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第七十三話 デイビッドとフレイ
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アインス様の出て行った扉を見つめたままのデイビッド様が、呟くように私にこう尋ねました。
「どう思うでゲスか? フレイ……」
「どう思うも何も……何も思えません……」
私がそう答えを返すと、デイビッド様はこう続けます。
「別に遠慮する必要などないんでゲスけどね……そのままの意味でゲスよ。思った事なんでもいいんでゲスけど……」
そこで私はこう返しました。
「それでは、失礼させて頂きます。率直に言わせて頂くと、アインス様は何者なんですか? という事しか言えません。そもそも、殆どお二人の会話が理解出来ませんでしたので、何も思えないと言った所です」
「ふむ。やはりフレイでも無理でゲスか……あなたは最近では稀に見る優秀な人材でしたので、どうかと思ったのでゲスがね……昔の私と比べても、まだまだ成長の余地があるとはいえ……」
「申し訳ありません。期待に答えられずに。ただ、デイビッド様と比べられると困ります。いえ、比べて頂ける事自体が光栄なのでした……そんなデイビッド様と対等に会話が出来るアインス様は……はっきり申し上げておかしいと思います。百歩譲ったとしてもあの御年齢では……ありえませんよ?」
するとデイビッド様はゆっくりと頷きました。
「そこは同意するでゲス。だからこそ興味深いんでゲスよ。ほら、やっぱりお仕えしなくていいんでゲスか? 坊ちゃんは気にしてませんでゲスよ? 今日はその為に同席させたと言う意味もあるのでゲスがね」
その言葉に私は首を横に振りながら答えます。
「お言葉ですが、逆ですよ。今日でそんなつもりは毛頭無くなりました。無理です。私には……だってアインス様は年下ですよ? これからもっと成長するんです。追い付ける気が全くしません。離される……と言うか今の時点でどれ程の距離があるかが、既に想像出来まないのですが……」
「ふむ。なるほど。それは尤もかも知れないでゲスね。となるとレオナとカタリナにも何か秘密があるのかもしれないでゲス。坊ちゃんが手元に置きたい何か、フレイと違って坊ちゃんについていける何か……と言った所でゲスかね? 彼女達も実に興味深いでゲスね」
デイビッド様は実に満足そうに何度も頷きました。
「しかし、本当にアインス様は何者なんでしょうか? デイビッド様がこんなに興味を持つなんて、デイビッド様と一緒で神様かなにかでしょうか?」
「さぁ、それはどうでゲスかね? 私には分かりかねるでゲス。まぁ少なくとも私は人間でゲスよ? 本当に神様って訳じゃないでゲスからね。商売の神様とは例えで言われてるだけでゲス。そもそも一部の方だけでゲスからね。私をそう呼ぶのも。それに坊ちゃんは神様じゃなくて魔王様かもしれないでゲスよ」
「一部の方だなんて謙遜を。商いに携わる人間なら、デイビッド様のことを知らない人の方がひと握りですよ? でも、ふふっ、デイビッド様も冗談がお上手ですね。坊ちゃんが魔王様だなんて。では、魔王崇拝でもしますか?」
私は冗談混じりでデイビッド様へとそう尋ねると、デイビッド様からは思いもよらぬ言葉が返ってきます。
「ああ、それもいいかもしれないでゲスね。魔王崇拝でゲスか……そうそう、そういえばこんな話があるでゲス。魔王崇拝をしている国、プルミエールの話でゲスが、あそこは別に魔王崇拝している訳じゃないんでゲスよ。国の一部の者にとっては」
「どういう事です?」
プルミエールに居た私にすら、その話は初耳でしたので、私はつい聞き返してしまいました。
「いえね、魔王を崇拝してるんじゃなくて、魔王は神だったと、今の神が魔王だったと。だから彼らが崇拝しているのは今の神ではなく、前の神なんでゲス。彼らから言わせると魔王崇拝しているのは他の国だと、ね。まぁ、真実はわからないでゲスがね。武力もあるので周りの国は手が出せませんが、既に魔王崇拝してる時点で危険視されてるのでゲス。それに加えて神の冒涜なんてなったら、戦争待った無しでゲスからね。ま、視点によっては善は悪になり、悪は善になる、ということなのかもしれないでゲスね」
「なるほど、そんな話があったんですね……」
と私が呟いたその途端、デイビッド様の雰囲気がガラリと変わりました。
「いやぁ、しかし今日は本当に有意義な時間を過ごせたよ! こんなのは何年振りだろう! ククッ、クハハハハッ!」
「デ、デイビッド様?」
あまりの豹変ぶりに私は驚いてしまいます。
「ああ、申し訳ないでゲス。つい、本当の姿が現れてしまったよ!
ぐへへという笑い声、それにゲス、という言葉、それは全て印象を濃くしようとして行っているのだよ! ククッ、クハハハハッ!」
「そ、そうなんですか……あはは……」
その笑う姿を見て、それで充分濃いです……そしてよっぽど魔王っぽいです……と思った私は、引き攣った笑いを浮かべる事しか出来ませんでした。
「どう思うでゲスか? フレイ……」
「どう思うも何も……何も思えません……」
私がそう答えを返すと、デイビッド様はこう続けます。
「別に遠慮する必要などないんでゲスけどね……そのままの意味でゲスよ。思った事なんでもいいんでゲスけど……」
そこで私はこう返しました。
「それでは、失礼させて頂きます。率直に言わせて頂くと、アインス様は何者なんですか? という事しか言えません。そもそも、殆どお二人の会話が理解出来ませんでしたので、何も思えないと言った所です」
「ふむ。やはりフレイでも無理でゲスか……あなたは最近では稀に見る優秀な人材でしたので、どうかと思ったのでゲスがね……昔の私と比べても、まだまだ成長の余地があるとはいえ……」
「申し訳ありません。期待に答えられずに。ただ、デイビッド様と比べられると困ります。いえ、比べて頂ける事自体が光栄なのでした……そんなデイビッド様と対等に会話が出来るアインス様は……はっきり申し上げておかしいと思います。百歩譲ったとしてもあの御年齢では……ありえませんよ?」
するとデイビッド様はゆっくりと頷きました。
「そこは同意するでゲス。だからこそ興味深いんでゲスよ。ほら、やっぱりお仕えしなくていいんでゲスか? 坊ちゃんは気にしてませんでゲスよ? 今日はその為に同席させたと言う意味もあるのでゲスがね」
その言葉に私は首を横に振りながら答えます。
「お言葉ですが、逆ですよ。今日でそんなつもりは毛頭無くなりました。無理です。私には……だってアインス様は年下ですよ? これからもっと成長するんです。追い付ける気が全くしません。離される……と言うか今の時点でどれ程の距離があるかが、既に想像出来まないのですが……」
「ふむ。なるほど。それは尤もかも知れないでゲスね。となるとレオナとカタリナにも何か秘密があるのかもしれないでゲス。坊ちゃんが手元に置きたい何か、フレイと違って坊ちゃんについていける何か……と言った所でゲスかね? 彼女達も実に興味深いでゲスね」
デイビッド様は実に満足そうに何度も頷きました。
「しかし、本当にアインス様は何者なんでしょうか? デイビッド様がこんなに興味を持つなんて、デイビッド様と一緒で神様かなにかでしょうか?」
「さぁ、それはどうでゲスかね? 私には分かりかねるでゲス。まぁ少なくとも私は人間でゲスよ? 本当に神様って訳じゃないでゲスからね。商売の神様とは例えで言われてるだけでゲス。そもそも一部の方だけでゲスからね。私をそう呼ぶのも。それに坊ちゃんは神様じゃなくて魔王様かもしれないでゲスよ」
「一部の方だなんて謙遜を。商いに携わる人間なら、デイビッド様のことを知らない人の方がひと握りですよ? でも、ふふっ、デイビッド様も冗談がお上手ですね。坊ちゃんが魔王様だなんて。では、魔王崇拝でもしますか?」
私は冗談混じりでデイビッド様へとそう尋ねると、デイビッド様からは思いもよらぬ言葉が返ってきます。
「ああ、それもいいかもしれないでゲスね。魔王崇拝でゲスか……そうそう、そういえばこんな話があるでゲス。魔王崇拝をしている国、プルミエールの話でゲスが、あそこは別に魔王崇拝している訳じゃないんでゲスよ。国の一部の者にとっては」
「どういう事です?」
プルミエールに居た私にすら、その話は初耳でしたので、私はつい聞き返してしまいました。
「いえね、魔王を崇拝してるんじゃなくて、魔王は神だったと、今の神が魔王だったと。だから彼らが崇拝しているのは今の神ではなく、前の神なんでゲス。彼らから言わせると魔王崇拝しているのは他の国だと、ね。まぁ、真実はわからないでゲスがね。武力もあるので周りの国は手が出せませんが、既に魔王崇拝してる時点で危険視されてるのでゲス。それに加えて神の冒涜なんてなったら、戦争待った無しでゲスからね。ま、視点によっては善は悪になり、悪は善になる、ということなのかもしれないでゲスね」
「なるほど、そんな話があったんですね……」
と私が呟いたその途端、デイビッド様の雰囲気がガラリと変わりました。
「いやぁ、しかし今日は本当に有意義な時間を過ごせたよ! こんなのは何年振りだろう! ククッ、クハハハハッ!」
「デ、デイビッド様?」
あまりの豹変ぶりに私は驚いてしまいます。
「ああ、申し訳ないでゲス。つい、本当の姿が現れてしまったよ!
ぐへへという笑い声、それにゲス、という言葉、それは全て印象を濃くしようとして行っているのだよ! ククッ、クハハハハッ!」
「そ、そうなんですか……あはは……」
その笑う姿を見て、それで充分濃いです……そしてよっぽど魔王っぽいです……と思った私は、引き攣った笑いを浮かべる事しか出来ませんでした。
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