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17 ガネシュの正体

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魔道の者、ガネシュというのは仮の名で、僕の本名は【ガネシュラル・ワン・ノスカ】。
15歳でノスカ王国の王太子だ。

王国は地球にあるけれど、今いる地球ではない。また別の地球、いわゆるパラレルワールドにある。

時間の流れは同じだけれど、文明の発達具合は僕の星のほうが断然早いようだ。

僕の国では魔術を電子データに変換し、アプリに組み込み使用する。
もちろん使える魔法のレベルは能力に反映されるが、魔術の発動は詠唱法の時代より体力を消耗しないし、ずっと楽になった。

王族にのみ伝わる秘伝魔術【並行世界空間移動術】により、僕はこの世界に来た。僕の王国では本当は禁じられている魔術だ。

昔、この世界に移動した王族が何人かいたらしいが、帰国できなくなったり、返り討ちにあったり、色々と危険を伴うことが多いということで、禁忌の魔術とされてしまったらしい。

僕はそんなドジ踏まないけどね。

僕は本国では初恋もまだだった。それでも王太子という立場上、好きな女性と結婚できるとは限らなかった。

王家の男子は15になると妃候補を選ばなければならないが、僕は適当に言い訳をして延期を繰り返していた。

婚姻もアプリによって決められるのが我が国の通例だ。マッチングアプリにより妃に適した数値をクリアした令嬢だけがリストアップされる。それで幸せになった者も大勢いる。実際、僕の父母もマッチングによって婚姻したカップルだ。

だけど、僕には味気なかった。リストアップされた令嬢全員と会ってみたものの、ピンとこない。最適者とされた侯爵の令嬢も、姿形は完璧で従順でたおやかで美しく見えたが、僕の心は躍らなかった。

マハの王女とは比べ物にならない。王女は予測不可能で僕の思い通りにならない。何より”自身の意志”を持っている。

好奇心が誰よりも強い僕にはもはやマハの王女でなければ満足できなくなっていた。
王女を手に入れたい。全く違う世界に住まう者同士が結ばれるのかどうかもわからなかったが、恋焦がれるような想いが日々強くなっていった。
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