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36 瓜二つ
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倒れた第七王子を抱き寄せたまま床に座り込んでいた姫が、ふと大広間の入口に目を向けた。
透き通った銀眼と銀眼が出会う。
姫に瓜二つの──あれは姫の姉上か!?
どうしてここにいる!?
私は痛む喉元をおさえ、体を起こす。
二人が再会できた。
よかったのだ、これで。
姉姫と互いに歓喜に満ちた表情であったのに、姫がふいに立ち上がり、後ずさり始める。
震えている。
首を左右に振り、頭を抱え震えている。
姫、何をする気だ。
ダメだ。
それだけはダメだ!
姫!!!!
しびれる体に鞭打って回廊伝いにここまで来ましたわ。
大広間から声がするから入ってみたら……
妹が、妹が目の前にいる!
ああ、愛しい妹!
やっと会えたのね!
ああ、神様……!
……なんだが妹の様子がおかしいわ。
どうしたというの?
何をしているの!?
いけないわ!
ダメよ、いや!!
やめて頂戴!!!
姉姫!
ああ、愛しい姉姫!
お腹があんなに大きくなって。
いけない。
見られてしまった。
二人でいるところを。
私たちは双子なのだ。
このままでは私も姉姫も殺されてしまう。
王太子がこちらを見ている。
お終いだ。
この世界で私たちは、同時に存在することを許されないのだ。
いや、私が死ねば。
私が死ねば、姉姫は助かるかも知れない。
もう双子でなくなるのだから。
私が死ねば。
私が。
私が。
私。
無意識に私の歯が舌を噛み挟む。
そのまま私は、渾身の力を込めた──
透き通った銀眼と銀眼が出会う。
姫に瓜二つの──あれは姫の姉上か!?
どうしてここにいる!?
私は痛む喉元をおさえ、体を起こす。
二人が再会できた。
よかったのだ、これで。
姉姫と互いに歓喜に満ちた表情であったのに、姫がふいに立ち上がり、後ずさり始める。
震えている。
首を左右に振り、頭を抱え震えている。
姫、何をする気だ。
ダメだ。
それだけはダメだ!
姫!!!!
しびれる体に鞭打って回廊伝いにここまで来ましたわ。
大広間から声がするから入ってみたら……
妹が、妹が目の前にいる!
ああ、愛しい妹!
やっと会えたのね!
ああ、神様……!
……なんだが妹の様子がおかしいわ。
どうしたというの?
何をしているの!?
いけないわ!
ダメよ、いや!!
やめて頂戴!!!
姉姫!
ああ、愛しい姉姫!
お腹があんなに大きくなって。
いけない。
見られてしまった。
二人でいるところを。
私たちは双子なのだ。
このままでは私も姉姫も殺されてしまう。
王太子がこちらを見ている。
お終いだ。
この世界で私たちは、同時に存在することを許されないのだ。
いや、私が死ねば。
私が死ねば、姉姫は助かるかも知れない。
もう双子でなくなるのだから。
私が死ねば。
私が。
私が。
私。
無意識に私の歯が舌を噛み挟む。
そのまま私は、渾身の力を込めた──
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