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第6章 修学旅行編

第198話「夜の肝試し」

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肝試しを行うペアを決めるためのくじ引きが、1班から順に進んでいき…



剣崎: 次、3班!


日向子: はーい!!みんな、行こ!!


東野: はいはい笑


秋吉: 誰とかな~


3班男子1: ふぅ…ふぅ…


3班男子2: 深呼吸しっかり笑


飛香: (お願いします、神様…)



と、3班がくじを引く。



日向子: お!17番!!まだ誰も引いてない!!


東野: 2番。


秋吉: 7番……あ!よろしくね!!


7番の男子: は、はい//(や、やはり…可愛い…)


3班男子1: 23番…よろしくお願いします…


23番の男子: お、おう…どうしたんだ?


3班男子2: お化けが苦手みたいで笑


23番の男子: なるほど笑


飛香: …15番……ふぅ…まずはセーフ。



そして、さらにくじ引きは進み…



剣崎: 5班!


川嶋: よぉ~し!!行くよ!!


春時: もう、完全におかしくなってるじゃん笑


祐希: くじ引き、くじ引き~


守里: 屋台のくじ引きじゃないんだから笑


美月: (お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします…)


陽芽叶: (守里と…)


剣崎: 川嶋さんからどうぞ笑


川嶋: は、はい!!……2番です!!


東野: あ、志帆ちゃん!一緒!!


川嶋: はい!!一緒です!!澪奈ちゃん!!


東野: テンション大丈夫?笑


春時: お化けを怖がり過ぎて、ヤバいことになってるから頼んだ。


東野: 了解笑


春時: 俺、10番だから、よろしく。


10番の女子: うん。よろしく。


祐希: あ!17番だ!!


日向子: 17番?!祐希ちゃん!!


祐希: 日向子!!!やった!!


ギュッ!!


守里: 僕は何番かな…


剣崎: 森崎君の番号は、私も楽しみだよ笑


守里: え?……9番です。


剣崎: お、誰もまだ引いてないね。


守里: そうですね。


飛香: はぁ…


東野: 頑張れ、飛香ボソッ


川嶋: が、頑張りま~す!!


美月: …引きます。(9番9番9番9番9番9番9番9番9番9番9番9番9番9番…)


ガサガサ


美月: これだ!!……15番。


飛香: っ!!!


剣崎: 山室さんとペアだよ。


美月: ガクリ……いってきます……


飛香: …


ポンポン



何も言わず、美月の背中を優しく叩く飛香。



美月: 飛香……うん。


陽芽叶: ふぅ……っ!!!9番!!!


飛香: な…


美月: 引きやがった陽芽叶…


守里: 陽芽叶さんとペアか。


陽芽叶: やった~守里~


守里: 笑、よろしく。


陽芽叶: うん!よろしく!!




5分後…
 


剣崎: よし!ペアも決まったし、準備も完了したし、スタートするよ!まずは1番のペアはあっちの…ほら、骸骨の仮面を被って、手を振ってる案内人がいるスタート地点に向かってね。


1番の男子1: 行くぞ。


1番の男子2: お、おう…



こうして、肝試しが始まり…




「きゃーー!!!!」


「ぎゃ~」


「うわぁぁぁぁぁあああ!!!!」



待機場所でも、あちらこちらから叫び声が聞こえる。



守里: なんか不安になってきた笑


陽芽叶: ね笑。志帆ちゃんは大丈夫かな?


守里: 東野さんと一緒だから……




第1コースの道中



川嶋: おばけなんてな~いさ…おばけなんてうそ~さ…ねぼけたひとが…みまちがえた~のさ…


東野: 懐かし、それ笑。私も歌おう!


川嶋 東野: だけどちょっと…だけどちょっと…ぼ~くだってこわいな…



1人は楽しそうに、1人は恐る恐る歌いながら道を歩いていると…



川嶋 東野: おばけなんてな~いさ…おばけなんてう…


「ぐぁぁああ!!」



東野の真横から血濡れの手が飛び出してくる。



東野: うわぁぁああ!!…び、びっくりした~大丈夫?しお…



冷静になった後、隣の川嶋の方を見るが…



東野: あ、あれ?



視界の中に、川嶋がいない。



東野: 志帆ちゃん……って…



ふと、目線を下に下げると…



川嶋: ぅぅぅぅ…



地面に座り込み、泣いている川嶋を発見した。



東野: え~っと、志帆ちゃん、大丈夫?


川嶋: もう、無理~~


東野: (こりゃ大変だ笑)




そして、少し時間が経ち、守里と陽芽叶のペアがスタートする時間になる。



剣崎: 次、9番のペア!


守里: 陽芽叶さん、行ける?


陽芽叶: うん。



2人は、案内人のいるスタート地点へ。



案内人: ようこそ、迷いの森へ。


守里: は、はい。



随分と芝居がかった案内人だな。



案内人: この迷いの森には、京都中の亡霊が封印されし祠があるのですが、どうやら今宵はその封印が弱まっているようで、森の中には多くの亡霊が、生者を求めてさまよっています。


陽芽叶: なんかゲームみたいボソッ


守里: 確かにボソッ笑


案内人: そこで御二方には、この封印の御札を、この森の中にある祠に納めて来て欲しいのです。


守里: 分かりました。


陽芽叶: 頑張ります。


案内人: 笑、ではこちらの御札と、夜道を照らす光をどうぞ。



夜道を照らす光って、懐中電灯じゃん笑



守里: ありがとうございます。陽芽叶さんは、御札の方をお願い。


陽芽叶: 守里は、ちゃんと夜道を照らしてよ笑、その光で。


守里: はいはい笑


案内人: 無事に戻ってこられることを、お祈りしています。


守里: よし、行こう。


陽芽叶: うん。



こうして、2人は肝試しをスタートさせた。


◈◈◈


守里: 森の中に入ると、余計暗いな…


陽芽叶: 月明かりも遮られちゃうからね。


守里: ライトの感じ、大丈夫?


陽芽叶: うん。問題ない。


守里: 懐中電灯なんて、使う機会ないからさ笑


陽芽叶: みんな、そんなもんでしょ笑。私も1、2回ってところ。


守里: 僕も、小さい頃に…父さんと行ったキャンプの時ぐらいかな。


陽芽叶: ふ~ん………他には…家とかで使ったことはないの?


守里: 家ではないでしょ笑、携帯があるんだし。


陽芽叶: …笑、だよね。



昔、夜に私の家を探検した時に、守里は懐中電灯を持ってたんだけどな~


覚えてない…か笑

あの時は確か、壁に飾ってあった肖像画の顔にびっくりした日向子の叫び声に、私がびっくりして、腰を抜かしちゃったんだよね笑



陽芽叶: 笑


守里: 陽芽叶さんって、お化け得意なの?


陽芽叶: ん?まぁ、普通だけど。


守里: いや、笑ってたからさ。こういうのも大丈夫な人なのかな?って思って。


陽芽叶: あぁ笑。さっきのは思い出し笑いだよ。ちょっと、小さい時のことを思い出して。


守里: へぇ~ちなみにどんな話?


陽芽叶: 聞いちゃうの?笑


守里: 話したくないなら別に良いんだけど…


陽芽叶: う~ん……私が小さい時に、よく遊んでた友達がいたんだけどね。その子達と一緒に、夜、私の家を探検してた時に、友達の1人が何かに驚いて出した大声に、私が驚いて、しばらくその場から動けなくなっちゃったんだ笑


守里: そんなことが……笑、陽芽叶さんもそういう時代があったんだね。


陽芽叶: それ、どういうこと?笑


守里: ほら、陽芽叶さんって、いつもしっかりしてて、あんまり驚いてる姿とか見たことないからさ。


陽芽叶: そう?笑。守里が思ってるほど、私はしっかりしてないんだけどな~



はぁ…

やっぱり、寂しい。


…僕の、驚いてる顔も、怒っている顔も、泣いてる顔も…

そして、僕が心から笑っている顔も、何度も守里は見たことがあるはずなのに。


守里は僕のことを覚えていない。


梅には、あんな普通に答えたけど…


守里と一緒にいると、さらに強くなる。

寂しいって気持ちが。



陽芽叶: …


守里: そろそろ来そうだ……ね?陽芽叶さん。


陽芽叶: そうだね笑


ガサガサ


「うわぁぁ!!」


守里: っ!!!


陽芽叶: …


ギュッ


守里: え…


陽芽叶: 怖いから、こうしてても良い?


守里: わ、分かった。



ものすごく寂しい。

だから…


私から昔のことを話して、守里に思い出してもらうことはできないけど…


距離を縮めて、守里の視界に私を入れて。

少しずつでも、私の事を守里に思い出してもらう。


そして、私は…僕は、絶対に美月や飛香、紗耶ちゃんに珠美ちゃん…そして……

日向子に、負けない!



陽芽叶: 頼りになるな~守里は。


守里: 笑、それなら良かった。



思いを強めた陽芽叶は、守里と腕を組んで夜道を進んで行った。



お化け役: (見せつけやがって…クッ青春だな~……よし次だ次。)


◈◈◈


守里: お、ここが祠かな。


陽芽叶: やっと中間地点か笑



スタート地点から、7分ほどかけて、中間地点まで歩いてきた2人。



守里: びっくりポイントがこれまでに10個。その上、全部パターンが違うって……先生達、やり過ぎだよ笑


陽芽叶: 大変だったね。


守里: うん笑。よし、この箱に御札を…


陽芽叶: 1、2………計8枚。私達の前の班は、ちゃんと亡霊を封印する御札を納めたみたい笑


守里: まだその設定、覚えてたんだ笑


陽芽叶: もちろんだよ笑。こういうのは、ちゃんと設定に入り込まないと。


守里: そっか笑……なら、さまよう亡霊達の魂が、再び安らかに眠れますように。


陽芽叶: 笑、はい、これでOK。


守里: で、このキーホルダー……ん?これって、京都の有名なご当地キャラじゃん。


陽芽叶: そうなの?


守里: うん。名前は忘れちゃったけど。


陽芽叶: へぇ~これを2つ持っていけば良いんだよね。


守里: そうそう。


陽芽叶: じゃあ、早くゴールに行こ!


守里: あと半分、頑張ろう。


陽芽叶: うん。


ギュッ




5分後…



守里: なんか、さらに冷え込んで来たような…


陽芽叶: それ……クチュンッ…///ごめん…


守里: 笑、可愛いくしゃみだね。


陽芽叶: ///んもう!


守里: はい、これ。



そう言って守里は、着ていた上着を陽芽叶に渡す。



陽芽叶: え?


守里: 風邪ひくとアレだから、これ羽織って。


陽芽叶: でも、守里は…


守里: 僕は厚着してるから、大丈夫。


陽芽叶: …


守里: 僕のじゃ嫌かな…


陽芽叶: そんなことないよ!…ありがとう。


守里: 少しはマシになった?


陽芽叶: うん。とっても。


守里: 良かった笑



陽芽叶は、守里の暖かさを感じながら、さらに距離を詰めようと、守里の腕を掴む力を少し強め…



陽芽叶: …本当に守里は、優しくて、カッコいい。


守里: 笑、そんなことないって。


陽芽叶: 昔から。


守里: ん?昔?


陽芽叶: あ…いや、私が転校してきてからってことだよ笑


守里: そういう事ね笑



「ほんと、守里って優しくて、カッコいいよね!」



守里: …



なんだろう…

懐かしい感じがする。


この言葉と、声と…

そして、暖かさ…



陽芽叶: なんか、向こうの木の裏に、白いのいない?


守里: …


陽芽叶: ねぇ、守里!


守里: え?な、なに?


陽芽叶: ほら、あそこに白いヤツいるよね!


守里: う~ん、確かにいるね笑


陽芽叶: 先にお化けを見つけちゃった笑



すぐ横にいる守里に、心からの笑顔を向ける陽芽叶。



守里: っ!!



この笑顔……どこかで…



「グギャァァァアアア!!!」


陽芽叶: おっと、あの白いのは、これの布石だったのか……じゃあ、まんまと先生達の手の平の上で転がされてただけだったんだ笑


守里: 笑、だね。



その後も、2人はそこまでお化けに動じることなく、無事、ゴールへとたどり着いた。


ちなみに、肝試しをしている最中の1組生徒以外が集まるゴール地点に、腕を組んだ2人が入って来た時、3名を除いたクラスの面々と、剣崎は温かい目を向けたが、1人は意識を飛ばしており、もう2人はゴール地点に目を向けず、エンジン全開でスタート地点に立っていた。


そして、もしそこにいたら、最もダメージを受けていたであろう2人は、なんと手を繋いで、お化けへの恐怖と戦っていたのであった。



美月: ちょっと、怖くないんじゃなかったの?


飛香: そういう美月こそ、手汗すごいんだけど。


美月: それは飛香の手汗!


飛香: 美月の!


「ガァァアアア!!」


飛香 美月: キャァァァアアアア!!!!!



こうして、修学旅行2日目が終わったのだった。




to be continued
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