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第六十話 旅行好きの友達

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 その日の昼食どき、ワタクシはいつもとは違って友達二人と一緒にご飯を食べることにしたのですわ。

「カタリナちゃん、珍しいね。あちきたちと一緒にご飯食べるなんて」

 とは赤い髪の女の子の名前はジェティビちゃん。

「そうそう、カタリナちゃんはいっつもレオナちゃんやアインス君と一緒だもんね。ウチらとご飯なんて初めて? じゃないかしら」

 とは青い髪の女の子ヒスちゃんですわ。この二人はとても仲が良いですの。そして、共通の趣味で有名ですわ。それは、旅行。ワタクシは良い旅先の情報収集をお二人から出来ないか、と思って昼食を一緒に食べることにしたんですわ。

「で、話って何かしら?」

 早速、ジェティビちゃんがワタクシに尋ねてきましたわ。

「実は今度の月末に、旅行へ行こうという話になったのですわ。それで旅に詳しいあなた方から何か聞けないか、と思いましたのですわ」

「なるほど。ってことはそんなに遠くに行けないわね」

「ってことは今回はあちきの出番ね。ヒスは国外の旅に詳しいから」

 ジェティビちゃんは自分の出番だとおっしゃいます。ヒスちゃんを見ると、少し悔しそうな表情をしながら頷いていたのですわ。

「仕方ないわ。今回は譲るわ。国内の旅はジェティビに負けるしね。国外も行けないことはないけど、ここからじゃプルミエールのキリィが関の山ってところ。別に面白くもない普通の街だしね」

「はい! ということで今回はあちき、ジェティビの出番なのだー。で、カタリナちゃんは何か要望あるかしらん?」

 とりあえずワタクシは簡単に要望をジェティビちゃんにお伝えしましたですの。

「そうね。片道二日以内で御主神様アインスさまワタクシたちも楽しめるところがいいわ。何処か無いかしら」

「んー。そうするとあそことかどうかな? ラムネスは?」

「良いわね! さすがジェティビ!」

 ジェティビちゃんの提案にヒスちゃんが褒めていますわ。でもワタクシはラムネスという場所? 知らないのです。

「ラムネス? 何処かしら、そこは」

 するとジェティビちゃんはどこからとも無く地図をばさりと広げて、その地図に指をさしながら教えてくれたのですわ。

「ラムネスの街はね……コレ見て? ソフィアから南にまっすぐ行くとブランシュ山があるでしょ? そこの麓にある村で一泊、ここまで大体丸一日。その後ぐるっとブランシュ山を回って反対側の麓の街へ。ここも丸一日かかるのよ。これで片道二日、ちなみにそこが目的地のラムネスよ。着いた初日はもう夜だし泊まるだけ。次の日とその次の日はまるまる遊べるわ。で、その次の日の朝発って反対側の麓の村で一泊。次の日の夜になる頃に帰って来れるわ」

「確かに場所はちょうど良いですわね。で、そこに何があるのかしら?」

「行ってのお楽しみー! と言いたい所だけど、それじゃ決められないだろうしね。温泉があるのよ。この国唯一のお♪ん♪せ♪ん♪」

 聞き覚えの無い言葉にワタクシ首を傾げましたのですわ。

「温泉? 何かしら、それは」

「温泉はね、簡単に言うと地面からお湯がいっぱい、いーーっぱい出てるの。でね、でね! そのお湯は普通のお湯とはちょーっと違うのよ。それに浸かるの。水浴びと違って暖かくて癒されるわよー。この辺じゃシャワーを浴びる習慣はあるけど、お風呂に入る習慣ないしね」

 するとヒスちゃんが感慨深く頷きましたわ。

「そうそう、お風呂は東方の国の習慣だからね。ホントはウチは毎日でも入りたいけど。家には浴槽も無いし……お湯もいっぱい使うから大変だしね。この辺じゃ、ラークアしかないくらいだし」

「あら、孤児院にも一応ありましてよ? 使ってはないけれども……まとめて子どもたちを入れるにはちょうど良かったみたい。でもお金がかかりますからね」

「えー、うそ! いいなぁ! 今度使わせてよ!」

 ヒスちゃんが、浴槽を使いたいとワタクシにお願いして来ましたんですの。

「ええ、シスターに頼んでも宜しくてよ。でも、お湯まで用意は難しいんじゃ無いかしら」

 するとジェティビちゃんが話に入ってきましたわ。

「だよねー、普通はそうよ。で♪も、この街にはいっぱい温泉が湧くから入れるのよん♪ だから宿もいっぱいあるしね!」

「なるほど……でも、温泉ってのに入るだけで楽しいの?」

「ふっふっふっ……このジェイティビ様を舐めないで欲しいわん! 普通、シャワーとかお風呂は普通は男女別だけど、ななななーんと! ラムネスには男女一緒に入れる施設があるのよ!」

 その言葉に、さすがのワタクシも動揺してしまいますわ。

「えっ? い、一緒に? さ、さすがに恥ずかしいですわ……」

 すると、ジェティビは身を乗り出して続けましたわ。

「大丈夫、それは安心して。水浴びの時に使う水着……皆、着て入るから」

「な、なるほど……み、水着ですわね。な、名前は聞いたことありますわ」

「そ♪れ♪に、カタリナちゃん、すんごい体してるから、水着でアインス君のこと、悩殺出来るわよ。のーさつ♪ お気に入りなんでしょ? アインス君のことが?」

 ジェイティビがウィンクしてワタクシの胸をつんつんと指したですわ。

「の、悩殺なんて……そんな……」

 ワタクシは顔に手を当てて恥ずかしがってしまいまのですわ。すると、ジェティビちゃんは席を立ちこう告げたのですわ。

「あ、そろそろ行かなきゃ! 授業の準備しなきゃいけないしね! じゃあね!」

「え、ええ! ありがとうですわ」

「待って! ウチも行くわ! あ、カタリナちゃん! 水着持ってくの忘れないでね! あと、結果教えてね!」

 と、ワタクシは慌ただしく去っていお二人の背を見送ったのですわ。
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