縁の鎖

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禍の足音

侍従の正体

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侍従のロベルトは馬車ではなく、早馬にて公爵領へ向かった。
馬車だと3日かかる道のりを、1日で到着した。
軽く仮眠を取り、屋敷の隅にある座敷牢へ足早に向かう。



周りを仕切に伺いながら座敷牢へ入るロベルト。

「・・・流石の王家の兵士も、死んだ人間まで監視する事はしない様だ。」

ベッドの上で痩せ細ったダチュラを、ロベルトは熱の篭った目で見つめる。

「…愛しいダチュラ。俺を裏切り、旦那様を選んだ憎いダチュラ。…でも俺はそんな君を許すよ。やっとになる日が来たんだから。長かったよ。どれだけ待ちわびたことか。俺が永遠に愛してやる。さぁ、行こう。俺達の愛のに。」

ロベルトはダチュラの亡骸を抱え、邸の裏にある林へ入って行く。
林の奥にたたずむコテージへ辿り着いた。



コテージに入るとベッドルームへ向かい、ダチュラをベッドへ横たえ喋りかける。

「さぁ、俺達の愛のに着いたよ。これで二人を引き離す者は、だれも居ない。また蜜月を君と過すことができると思うと、それだけで興奮してしまう。本当は生きている間にこうしたかった。このコテージはそのために、用意していたんだよ。だけど君は俺を裏切った!だから事件の時は、いい気味だと思ったよ。」


ロベルトは眠り姫を起こす王子の如く、キスをする。

「だけど昨日、旦那様が君を火葬すると決断されて思い直したよ。燃やすくらいなら、俺のモノにしてもいいだろうってね。君が欲して止まなかったは、コレからは俺が与えてあげるよ。愛しているよ。ダチュラ。」


そしてもう一度、口付けをするとダチュラが崩れ去った。
砂の城が波にさらわれるように。
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