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RAGE & MAD no,2
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頭が痛くて重い。
身体が逆さになっている感覚だ。
足首を縛られ、天井に吊られていた。
目の前にはこちらに背を向けたゼラミルが居た。
僕が起きたことに気が付いていない。
作業台にむかって何かをしている。
台の端に人の足が見えた。
肉を切る嫌な音が聞こえる。
骨の切れる乾いた音がした。
床に何かが落ちる。
子供の首だった。
被験者名簿には載っていない顔だ。
舌打ちが3回ほど聞こえ、道具を片付け始めた。
床に散らばる肉片を蹴飛ばしながら、奥のドアに入っていく。
よく見えなかったが、そのドアの向こうは居間ではない。
台に置かれた人体は酷い有様だった。
首がなく、手も足も切り離されている。
内臓は周りに並べられ、胴は胸から腹にかけて真っ二つに開かれている。
だが血の跡が異様に少ない。
血を抜き取ったのであろう。
案の定、離れた机に大きめの、赤い液体の入った瓶が置いてあった。
ゼラミルは大きな木箱を持ってきた。
悪臭を放っている。
その中に並べられた内臓を、特に丁寧でもなく放り入れる。
また奥の部屋に戻り、今度はナイフを持ってきた。
いや、肉切り包丁だ。
ゼラミルが近付いてきたので、目を閉じ、眠っているふりをする。
不意に、足首と天井を繋いでいたロープが切られた。
頭から床に落ちる。
後頭部に痛みを残しながら、作業台に引き摺られていった。
時折、肉片に当たる。
乱暴に作業台に上げられた。
死んでしまう。
このままでは。
逃げ出したいが、いつの間にか手足が縛られている。
ゼラミルが僕の左腕を掴んだ。
薬指がない。
「おや小僧。お目覚めかい?これから楽しくなるぞ...ナイフは怖いか?ペンチは怖いか?ステッキは怖いか?剣は怖いか?鉄板は怖いか?ロープは怖いか?君はもう私の物だ。」
ゼラミルは言うが早いが肉切り包丁を、僕の右肘に突き立てた。
当然麻酔なんかは使われていない。
だが、奴には僕の悲鳴は聞こえていない。
肘から下が切り離され、赤が台を染める。
「おお、サンプルが流れ出ては困る...」
そう言ってゼラミルは鉄板を僕の肘に押し当てた。かなり高温で熱せられている鉄板だ。
肉の焦げる匂いがする。
気を失いかける。
雑ではあるが、止血は完了していた。
横を見るとゼラミルがステッキを振り上げている。
「麻酔を使うのは勿体ない。が、悲鳴を聞くのは不愉快だし荒れる。」
心臓に直撃し、意識が遠のく。
辛うじて骨の砕ける音が聞こえた。
身体が逆さになっている感覚だ。
足首を縛られ、天井に吊られていた。
目の前にはこちらに背を向けたゼラミルが居た。
僕が起きたことに気が付いていない。
作業台にむかって何かをしている。
台の端に人の足が見えた。
肉を切る嫌な音が聞こえる。
骨の切れる乾いた音がした。
床に何かが落ちる。
子供の首だった。
被験者名簿には載っていない顔だ。
舌打ちが3回ほど聞こえ、道具を片付け始めた。
床に散らばる肉片を蹴飛ばしながら、奥のドアに入っていく。
よく見えなかったが、そのドアの向こうは居間ではない。
台に置かれた人体は酷い有様だった。
首がなく、手も足も切り離されている。
内臓は周りに並べられ、胴は胸から腹にかけて真っ二つに開かれている。
だが血の跡が異様に少ない。
血を抜き取ったのであろう。
案の定、離れた机に大きめの、赤い液体の入った瓶が置いてあった。
ゼラミルは大きな木箱を持ってきた。
悪臭を放っている。
その中に並べられた内臓を、特に丁寧でもなく放り入れる。
また奥の部屋に戻り、今度はナイフを持ってきた。
いや、肉切り包丁だ。
ゼラミルが近付いてきたので、目を閉じ、眠っているふりをする。
不意に、足首と天井を繋いでいたロープが切られた。
頭から床に落ちる。
後頭部に痛みを残しながら、作業台に引き摺られていった。
時折、肉片に当たる。
乱暴に作業台に上げられた。
死んでしまう。
このままでは。
逃げ出したいが、いつの間にか手足が縛られている。
ゼラミルが僕の左腕を掴んだ。
薬指がない。
「おや小僧。お目覚めかい?これから楽しくなるぞ...ナイフは怖いか?ペンチは怖いか?ステッキは怖いか?剣は怖いか?鉄板は怖いか?ロープは怖いか?君はもう私の物だ。」
ゼラミルは言うが早いが肉切り包丁を、僕の右肘に突き立てた。
当然麻酔なんかは使われていない。
だが、奴には僕の悲鳴は聞こえていない。
肘から下が切り離され、赤が台を染める。
「おお、サンプルが流れ出ては困る...」
そう言ってゼラミルは鉄板を僕の肘に押し当てた。かなり高温で熱せられている鉄板だ。
肉の焦げる匂いがする。
気を失いかける。
雑ではあるが、止血は完了していた。
横を見るとゼラミルがステッキを振り上げている。
「麻酔を使うのは勿体ない。が、悲鳴を聞くのは不愉快だし荒れる。」
心臓に直撃し、意識が遠のく。
辛うじて骨の砕ける音が聞こえた。
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