縁の鎖

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王太子と侍女

分け合う心・譲り合う心

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「カーネリアン様ぁ~。お姉様には、王太子妃なんて荷が重すぎますぅ~。お姉様には今まで通り、お母様の身の回りの世話をしてもらえばいいのですわぁ~。ソーディア公爵家の令嬢を指名されているのなら、私がなりますわぁ~。」


王家からの婚約の打診。
カーネリアンのプロポーズ。
カーネリアンからの贈り物。

突然の事で、ジェイドもジュエリアも反応が遅れた。
カーネリアンの持っていた簪を、フィサリスが受け取り自分の髪に当てている。

カーネリアンの琴線に触れてしまった。


王妃より幼少の頃から常に言い聞かされていた教訓。

「もし、お友達が自分の使っている物を貸して欲しいと言ったら、快く貸してあげるのよ。皆と分け合う心、譲あう心が人と人を平和的に繋ぎ合わせるの。だけどね・・・」


ザッシュッッッ!!!

王太子には常に護衛が付く。
だから基本、帯刀はしない。
だが丸腰と言う訳ではない。
ペーパーナイフ程の、懐刀を持ち歩く。


フィサリスの簪を持っていた手を切りつけた。

「母は幼少の頃より、分け合う心・譲り合う心を大切にせよと言い聞かせてくれた。だが一国の王として、略奪者を絶対に許してはいけないとも言い聞かされた。そなたは今、私の目に略奪者として映る!」

今度は護衛兵の刀を取ろうとするカーネリアンの前に、ジュエリアとジェイドが割って入る。

「殿下!どうか!まだ未熟な娘をお許し下さい!末娘は今年13になったばかりで幼いだけなのです!幼いばかりに状況判断ができていないのです!末娘は母親同様、生涯幽閉の身にいたします!公爵令嬢としては社交界には勿論、王都にも出ることを禁じます!万が一、抜け出す様なことがあれば公爵家から除籍、修道院送りにいたします!!」
「殿下!どうか義妹をお許し下さい!!私が突然の事に驚き、反応ができなかったのが原因です。婚約者候補としていただけたことを、心から嬉しく思います。ですが、今の様に想定外の事に臨機応変に対応できない私では、王太子妃の責務は全うできないと思います。どうかご容赦くださいませ。」
『あぁ。親子なんだなぁ。』

こう言う時に同じ行動を取るのは、言い表しにくい血の繋がりを感じずにはいられない。
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