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第三話 賢者プラム
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「はい、着いたわよー。皆お疲れ様」
馬車が止まってすぐに御者台のアマンダ先生が振り返って僕達に声をかけた。馬車無事にソフィアに着いたようだ。太陽は少し頂上を過ぎたように見える。昼過ぎといったところかな。アマンダ先生の声が聞こえるとすぐに勝手を知っている村の皆はさっさと馬車を降りていってしまった。僕も慌てて馬車を降りた。
馬車は学園まで乗り入れていたようで、校門の前に止まっていた。石造りの門の向こう側には園庭が広がっている。真ん中に噴水があって、正面奥に大きな建物がある。村の皆はそちらに向かって歩いているようだった
「アインス君とプラムちゃんはあっちの講堂に向かって」
初めての光景に見入っている僕達に向かってアマンダ先生は話しかけてきた。アマンダ先生が指で示している方向には大きな建物がある。アマンダ先生の言葉だとあれが講堂なのだそうだ。校門入って左側の少し奥の方にある。
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃ、私は馬車を返してくるからまた後でね」
プラムと二人でぺこりとお辞儀するとアマンダ先生は手をひらひらと振って馬車を走らせだした。馬車が動き出すと同時にプラムが僕の顔を覗き込んでくる。
「じゃ、行こうかー」
「ちょ、ちょっと。顔近いってば! ほら、行くよ!」
プラムが急に顔を近づけて来るもんだから僕は照れてしまった。こういう所は凄く可愛いんだけど、いつになっても慣れなくて戸惑ってしまう。
僕は照れを隠して急いで講堂に向かった。入口付近で何人かが話しているようだった。恐らく、先に着いた新入生達といったところかな。既に知り合いなのか、話し込んでいて僕達には気づかないようだった。
「君達、受付はしましたか? まだでしたらこちらへ」
声が聞こえた方を見ると長机がある。入ってすぐ右側が受付みたいだ。青年が一人で座ってこちらを見ていた。
「あ、はい。わかりました」
すぐ近くに居たプラムから受付をする。簡単な会話だけで、一枚の紙を渡されてすぐに奥の部屋に通された。その部屋に入る前に大荷物は入口付近に置くように指示がったようだった。
次は僕の番だ。
「何処から来ました? あと名前を……」
「ルーチェ村のアインスです」
僕の返答を聞いて、青年はパラパラと書類の束を捲った。そして、その手をピタリと止めたあと、うんうんと頷いていた。恐らく僕のことを書いてある箇所を見つけたのだろう。そして、その紙をピリピリと半分に切り取った。
「えっと……はい、大丈夫です。じゃあすぐにさっきの子が出てくるだろうから、その後にこれを持ってあの部屋に入って下さい。職位の判定に入ります。扉のすぐ横で待っててくれるかな? 荷物は入口の横にでも置いておいて下さい」
僕は紙を一枚受け取った。青年はさっきプラムが入った扉を指さしていた。どうやらあそこで職位の判定が行われるみたい。今はプラムの職位を調べてるんだろう。
「わかりました」
僕はそう言って指示された扉の横に荷物を置いた。すぐに出てくるとのことだったから立って待っていた。でも、なかなか出てこない。さっきの受付の青年もチラチラ扉の方を見ているから多分いつもより長いんだろう。
ルーチェ村の新入生は僕とプラムだけだし、他に受付を待ってる人もいないから手持ち無沙汰ではあるみたいだ。
「遅すぎる……何があったんだろ……」
青年の呟きが聞こえる。さすがに時間がかかり過ぎているみたいだな。といっても僕は待つことしか出来ないんだけど。プラムに何かあったのかな? もしかして特別職だったりして。戦闘向きの職位はあるけど、勇者とか賢者といった特別な職位は一人でも戦況を左右するって聞いたことがある。
そう言えば一昨年だったかな? 第二王子のジェラール様が勇者だってわかって、国中の話題になったんだっけかな。そしたらプラムは賢者だったりして……
と、次の瞬間に扉が開かれ、中から興奮気味のプラムが飛び出して来た。すぐ側に居た僕の手を取ってブンブンと上下に振りながら大きな声で叫んだ。
「あたし賢者だったよー」
馬車が止まってすぐに御者台のアマンダ先生が振り返って僕達に声をかけた。馬車無事にソフィアに着いたようだ。太陽は少し頂上を過ぎたように見える。昼過ぎといったところかな。アマンダ先生の声が聞こえるとすぐに勝手を知っている村の皆はさっさと馬車を降りていってしまった。僕も慌てて馬車を降りた。
馬車は学園まで乗り入れていたようで、校門の前に止まっていた。石造りの門の向こう側には園庭が広がっている。真ん中に噴水があって、正面奥に大きな建物がある。村の皆はそちらに向かって歩いているようだった
「アインス君とプラムちゃんはあっちの講堂に向かって」
初めての光景に見入っている僕達に向かってアマンダ先生は話しかけてきた。アマンダ先生が指で示している方向には大きな建物がある。アマンダ先生の言葉だとあれが講堂なのだそうだ。校門入って左側の少し奥の方にある。
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃ、私は馬車を返してくるからまた後でね」
プラムと二人でぺこりとお辞儀するとアマンダ先生は手をひらひらと振って馬車を走らせだした。馬車が動き出すと同時にプラムが僕の顔を覗き込んでくる。
「じゃ、行こうかー」
「ちょ、ちょっと。顔近いってば! ほら、行くよ!」
プラムが急に顔を近づけて来るもんだから僕は照れてしまった。こういう所は凄く可愛いんだけど、いつになっても慣れなくて戸惑ってしまう。
僕は照れを隠して急いで講堂に向かった。入口付近で何人かが話しているようだった。恐らく、先に着いた新入生達といったところかな。既に知り合いなのか、話し込んでいて僕達には気づかないようだった。
「君達、受付はしましたか? まだでしたらこちらへ」
声が聞こえた方を見ると長机がある。入ってすぐ右側が受付みたいだ。青年が一人で座ってこちらを見ていた。
「あ、はい。わかりました」
すぐ近くに居たプラムから受付をする。簡単な会話だけで、一枚の紙を渡されてすぐに奥の部屋に通された。その部屋に入る前に大荷物は入口付近に置くように指示がったようだった。
次は僕の番だ。
「何処から来ました? あと名前を……」
「ルーチェ村のアインスです」
僕の返答を聞いて、青年はパラパラと書類の束を捲った。そして、その手をピタリと止めたあと、うんうんと頷いていた。恐らく僕のことを書いてある箇所を見つけたのだろう。そして、その紙をピリピリと半分に切り取った。
「えっと……はい、大丈夫です。じゃあすぐにさっきの子が出てくるだろうから、その後にこれを持ってあの部屋に入って下さい。職位の判定に入ります。扉のすぐ横で待っててくれるかな? 荷物は入口の横にでも置いておいて下さい」
僕は紙を一枚受け取った。青年はさっきプラムが入った扉を指さしていた。どうやらあそこで職位の判定が行われるみたい。今はプラムの職位を調べてるんだろう。
「わかりました」
僕はそう言って指示された扉の横に荷物を置いた。すぐに出てくるとのことだったから立って待っていた。でも、なかなか出てこない。さっきの受付の青年もチラチラ扉の方を見ているから多分いつもより長いんだろう。
ルーチェ村の新入生は僕とプラムだけだし、他に受付を待ってる人もいないから手持ち無沙汰ではあるみたいだ。
「遅すぎる……何があったんだろ……」
青年の呟きが聞こえる。さすがに時間がかかり過ぎているみたいだな。といっても僕は待つことしか出来ないんだけど。プラムに何かあったのかな? もしかして特別職だったりして。戦闘向きの職位はあるけど、勇者とか賢者といった特別な職位は一人でも戦況を左右するって聞いたことがある。
そう言えば一昨年だったかな? 第二王子のジェラール様が勇者だってわかって、国中の話題になったんだっけかな。そしたらプラムは賢者だったりして……
と、次の瞬間に扉が開かれ、中から興奮気味のプラムが飛び出して来た。すぐ側に居た僕の手を取ってブンブンと上下に振りながら大きな声で叫んだ。
「あたし賢者だったよー」
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