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本編
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誠が寝た後考える。
うん。身近に“たつや”っていたじゃん。何で僕忘れてたんだろう…!?
僕の前世の名前、龍也。
まあでもまさかそんなことだと思わないじゃん!?
そして拓海は僕が最後事故に遭った時一緒にいた友人で。
…僕が、片思いをしていたと思っていた相手である。まさか、両思いだったなんて。
報われた気持ちになった。
何度か、誠といて拓海に似てると思ったことがあった。
………多分、というか僕の願望もあるけど、誠は拓海の生まれ変わり、なのでは??
この仮説が正しければ、僕(龍也)と一緒にいることで誠(拓海)の記憶が活発になっていた…?
……元凶僕じゃん!
誠、ごめん…。
強く誠に抱きつく。
泣いたり気を張っていたのが疲れていたのか、誠の腕の中が安心するからか、思いの外すぐに夢の中へと旅立った。
・
・
「…??」
頬に違和感を感じて目を覚ますと、誠が僕の頬をムニムニしていた。
「まほほ?(誠?)」
「ふふ、おはよう」
「ほはひょう(おはよう)」
今日は土曜日。休日なのだ。
僕は誠に話があるわけなのだけど。
朝ごはんが食べ終わり、ひと段落した頃。
「…誠、昨日の話の続き、してもいい?」
「………うん、もちろん」
気のせいかな、誠の表情が硬いような。
何回か深呼吸をする。
「あの、あの、ね。昨日言ってた、“拓海”と“龍也”のことなんだけど。
………僕はその、“龍也”の記憶があるんだ」
「………!?」
「前世?っていうのかな。“日本”で生きていた記憶がある」
「いや、そんな……、まさか」
「僕もまさかだった。誠が寝言で言ったたつやが“龍也”だと全く疑わなかったくらい」
「………………っ」
「……信じられないよね。僕もまだ信じられないもん」
「…いや、俺は昨日“日本”なんて単語言ってない。
………“龍也”なのか?」
「……うん」
「…たつ、や。生きてる」
誠が泣きそうな顔をしたから、ぎゅっと抱きしめる。
「……うん。ごめん、目の前で逝ってしまって。
………“龍也”も“拓海”のこと、大好きだったんだ。
もう戻れないけど、それが知れて嬉しい」
「………………っ」
力強く背中に手がまわされた。
…泣いてる?
「…もう、どこにもいかないでくれ」
「うん」
「…ずっと、好きだった」
「…うん。僕もだよ」
うん。身近に“たつや”っていたじゃん。何で僕忘れてたんだろう…!?
僕の前世の名前、龍也。
まあでもまさかそんなことだと思わないじゃん!?
そして拓海は僕が最後事故に遭った時一緒にいた友人で。
…僕が、片思いをしていたと思っていた相手である。まさか、両思いだったなんて。
報われた気持ちになった。
何度か、誠といて拓海に似てると思ったことがあった。
………多分、というか僕の願望もあるけど、誠は拓海の生まれ変わり、なのでは??
この仮説が正しければ、僕(龍也)と一緒にいることで誠(拓海)の記憶が活発になっていた…?
……元凶僕じゃん!
誠、ごめん…。
強く誠に抱きつく。
泣いたり気を張っていたのが疲れていたのか、誠の腕の中が安心するからか、思いの外すぐに夢の中へと旅立った。
・
・
「…??」
頬に違和感を感じて目を覚ますと、誠が僕の頬をムニムニしていた。
「まほほ?(誠?)」
「ふふ、おはよう」
「ほはひょう(おはよう)」
今日は土曜日。休日なのだ。
僕は誠に話があるわけなのだけど。
朝ごはんが食べ終わり、ひと段落した頃。
「…誠、昨日の話の続き、してもいい?」
「………うん、もちろん」
気のせいかな、誠の表情が硬いような。
何回か深呼吸をする。
「あの、あの、ね。昨日言ってた、“拓海”と“龍也”のことなんだけど。
………僕はその、“龍也”の記憶があるんだ」
「………!?」
「前世?っていうのかな。“日本”で生きていた記憶がある」
「いや、そんな……、まさか」
「僕もまさかだった。誠が寝言で言ったたつやが“龍也”だと全く疑わなかったくらい」
「………………っ」
「……信じられないよね。僕もまだ信じられないもん」
「…いや、俺は昨日“日本”なんて単語言ってない。
………“龍也”なのか?」
「……うん」
「…たつ、や。生きてる」
誠が泣きそうな顔をしたから、ぎゅっと抱きしめる。
「……うん。ごめん、目の前で逝ってしまって。
………“龍也”も“拓海”のこと、大好きだったんだ。
もう戻れないけど、それが知れて嬉しい」
「………………っ」
力強く背中に手がまわされた。
…泣いてる?
「…もう、どこにもいかないでくれ」
「うん」
「…ずっと、好きだった」
「…うん。僕もだよ」
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