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第一章 冒険者ギルド
魔石の価値
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「どうだった?」
エルフのセシーリアの部屋から出てきたルキアの暗い顔を見たエリナが心配気に尋ねてきた。
「うん、これから……けっこう大変そう」
「そう……じゃあたしの番だから行ってくる」
「頑張って。それじゃあ……僕行くね……」
その時振り返ったエリナが、立ち去ろうとしたルキアを呼び止めた。
「ねえルキア君、わたしが終わるまで少し待っててくれない?」
ルキアもエリナのことを放っておけない気持ちになっていたので内心嬉しかった。
「うんっ……分かった。近くで待ってるよ」
「良かった!」
エリナの笑顔を見送ったルキアは待っている間に、同じ建物にある魔石の交換所に向かうことにした。
交換所はセシーリアの部屋の斜め前にあり、看板に魔石の絵が描かれていた。
「フライさんはこの魔石500ゴールド位って言ってたけど……ってゆうか500ゴールドの価値ってどれくらいなんだろう?」
ブツブツ言いながらルキアは魔石交換所のドアをノックした。
「空いてるよ」
ドアの中からから老人の声がした。
「失礼します」
薄暗い部屋の中には一人の眼鏡を掛けた老人が座っており、テーブルの上に置かれた様々な色の魔石を熱心に磨いていた。
「こんにちは。あの~魔石をゴールドに交換したいんですけど」
「うむ、見ない顔だが君は冒険者かね?」
「はい、先程冒険者に登録したばかりです……」
登録したばかりの新米冒険者と聞いて明らかにこの爺さんのテンションは下がったように見えた。
「そうかい……ワシは鑑定士のスコットというもんじゃ。ではさっそく魔石を見せてもらおうか」
「はい、これなんですが」
ルキアはポケットから昨日、フライから貰った魔石を取り出した。
「ふむふむ。まあまあ良い石じゃないか……」
しかし、ルキアに手渡された魔石を手に取ったスコットの顔色がみるみる変わっていく。
「おぉおおおぉ?! よく見ると凄い魔石じゃないか……お前さんこれどうしたんじゃ?」
興奮した老人の顔に淡いグリーンの光が反射する。
「実はこれ、『孤高のハンター』のフライさんから貰ったんです」
「ほぅ~あのフライから。かなりレアな魔石じゃが……どんな魔物じゃったか分かるか?」
「ものすごい大きな鳥で……確かロック鳥とか何とか言ってました。僕が草原で襲われているのをフライさんが助けてくれたんです」
「ロック鳥じゃと!! なんとまぁ凄い石を持ってきたもんじゃ」
「そんなにすごい石なんですか?」
「そもそも、ロック鳥がこの辺に現れること自体が珍しいんじゃ」
「そうだったんですね」
「石の大きさだけなら500ゴールド位だがこの中に羽根のような模様があるじゃろ~ロック鳥の石だけにある特別なものじゃ」
興奮が冷めないスコット爺さんは、急ぎ足で部屋の奥の金庫に向かった。そして中から重そうに布の袋を取り出した。
そしてその布の袋をドスンとテーブルの上に置いた。
「2000ゴールドある。この街なら3か月は生活に困らん金じゃ!これで手を打ってくれんかのう?」
「えっ!? 2000ゴールド……」
「足りんかのう?」
「いえ! その金額でお願いします」
「そうか、そうか、良かった」
相場が分からないので、300ゴールドと言われても交換しただろうが。とにかく高く交換してもらう事に越したことはない。
「また、頼むぞ。君名前はなんていうんだ?」
「ルキアです」
「覚えておこう、ルキア君。これからも頑張りたまえ!」
興奮冷めやらぬスコット爺さんは、ルキアの手を握って送り出した。
交換所を出たルキアは、部屋の外でエリナを待つことにした。
「まさか、2000ゴールドと交換できるとは思わなかったな……今度フライさんに会ったらこの事を報告しないと流石にマズイよな~~」
ルキアがそんな事を考えていると、先程の彼と同じように暗い表情のエリナが部屋から出てきた。
「どうだった?」
「私がなれる職業は魔法使いしか無いんだって……でも魔物なんか倒せないよ……どうしよう」
泣きそうな顔のエリナが、早速弱音を吐いている。その姿を見たルキアはエリナの前に手を出した。
「二人で力を合わせよう」
「え?」
「僕でよければ、仲間になる。そしてこの世界から抜け出そう」
「ほんとに?」
「あぁ、絶対に君を見捨てない。約束するよ」
「あ、ありがとう。ルキア」
エリナはルキアの手を握った。
エルフのセシーリアの部屋から出てきたルキアの暗い顔を見たエリナが心配気に尋ねてきた。
「うん、これから……けっこう大変そう」
「そう……じゃあたしの番だから行ってくる」
「頑張って。それじゃあ……僕行くね……」
その時振り返ったエリナが、立ち去ろうとしたルキアを呼び止めた。
「ねえルキア君、わたしが終わるまで少し待っててくれない?」
ルキアもエリナのことを放っておけない気持ちになっていたので内心嬉しかった。
「うんっ……分かった。近くで待ってるよ」
「良かった!」
エリナの笑顔を見送ったルキアは待っている間に、同じ建物にある魔石の交換所に向かうことにした。
交換所はセシーリアの部屋の斜め前にあり、看板に魔石の絵が描かれていた。
「フライさんはこの魔石500ゴールド位って言ってたけど……ってゆうか500ゴールドの価値ってどれくらいなんだろう?」
ブツブツ言いながらルキアは魔石交換所のドアをノックした。
「空いてるよ」
ドアの中からから老人の声がした。
「失礼します」
薄暗い部屋の中には一人の眼鏡を掛けた老人が座っており、テーブルの上に置かれた様々な色の魔石を熱心に磨いていた。
「こんにちは。あの~魔石をゴールドに交換したいんですけど」
「うむ、見ない顔だが君は冒険者かね?」
「はい、先程冒険者に登録したばかりです……」
登録したばかりの新米冒険者と聞いて明らかにこの爺さんのテンションは下がったように見えた。
「そうかい……ワシは鑑定士のスコットというもんじゃ。ではさっそく魔石を見せてもらおうか」
「はい、これなんですが」
ルキアはポケットから昨日、フライから貰った魔石を取り出した。
「ふむふむ。まあまあ良い石じゃないか……」
しかし、ルキアに手渡された魔石を手に取ったスコットの顔色がみるみる変わっていく。
「おぉおおおぉ?! よく見ると凄い魔石じゃないか……お前さんこれどうしたんじゃ?」
興奮した老人の顔に淡いグリーンの光が反射する。
「実はこれ、『孤高のハンター』のフライさんから貰ったんです」
「ほぅ~あのフライから。かなりレアな魔石じゃが……どんな魔物じゃったか分かるか?」
「ものすごい大きな鳥で……確かロック鳥とか何とか言ってました。僕が草原で襲われているのをフライさんが助けてくれたんです」
「ロック鳥じゃと!! なんとまぁ凄い石を持ってきたもんじゃ」
「そんなにすごい石なんですか?」
「そもそも、ロック鳥がこの辺に現れること自体が珍しいんじゃ」
「そうだったんですね」
「石の大きさだけなら500ゴールド位だがこの中に羽根のような模様があるじゃろ~ロック鳥の石だけにある特別なものじゃ」
興奮が冷めないスコット爺さんは、急ぎ足で部屋の奥の金庫に向かった。そして中から重そうに布の袋を取り出した。
そしてその布の袋をドスンとテーブルの上に置いた。
「2000ゴールドある。この街なら3か月は生活に困らん金じゃ!これで手を打ってくれんかのう?」
「えっ!? 2000ゴールド……」
「足りんかのう?」
「いえ! その金額でお願いします」
「そうか、そうか、良かった」
相場が分からないので、300ゴールドと言われても交換しただろうが。とにかく高く交換してもらう事に越したことはない。
「また、頼むぞ。君名前はなんていうんだ?」
「ルキアです」
「覚えておこう、ルキア君。これからも頑張りたまえ!」
興奮冷めやらぬスコット爺さんは、ルキアの手を握って送り出した。
交換所を出たルキアは、部屋の外でエリナを待つことにした。
「まさか、2000ゴールドと交換できるとは思わなかったな……今度フライさんに会ったらこの事を報告しないと流石にマズイよな~~」
ルキアがそんな事を考えていると、先程の彼と同じように暗い表情のエリナが部屋から出てきた。
「どうだった?」
「私がなれる職業は魔法使いしか無いんだって……でも魔物なんか倒せないよ……どうしよう」
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「二人で力を合わせよう」
「え?」
「僕でよければ、仲間になる。そしてこの世界から抜け出そう」
「ほんとに?」
「あぁ、絶対に君を見捨てない。約束するよ」
「あ、ありがとう。ルキア」
エリナはルキアの手を握った。
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