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18 父の叱責
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「ブランカよ、ガネシュにばかり頼らず、自分からもっと王太子にアプローチするのだ」
ブランカはまた父アンダルケから説教をされていた。
父はガネシュに甘い。ブランカにはガネシュが本当はもっとできるはずなのに王女への攻撃をのらりくらりと先伸ばしにしているように思えていた。
確かに奴は役に立ってきたのだろうけど、もっと警戒したほうがいいのではないかしら。何やら怪しげな方法で魔術を駆使する得体の知れない輩なのに。まあ、いざとなれば、使い捨てにしてやるけれど。
「何をぼんやりしている!! そんな調子だからあの蛮族の王女に王太子を横取りされてしまうのだ!! お前は今のままでいいのか!!」
父の侮辱に近い叱咤がブランカを打ちのめす。
いいわけありませんわ! 本来、殿下の隣の席はわたくしのものでしたのに!! ブランカは王女ばかりを見ている王太子の目線を思い出し、はらわたが煮えくりかえってきた。
「王妃となる目的を述べよ!」と、アンダルケがブランカに怒気を込め詰問する。
「はい! 第一に家門の繁栄! 第二に人脈構築によるビジネスの拡大! 第三に偉大な父アンダルケの手柄となること! でございますわ!!」
よどみなくブランカが応答したことで、アンダルケはようやく機嫌を直した。
「それでこそ、マール家の長女だ。家門の命運がお前の肩にかかっているのだ。しっかりと頼んだぞ」
父が部屋から去ったことで、ようやくブランカはゆっくりと息を吐いた。
名門貴族の家に生まれた自分の運命を呪ったことがない、と言えば嘘になる。社交ダンス、語学、音楽、算術、乗馬、刺繍、たわいない遊戯、有名スイーツ店の知識や本物の宝石を見分ける能力……あげればキリがないほどの努力と才を父から求められてきた。あまりのプレッシャーから、半日姿をくらませ誘拐騒ぎになったこともある。
それも一度きりだった。ブランカはそれ以来、一度も筆頭貴族令嬢としての立場から逃げたことがない。これまで培ってきたプライドが今もブランカの支えとなっていた。
殿下に会いに行くわ。このまま引き下がってなるものですか。
暗い炎を胸に宿したブランカは突如決心し、侍女に命じて身なりを整えさせると、王太子の部屋へと急ぎ足を向けた。
ブランカはまた父アンダルケから説教をされていた。
父はガネシュに甘い。ブランカにはガネシュが本当はもっとできるはずなのに王女への攻撃をのらりくらりと先伸ばしにしているように思えていた。
確かに奴は役に立ってきたのだろうけど、もっと警戒したほうがいいのではないかしら。何やら怪しげな方法で魔術を駆使する得体の知れない輩なのに。まあ、いざとなれば、使い捨てにしてやるけれど。
「何をぼんやりしている!! そんな調子だからあの蛮族の王女に王太子を横取りされてしまうのだ!! お前は今のままでいいのか!!」
父の侮辱に近い叱咤がブランカを打ちのめす。
いいわけありませんわ! 本来、殿下の隣の席はわたくしのものでしたのに!! ブランカは王女ばかりを見ている王太子の目線を思い出し、はらわたが煮えくりかえってきた。
「王妃となる目的を述べよ!」と、アンダルケがブランカに怒気を込め詰問する。
「はい! 第一に家門の繁栄! 第二に人脈構築によるビジネスの拡大! 第三に偉大な父アンダルケの手柄となること! でございますわ!!」
よどみなくブランカが応答したことで、アンダルケはようやく機嫌を直した。
「それでこそ、マール家の長女だ。家門の命運がお前の肩にかかっているのだ。しっかりと頼んだぞ」
父が部屋から去ったことで、ようやくブランカはゆっくりと息を吐いた。
名門貴族の家に生まれた自分の運命を呪ったことがない、と言えば嘘になる。社交ダンス、語学、音楽、算術、乗馬、刺繍、たわいない遊戯、有名スイーツ店の知識や本物の宝石を見分ける能力……あげればキリがないほどの努力と才を父から求められてきた。あまりのプレッシャーから、半日姿をくらませ誘拐騒ぎになったこともある。
それも一度きりだった。ブランカはそれ以来、一度も筆頭貴族令嬢としての立場から逃げたことがない。これまで培ってきたプライドが今もブランカの支えとなっていた。
殿下に会いに行くわ。このまま引き下がってなるものですか。
暗い炎を胸に宿したブランカは突如決心し、侍女に命じて身なりを整えさせると、王太子の部屋へと急ぎ足を向けた。
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