縁の鎖

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王太子と侍女

夜更の訪問者

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明後日の帰路の予定を打ち合わせし終え、眠りに着こうと考えていた所に扉を叩く音がする。

コンコンコン。

「カーネリアン王太子殿下。プリア様はお元気でしょうか?」

扉の向こうから、母であるプルメリア王妃の愛称を口にする女性の声が聞こえる。


「・・・。」
「怪しまれるのも当然です。このまま扉は開けて頂かなくてけっこうですので、私の話をお聞き下さい。」
「・・・。」
「無言もまた答えです。私はプルメリア様とサリーフィリア様が幼馴染みであり、乳姉妹である事を知る者です。」
「・・・。」
「信じていただくには…プルメリア様がお輿入れの際にお持ちだったオルゴールは金製。サリーフィリア様のお輿入れの時にお持ちだったオルゴールはプラチナ製。デザインも曲もお揃いのオルゴールです。」
「!!!私達家族とサリーフィリア様の関係者しかしらない事だ。信じるしかないな。」

ガチャ。

「信じて頂けたようで、感謝致します。」



カーネリアンが夜更に訪れた女性を、貴賓室に入るよう促す。

「そなたの名は?」
「サリーフィリア様が幼少の頃よりお仕え致しておりました。今はジュエリア様の乳母と専属侍女を務めております、アルミナと申します。」
「そなたが、アルミナか。母から話は聞いている。だが公爵家に何日も滞在するが、一度も顔を見なかった。今まで何処で何をしていた?」
「・・・。」

シュル、シュルシュル、シュルリ。
アルミナは頭と顔を隠していたショールを取って、カーネリアンに顔を向ける。
修道女でもここまで短くはしないだろうと思える、アルミナのベリーショートにカーネリアンは凝視した。

「お目汚しを、お許し下さい。」
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