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4 王太子と花摘み

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不思議なことがあるものだ。
王太子に誘われ野原に花摘みに出かけたところ、またもやあの刺客が現れた。
 
戦いの構えで攻撃に備えていたのに、あの男は足元をふらつかせた。
こちらはまだ何の技も発動していないのにだ。
 
毒花の花粉でも吸ってしまったのか?
 
思わず倒れる男の体を支えてしまったのだが、これにも王太子がお怒りだ。
刀で仕留めることもできたのだが、戦意を喪失している相手に刃は向けぬ。
 
 
 
 
どうしてどうして、あの刺客は姫の前に現れるのだ。
 
しかも弱っている振りをして姫に情けをかけてもらおうと演技までしている。
お前は正々堂々としている男だと思っていたのに見損なったぞ。
 
姫は倒れそうになったお前をとっさに支えた。
その時の私の絶望をお前は知っているだろうか?
 
だが何よりも許せないのは、お前が姫に投げられたことだ!
絶望の先にあるものは何か知っているか?
 
虚無だ!
姫に投げられてよい男は私だけだ!!
 
 
 
 
こんな感覚は初めてだった。
 
極秘で野原に出かけるという情報をつかみ、今日こそ殺してやると意気込んで姫を待った。
しかし姫に対峙した途端、頭が真っ白になった。
 
野花で作ったであろう可憐な花冠をつけ、そよ風をまとう姫。
俺を視認した時の鋭い目の輝き。
 
どんな宝石もお前の前ではかすむだろう。
 
気づくと足元から崩れ落ちそうになったが、なんと姫が俺を支えてくれたのだ。
思わず俺はまた姫の唇を目指したが、あっさり姫に投げられた。
 
今日の技は足車だったな。
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