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15 王太子の記憶

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私がまだ7歳か8歳の頃だ。
 
侍従の目を盗んで一人で遠出したことがあった。
その頃の私は王太子ではなく、まだ第三王子と呼ばれていた。
兄上たちほど注目されていないので、王宮を抜け出すのは容易かった。
 
馬術が上達したのが嬉しくて、これまで行ったことのない丘を目指して馬を駆った。
丘の上には思いがけず一軒の家があった。
 
こんな人里離れた場所に誰が住んでいるのか気になり、私は木の陰からそっと家の様子を伺った。
 
誰か出てきた。
小さな女の子だ。
まだ3、4歳くらいだろうか?
 
愛らしい子だ。
小さな手で野花を摘み始めた。
 
もう一人、家から出てきた。
姉妹のようだ。
二人ともこっちを向いたぞ。
可愛いな…………
 
??
??
 
顔が瓜二つではないか!
背丈も全く同じだ。
姉妹とはいえ、こんなに似るものなのか??
 
まさか、この子たち、双子なのか……?
初めて見た。
我が王国では双子は禁忌とされ、生まれた後すぐに殺される定めのはずだ。
 
遠くで私を呼ぶ声がする。
侍従が追いかけてきたようだ。
 
双子だからとせっかく生まれてきた子を殺めるなど馬鹿げている。
ここで見たことは絶対に誰にも言わぬ。
私だけの秘密にするのだ。
 
儚げな銀色の瞳の女の子たちよ──
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