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パルメティの街

目が覚めました

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 次の目覚めは朝日の光をまぶたに感じたからでもあるが、水っぽい音が耳に届いたのも要因の一つだ。

「……ん?」

 昨夜に続きまたも寝ぼけ気味に瞼を開けたホイムだったが、今朝もやはり体が動かない。
 今度はルカがお腹に乗っている感じ……ではなく、睡眠を経たのに体がダルい。
 理由はすぐに分かった。

「ルカ……ちょっと……」

 昨夜と同じくルカはホイムと一緒にベッドにいる。
 しかし狼形態ではなく、人の姿をしてホイムの上にいる。
 水音の正体は、ルカが下着まで脱がせたホイムの股に顔を埋めて一心不乱に吸い付いていたからだ。

「もご? むぐぐっ!」

 ホイムの起床を確認したルカは元気いっぱいに返事をしているようであったが、口いっぱいに元気いっぱいのを頬張っているせいで何を言ってるのか全く伝わらなかった。

「ちょっと……あ、ダメだよこれ本当マジでそんなん!」

 意識がはっきりと覚醒してくると同時に、下半身が痺れるように熱く……寧ろ痛くなっていることを自覚していく。
 もがくホイムがルカの寝起き奉仕から逃れる前に限界がきた。
 ルカの中でぴくぴくと暴れているのは間違いなく、その間彼女も一切口を離そうとしないので起きて早々頭の芯が蕩けそうになるのだが、全くもって精を吐きだしている感覚がない。

「ルカあのね……ごめんちょっと止めて!」
「んん?」

 言うことを聞いて動きは止まるが口を離しはしていない。そうやって眠りこけているホイムにずっと引っ付いていたに違いない。

「あのね……僕何回イってる?」
「むむ……もっもっ!」
「口離して答えてね!」

 そのままずっと含まれていたらまた元気になるのは明白だったが、もう朝イチから限界待ったなしの状態であるのはホイム自身がよく分かっていた。

「んぱっ……六回!」

 起きてから……正確には起きる前からルカに付き合わされていたのだが、既にそれだけの回数を迎えていれば、出すものもすっからかんになって当然であった。

「……朝からどうして?」

 理由を訊ねると、昨日と打って変わって元気なルカは笑顔でホイムに答える。

「昨日何もできなかった! だから今日いっぱいする!」

 一日が過ぎて寂しさに丸くなる期間は終わったのだろうし、彼女が元気になることはホイムとしても嬉しいことではあるが、それはそれとして今日はもう朝から限界である。

「キュアを……いや意味がない」

 女神のもとで学んだ回復魔法の使い方を実践すれば下半身の元気は戻るがしかし体力までは戻らない。
 それではあまり意味がない。今はとにかく逃れなくては。
 しかしホイムの思惑通りにいくわけもない。
 下半身にしがみついていたルカが、今度はホイムの体に覆いかぶさってきたのだ。
「練習終わり! 今から本番!」
 口の周りについていたモノを舌なめずりして拭い取ったルカが、ホイムの限界とは裏腹にまだイケますと張り切る下半身にゆっくりと跨ってくる。
 ルカの方は受け入れる準備万端であり、ホイムの体も突撃する気があるようだ。
 拒否したがっているのはホイムの意思だけである。

「こ……殺される」

 短時間で幾度も絶頂を迎えたせいでの過労死。
 ある意味羨ましい末路であるが彼はまだ死ぬには早いのだ。
 こういう時、彼が頼るのは決まっている。

「助けてー、アカネさぁん!」

 どうにか絞り出して彼女の名前を呼んだ瞬間、ホイムの体はルカの下から連れ出されていた。
 代わりに彼女は干し肉をしゃぶらされていた。

「ムグムグ……。これ知ってる……変わり身の干し肉!」

 干し肉を口にしたまま、ルカは驚きの声を上げる。

「おはようございますホイム様」

 アカネの手によって救出されたホイムは、部屋の隅で彼女に抱きかかえられていた。

「おはようございます……」

 それだけ答えてホイムの首がかくっと落ちた。起きて早々体力の限界を迎えたので、また眠りについたのだった。
 ようやくホイムの調子が戻ってまともに動けそうになったのはお昼ごろであった。
 その間、ルカはあまりにホイムを酷使させてしまった反省と称してアカネに散々お説教をされていた。

「うう……ルカも今後は自重する」
「その通りです! 私も三人旅ということで自身の分を弁え、節度のある関係を築いていこうと決めたのです。ルカもそうしてください」
(今日のルカと同じくらいの回数を二人旅最後の夜にヤっちゃってるんだけど……)

 ホイムは少し苦笑いしてしまった。

「お説教もその辺りにして、そろそろ冒険者ギルドへ行きましょうか」

 アカネはまだ物足りなかったようだが、ようやく解放されると悟ったルカは喜んでホイムのもとにすっ飛んでくる。

「ああもう……言ってる傍から」
「まあまあ」

 アカネを宥め、ホイム達はパルメティに来て三日目にしてようやく三人揃って街を歩くことができたのだった。

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