縁の鎖

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王太子と侍女

婚約は罰

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手を斬られたフィサリスは、ダチュラの胸で泣き喚いている。

「痛い!痛い!死んでしまうわー!!痛い!お母様!痛い!」

ダチュラは顔を青くし、オロオロと狼狽る。

「「殿下!どうかご容赦を!」」

ジェイドとジュエリアの懇願が続いている。


「はぁ~。こうも話をややこしくするつもりはなかった。大公、そなたには末娘の再教育を罰則とし追加する。フィサリス嬢の公爵領からの外出は禁止とし、幽閉の身とする。監視も勿論つけさせてもらう。社交界へのデビュー並びに、王都へ出る事も禁ずる。それから・・・」
「あんまりですわ!カーネリアン様!私はただ、綺麗な髪飾りが欲しかっただけですわ!貴男をお慕いしているだけですわ!なのに、なのに、あんまりですわ!!」


さすがのジェイドも公爵家の存亡がかかり、堪忍袋の尾が切れた。
フィサリスの首に帯刀していた剣を突きつける。

「フィサリス。いい加減に我が儘を言うのは辞めなさい。今ここで生涯の幕を閉じるか、幽閉の身となり貴族令嬢の生涯の幕を閉じるか決めなさい。」

表情は冷血漢・悪魔公爵と言われる冷静を装っているが、目が哀しみに揺れている。


「フィサリス!お父様の言う事を聞いて!お父様の手を貴女の血で染めてはいけないわ!」

ジュエリアが父の哀しみを帯びる目を感じ取り、フィサリスを諭す。

「・・・。」   コクリ

恐怖と絶望と動揺の余り、声が出ず頷くことしかできないフィサリスを抱きしめダチュラも涙を流す。



剣を鞘に戻し、ダチュラとフィサリスを下げさせた。

『あの目!あの女と同じ、人を哀れむ目!絶対に許すものか!』

礼を取り退席する間際、ダチュラは再度ジュエリアを睨む。



「大公、ジュエリア嬢、罰の続きを伝える。フィサリス嬢は幽閉とする。それからジュエリア嬢は王太子のプロポーズを蔑ろにした罰として、私の婚約者とし一生、仕えてもらう。良いな!」
「「!!?御意。かしこまりました。」」
「では大公、我々は直ぐに出立する。ジュエリア嬢を連れて出立しようと思ったが、追加の手続きが必要となったため一人で王都へ向かう。大公は今後の事を協議し、王都へ向け出立すること。後の事は私付きの近衛兵を置いて行く。この者の指示に従うように。」
「「道中のご無事をお祈り申し上げます。」」
「ジュエリア嬢、王都で待っている。その時に新しい髪飾りを贈らせて欲しい。こんな汚点のついた物は処分し、新しい物を贈ろう。では滞在中、なった。」
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