」
ロベルトにダチュラの骨を抱かせ、二度と浮上できないように魔術をかける。
「では私とモルガは一旦、王城へ戻る。ディラは今後ロベルトとして動くように。コッパはテルルと共に末娘の監視を継続すること。連絡係はモスアだ。では各自持ち場に戻れ!」
ダチュラの死を利用し、公爵家へ深く潜入した隠密部隊。
この事で王家を巻き込む禍の渦に嵌って行くとは、この時まだ誰も予測できて居なかった。
「後は私が岩壁洞窟の共同墓地へ、納骨してくる。ただ舟を漕ぐ者も必要だ。好んで行きたいと思う場所ではないが、誰か一人共に来てくれ。」
ロベルトに扮したディラが、散骨に随行する者を募る。
罪人の墓場である洞窟へ、誰も行こうとしない。
第二夫人だったとは言え罪人に成り果てた女の骨を撒きに行くのだから、進み出る者はいない。
「仕方ない。そこの君。えーっと名前は…コッパだったな。新人の侍従に仕事もそこまで無いだろう。君が同行しなさい。」
「は、はい…。」
邸の側にあるビーチの桟橋から、舟に乗って岩壁洞窟を目指す。
岩壁洞窟の手前に舟が居る。
「来た来た。」
「遅かったね?」
「末娘が火葬にゴネて、時間をくった。」
「で、コッパを連れてきた訳を聞こうか?」
岩壁洞窟の前に居た舟には、モルガ・モスア・エピドが居た。
「隊長~聞いてくださいよ~。ディラが無理矢理、連れて来たんですよ~。自分だけじゃ、納骨できないって言って~。洞窟に辿り着けないが本音のくせに~。」
「ぅう。」
「はぁ~。魔法道具音痴を何とかしろ。」
舟の動力が魔法道具だったため、ディラは操作ができなかった。
そのために、運転手として諜報部員のコッパを連れて来た。
「と、とりあえず隊長の指示通り、侍従に扮して滞りなく毒花を消し炭にして来ました。」
「そうか。では毒花と愛人の侍従を沈める。モルガ、モスア、やれ。」
「「はい。はーい?」」
ロベルトにダチュラの骨を抱かせ、二度と浮上できないように魔術をかける。
「では私とモルガは一旦、王城へ戻る。ディラは今後ロベルトとして動くように。コッパはテルルと共に末娘の監視を継続すること。連絡係はモスアだ。では各自持ち場に戻れ!」
ダチュラの死を利用し、公爵家へ深く潜入した隠密部隊。
この事で王家を巻き込む禍の渦に嵌って行くとは、この時まだ誰も予測できて居なかった。
0
お気に入りに追加
187
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】夫は王太子妃の愛人
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵家長女であるローゼミリアは、侯爵家を継ぐはずだったのに、女ったらしの幼馴染みの公爵から求婚され、急遽結婚することになった。
しかし、持参金不要、式まで1ヶ月。
これは愛人多数?など訳ありの結婚に違いないと悟る。
案の定、初夜すら屋敷に戻らず、
3ヶ月以上も放置されーー。
そんな時に、驚きの手紙が届いた。
ーー公爵は、王太子妃と毎日ベッドを共にしている、と。
ローゼは、王宮に乗り込むのだがそこで驚きの光景を目撃してしまいーー。
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる