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第31話 晩ごはんと今後の予定
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『おいしそうじゃん! 早く食べましょ!』
テーブルの上に並べられた和食の数々に、レナが歓喜の声を上げる。
サバの塩焼きにほうれん草のお浸し、ひじきと大豆の煮物。それから漬物。
彩り豊かなそれらは、とてもおいしそうだった。
「それじゃ、食べるとしようかね」
席に着くなり、レナはいつものようにすぐに料理を口へ運ぶ。
『ん~、おいしい!』
一口食べるたびにおいしいを連呼するレナに、ばあちゃんは頬を緩ませる。
出会ったころは野菜嫌いだったのに、レナも成長したなぁ。
ほうれん草のお浸しをおいしそうに食べるレナを見て、そんなことをしみじみと考える。
「海斗もそろそろ食べなさいな」
「はーい」
ずっとレナを見続けるのもあれなので、俺も料理を口に運ぶ。
これ以上見続けてたら、後でばあちゃんにからかわれそうだ。
「やっぱ、ばあちゃんの料理はうめえな」
ほうれん草のお浸しは調味料の味がしっかりしみ込んでいる。
控えめな味付けがされていて、それがまたちょうどいい塩梅だった。
ひじきと大豆の煮物は、ほんのりとした甘みが素材の味をより生かしている。
サバの塩焼きは臭みが全くなく、ピリッとしたしょっぱさがサバのうまみを引き出していた。
うん、どれも文句なしの絶品だ。
超絶おいしい。
「して、海斗や。何か予定はあるのかの?」
「予定か……」
近況報告などの話をしていたら、話題が今後の予定についてになった。
「とりあえずだけど、レナと一緒に渓流釣りしようとは思ってる」
『そーそー。ヤマメが釣れるんでしょ?』
「そうかそうか。して、明後日に近くの小学校で夏祭りがあるんじゃが、そこへ行ってみるのはどうかの?」
夏祭り。
それは夏における定番のお祭りで、お菓子を食べ歩いたり金魚すくいをしたりなど、楽しいイベントだ。
夏祭りなんて長いこと行ってないなぁ。
最後に行ったのは小学生の時か。
その時の楽しかった記憶を思い出しながら、レナに尋ねる。
「レナはどうする? 俺としては楽しそうだから行ってみるのもいいと思うけど」
『私も行きたい! 絶対楽しそうだもん!』
「そうか。じゃあ、一緒に行こうな」
『ん、約束』
レナが小指を出してくる。
俺も小指を出して指切りげんまんしたら、レナは嬉しそうに笑ってくれた。
つられて俺も笑う。
「ほっほっほ。二人とも楽しそうじゃの。じゃが、楽しいイベントならまだほかにもあるぞ」
『どんなどんな?』
「四日後には花火大会があるんじゃ。海上花火じゃから、見て損はせんぞ」
『絶対きれいじゃん。そこにも行きたいな~チラッ』
「分かってるって。花火大会も一緒に行こうな」
『やったー!』
無邪気にはしゃぐレナは、年相応の子供らしくて可愛かった。
こうして心の底から笑ってくれることが増えた今、レナが人生を思いっきり楽しんでくれていることがわかる。
これなら、なんの未練もなく幸せに成仏できるだろうな。
そう思った瞬間、俺の心に何かがチクッと刺さった気がした。
だけど、深く考えることはなかった。
テーブルの上に並べられた和食の数々に、レナが歓喜の声を上げる。
サバの塩焼きにほうれん草のお浸し、ひじきと大豆の煮物。それから漬物。
彩り豊かなそれらは、とてもおいしそうだった。
「それじゃ、食べるとしようかね」
席に着くなり、レナはいつものようにすぐに料理を口へ運ぶ。
『ん~、おいしい!』
一口食べるたびにおいしいを連呼するレナに、ばあちゃんは頬を緩ませる。
出会ったころは野菜嫌いだったのに、レナも成長したなぁ。
ほうれん草のお浸しをおいしそうに食べるレナを見て、そんなことをしみじみと考える。
「海斗もそろそろ食べなさいな」
「はーい」
ずっとレナを見続けるのもあれなので、俺も料理を口に運ぶ。
これ以上見続けてたら、後でばあちゃんにからかわれそうだ。
「やっぱ、ばあちゃんの料理はうめえな」
ほうれん草のお浸しは調味料の味がしっかりしみ込んでいる。
控えめな味付けがされていて、それがまたちょうどいい塩梅だった。
ひじきと大豆の煮物は、ほんのりとした甘みが素材の味をより生かしている。
サバの塩焼きは臭みが全くなく、ピリッとしたしょっぱさがサバのうまみを引き出していた。
うん、どれも文句なしの絶品だ。
超絶おいしい。
「して、海斗や。何か予定はあるのかの?」
「予定か……」
近況報告などの話をしていたら、話題が今後の予定についてになった。
「とりあえずだけど、レナと一緒に渓流釣りしようとは思ってる」
『そーそー。ヤマメが釣れるんでしょ?』
「そうかそうか。して、明後日に近くの小学校で夏祭りがあるんじゃが、そこへ行ってみるのはどうかの?」
夏祭り。
それは夏における定番のお祭りで、お菓子を食べ歩いたり金魚すくいをしたりなど、楽しいイベントだ。
夏祭りなんて長いこと行ってないなぁ。
最後に行ったのは小学生の時か。
その時の楽しかった記憶を思い出しながら、レナに尋ねる。
「レナはどうする? 俺としては楽しそうだから行ってみるのもいいと思うけど」
『私も行きたい! 絶対楽しそうだもん!』
「そうか。じゃあ、一緒に行こうな」
『ん、約束』
レナが小指を出してくる。
俺も小指を出して指切りげんまんしたら、レナは嬉しそうに笑ってくれた。
つられて俺も笑う。
「ほっほっほ。二人とも楽しそうじゃの。じゃが、楽しいイベントならまだほかにもあるぞ」
『どんなどんな?』
「四日後には花火大会があるんじゃ。海上花火じゃから、見て損はせんぞ」
『絶対きれいじゃん。そこにも行きたいな~チラッ』
「分かってるって。花火大会も一緒に行こうな」
『やったー!』
無邪気にはしゃぐレナは、年相応の子供らしくて可愛かった。
こうして心の底から笑ってくれることが増えた今、レナが人生を思いっきり楽しんでくれていることがわかる。
これなら、なんの未練もなく幸せに成仏できるだろうな。
そう思った瞬間、俺の心に何かがチクッと刺さった気がした。
だけど、深く考えることはなかった。
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