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閑章1

第59話「学生共通の敵」

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教室



剣崎: みんなおはよう!


「おはようございます!」



朝のホームルームが始まった。



剣崎: 今日の連絡は特にないんだけど、来週に中間テストがあるから、各教科のテスト範囲を確認して、ちゃんと勉強するようにね。


「……」


剣崎: あら、いつもの元気な返事はどうしたの?笑、テストが嫌なのは分かるけど、高校生である以上、避けられないことなんだからさ。頑張ろ!


「はい。」


剣崎: うん、よろしい。じゃ、これでホームルームは終わりね。学級委員号令!


春時: 起立、礼!


「ありがとうございました。」


剣崎: はーい。



ガラガラ



飛香: もうそんな時期か。


守里: だね。



そう言いつつ、守里は美月を見る。



美月: ポカーン…



美月は驚いた表情のまま固まっていた。


桜と同じく固まるんだな笑



守里: ねぇ、飛香。隣を見て笑


飛香: え?…どういうこと?


守里: 美月は勉強が苦手みたいで、テストが来週あることに驚いてるの。


飛香: そうだったのね。


守里: ちなみに、桜や蓮花も勉強が苦手みたいなんだ。


飛香: へぇ…(嫌な予感がする…)


守里: それで、なんだけどさ…今回はいつもの2人を飛香に任せてもいいかな?


飛香: 嫌だ。



飛香は即答する。



守里: そこをなんとか!


飛香: これまで、あの2人の相手を、私と守里でやってる時でさえ、あんな大変だったのに、それを1人でやるなんて、もう壊れちゃう…


春時: 何が壊れちゃうんだ?



守里と飛香が話していたところに、春時が入ってくる。



飛香: ちょっと聞いてよ、春時。守里があの2人の相手を私1人でやれって言ってくるんだよ。


春時: あの2人?


守里: 中間テスト。


春時: あぁ…で、守里はなんでそんなことを?


守里: うちの家族の方を、手伝わないといけないんだ。


春時: まさか、美月や、桜ちゃんもなのか?


守里: 蓮花もだ…能中のテスト期間も被ってる…


春時: それは…大変だな…


飛香: 結真さんにやってもらうことは出来ないの?


守里: 僕もそう言ったんだけど、忙しいからって断られた。


飛香: はぁ…


春時: どうしようもないか…飛香。


飛香: …


春時: 俺も手伝うから、頑張ろうぜ。


飛香: …


守里: なんでも言うこと聞くから、お願いします!


飛香: …何でも?


守里: え、う、うん…何でも。


飛香: …分かった。やるよ。


守里: ありがとう!飛香!!


飛香: テスト終わったら、ちゃんとお願い事聞いてもらうからね。


守里: うん!もちろん!!


春時: (飛香のお願い事か…笑)


飛香: ってか、そろそろ来そう。


春時: 放心状態から、回復する時間だ。


守里: そうだね。



と、守里が言ったところで…



日向子: 守里!!!!!!!



日向子がすごいスピードで、守里達の席の近くに来る。



祐希: 守里!!!!!!!



祐希も、普段じゃ考えられないような俊敏さで、守里のところへ。



日向子 祐希: 勉強教えて!!!!!


守里: 今回は飛香!!



守里は飛香の方に2人を誘導する。



日向子 祐希: あっしゅん「飛香」!!!勉強教えて!!!


飛香: わかったから、落ち着いて。


日向子 祐希: はい!!



よし、これでこの2人はOKだ。


僕は美月の方に行こうかな。



守里: じゃ、飛香、春時よろしく。


飛香: …うん。


春時: おう。



守里は美月の正面へ移動する。



守里: 美月?


美月: …


守里: おーい、美月、そろそろ戻ってきて~



美月の肩を揺らす。



美月: はっ!!守里!


守里: 気づいた?美月?


美月: うん、なんか聞こえてはいけない単語が聞こえて、意識が飛んでた。



桜と同じか笑



守里: そっか笑。中間テストに向けて、勉強頑張らないとね。


美月: …ちゅう…かん……てす……と?


守里: そう、中間テスト。


美月: い、いやだな~守里、何をい、いいい言ってるのかな~


守里: 現実を見よう、美月。


美月: ………守里。


守里: なに?


美月: 助けて…私…


守里: …


美月: 勉強が天敵なの!!!


守里: うん、結真姉さんから聞いた。僕が教えてあげるから、頑張ろ。


美月: ほんと?


守里: うん。


美月: やった!!!!!


守里: 今日から勉強頑張ろうね。


美月: う、うん…



勉強という単語を聞くだけで、ここまでテンションが下がるものなのか…


◇◇◇◇


昼休み



守里: よっしゃ、行くか。


春時: おう。


日向子: 今日は何パンにしようかな!


飛香: 最近、日向子食べ過ぎじゃないの?


日向子: 部活が大変だから仕方ないの!!!


美月: そう言う飛香は、食べなさ過ぎじゃない?


飛香: そう?


春時: 飛香は昔から少食だから。


美月: それに、食べるところを隠すよね。


日向子: それも昔からの癖!!


美月: なんかさ、飛香は細いし、顔も小さいから、豆に見えちゃうよね。


飛香: あぁ?💢


春時: (やっぱ美月も、気付かぬうちに地雷を踏み抜くタイプか…)


日向子: だよね、だよね。あっしゅんはまるで、マッチ棒みたいだよね。



前に葵波さんが、そんなこと言ってたな…



飛香: ……


春時: (あ、ヤバい…飛香がキレる。)


守里: 確かに…


飛香: ……………


春時: (おいおい、守里まで追い討ちをかけるのかよ。)


守里: 飛香は、顔小さいし、スタイルも良いし、可愛いよな。


飛香: ////////


春時: ホッ…(守里はこれを無自覚でやるから、アレなんだよな…でも今回は助かったぜ。)


美月: ちょ、守里。私は?


守里: え?


美月: 可愛い?


守里: うん。


美月: ///


春時: (自分で聞いといて、照れてるよ笑)


日向子: 早く購買行こ!!


守里: そうだね、桜達もいるだろうし。


春時: ほら、2人も行くよ。


飛香: …分かった。


美月: …うん。


◇◇◇


中庭



守里: 紗耶ちゃんは、今回のテスト大丈夫そう?


紗耶: え、もちろん…


春時: 問題ありありだろ。


紗耶: そうそう、問題しかないです!!ってバカ兄貴も大して変わらないじゃん!!


春時: お前よりはマシだ。


紗耶: なんだと?!


守里: まぁまぁ紗耶ちゃん、落ち着いて。


紗耶: はい!


飛香: かっきーとか、さぁちゃんは大丈夫なの?


菊山: 私はもちろん大丈夫ですよ。



菊山が笑顔で答える。



飛香: そうなんだ。意外かも。


菊山: え、どういうことですか?飛香先輩!!


飛香: いや、なんとなくだよ、なんとなく。


菊山: 私、そんな頭悪そうに見えますか?


飛香: う~ん、ちょっと?


菊山: えーー守里先輩もですか?


守里: い、いや…


菊山: ですよね!!!


日向子: 私は、さぁちゃんのこと、頭良さそうだなって思ってた!!!


菊山: さっすが!日向子先輩!!!


守里: かっきーは大丈夫?


柿谷: 私は…


桜: かっきーはめちゃくちゃ頭良いんだよ。


守里: そうなの?


柿谷: いや、そんなことは…


菊山: かっきーは入試の成績3位です。


日向子: すごっ!!!


飛香: 超頭脳派じゃん!!


守里: かっきーすごいね。


柿谷: そ、そんなことないですよ~


春時: 笑、満更でもなさそう。


美月: (なんか、このやり取り最近見たような…)


守里: 桜はダメなんだよね。


桜: うん、お勉強苦手…


守里: 美月と一緒に、僕が教えるから。


桜: うん!!


美月: よろしく!!


紗耶: いいな~、紗耶も守里先輩から教えてもらいたい。


菊山: それなら、私も教えて欲しいです!!


守里: どうしようか…


美月: 勉強会やれば?


守里: っ!ナイスアイデア!美月!!!


春時: 何を思い付いたんだ?


守里: 今週末、みんなで勉強会しようよ、うちで!


紗耶: え?!


菊山: 良いんですか?!


飛香: なるほど。


日向子: いい考えだ!!!


春時: みんなって、ここにいる全員か?


守里: うん、それと祐希も誘って、全員で教え合おう!


春時: それだと、結構な人数になるな。


柿谷: そんな、家は大丈夫なんですか?


守里: うん、大丈夫だよ。リビングに全員入るでしょ。


美月: まぁ問題ないかな。


桜: だね。


菊山: え、桜と守里先輩達の家って、どれだけでかいんですか…


紗耶: めちゃくちゃ大きいよ。


守里: 紗耶ちゃんは久しぶりになるね。


紗耶: はい!楽しみです!!


飛香: とか言いつつ、私と春時も久しぶりなんだけどね。


守里: そっか、美月達が来てからは1回も来てないか。


春時: だな。


日向子: 私は毎日行ってるぜ!!


守里: じゃあ、みんな大丈夫かな?日曜日にうちで勉強会で?


飛香: うん、私としても助かるし。


春時: おう。


日向子: もっちろん!!!


美月: いいよ。


桜: うん。


紗耶: やった!!!!!


菊山: ありがとうございます!!!!


柿谷: ありがとうございます。


守里: よし、祐希も後で誘っとくから。


美月: お姉ちゃんや、蓮花にも言っとかないと。


桜: 蓮花も一緒にやったら良いんじゃないかな?


守里: そうだね。



こうして、週末の予定が決まった守里達であった。


◇◇◇


教室


ガラガラ



守里: あ、祐希起きてる。ちょうどいい。


祐希: ん?どうしたの?守里。


守里: 今週の日曜日にさ、うちで勉強会やろうと思ってるんだけど、来る?


祐希: え?!良いの?行く行く!!!


守里: お、おう。分かった。



珍しく元気だな。



春時: 俺らと、1年生も来る。


祐希: 1年生?


飛香: そっか、祐希はまだ会ったことないか。


春時: 紗耶のことは分かるだろう?


祐希: そりゃもちろん。仲良いし。


日向子: あと、守里の妹のさくちゃんと、かっきーにさぁちゃん。


祐希: かっきー?さぁちゃん?まぁいいや。良い子達なんでしょ?


日向子: うん!!


飛香: 祐希も仲良くなるチャンスだね。


春時: まぁ祐希の場合は問題ないだろ。美月とも、すぐ打ち解けたし。


美月: うん、祐希は話しやすいんだよね。


祐希: もう!そんな褒めても、このパンはあげないよ!



そう言って、手に持ってるパンを口に詰める祐希。



守里: じゃあ、祐希も来るってことでOKね。


祐希: モグモグ…うん!!!


飛香: にしても大所帯になったね。


春時: 家主達を除くと、7人か。


守里: 色々用意しとかないとだな。


春時: 俺もお菓子とか持ってくから。


飛香: 私も。


日向子: なら、とっておきのやつを持ってくよ!!


守里: 笑、ありがとう。


飛香: 祐希は…って…


祐希: zzzzzz


春時: もう寝てるのかよ。


守里: 相変わらずだな。


美月: ほんと、気持ちやすそうに寝るんだから笑


日向子: だね!!



to be continued

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