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第17話 来客
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土曜日の昼前。
すでに六月に入り夏が近づいてきたため、外はだいぶ暑くなってきている。
扇風機を押し入れから出して軽く掃除をしていると、不意にチャイムが鳴った。
誰だろう?
来客の予定はないんだけど……お隣さんとかかな?
そう考えながら玄関に向かう。
ガチャリと音を立ててドアを開ければ――。
「ちーっす! 先輩、遊びに来ましたよ!」
見慣れた黒髪ロングの美少女。
バイト先の後輩である天月美沙が立っていた。
「なんで俺ん家知ってんの!? ストーカー!?」
「嫌ですなーもう。ストーカーなんてするわけないじゃないですか」
「じゃあ、なんで……」
小さく頬を膨らませた天月に代わって俺の疑問に答えたのは、あわただしく玄関にやってきたレナだった。
『美沙っちは私が呼んだのよ!』
「お呼ばれしちゃいました」
「はぁ……、そういうことか」
いたずらっぽく言う二人にため息を吐きながらも、せっかく来てもらったのだからというわけで家に招き入れる。
「レナ、今度から事前に言っとけよ」
『美沙っちを呼んだ』
「もう遅いわ」
軽口をたたきながら、もてなしの準備をする。
俺がティーカップをお盆に乗せて持っていくと、キョロキョロと部屋の中を見回していた天月はすぐに紅茶に食いついた。
「いい匂いの紅茶ですね」
優雅に紅茶の匂いを楽しむ天月。
その姿は貴族のようで、すごく様になっていた。
「レナにねだられてしぶしぶ買ったお高い紅茶だからな」
『味は私が保証するわ!』
「先輩はお人好しですね。それとも相手がレナちゃんだから買ってあげたのかな?」
いたずらっぽく聞いてくる。
「そ、そんなことないし。普通にレナに押し負けただけだし!」
「それはそれでカッコ悪くないですか?」
「んばああああ!!!」
天月はいつものようにニヤニヤした目で俺を見ながら紅茶をすする。
俺はものの見事に手玉に取られていた。
「……おいしい。最高じゃないですか!」
『でしょでしょ! やっぱ美沙っちもそう思うわよね!』
「ええ。この甘さの具合が絶妙で……」
話題が変わったことに安堵して、俺も紅茶に手を伸ばす。
ん、やっぱうめーな。
レナのセンスに改めて感嘆する。
こういう目利きはやたら鋭いんだよな。
ゆっくりと紅茶を堪能したところで、俺も話に加わる。
紅茶談義を終えたところで、肝心なことについて聞いた。
「遊びに来たのはいいけど、何をするんだ?」
天月が来ることなんて知らなかったから、何も用意してないぞ。
「レナちゃんがものすごく絶賛していた先輩の手料理を食べたいです!」
『ちょ! 絶賛とかしてないから! ちょっと褒めただけだから!』
「三十分くらい褒め続けてましたよね!」
『そ、そんなことないわ! 三分くらいしか褒めてないはずよ! …………たぶん』
笑顔で告げた天月に、レナは顔を赤くてたじたじになる。
レナが自分の知らないところで料理をものすごく褒めてくれていたことに胸が温かくなるのを感じた。
材料は冷蔵庫にいっぱいあるし、作り置きは明日に回せば問題ないか。
そう判断してOKを出すと、『そういうことならさっさと作ってきてよね!』とレナに半ば突き飛ばされる形でキッチンへ押しやられた。
すでに六月に入り夏が近づいてきたため、外はだいぶ暑くなってきている。
扇風機を押し入れから出して軽く掃除をしていると、不意にチャイムが鳴った。
誰だろう?
来客の予定はないんだけど……お隣さんとかかな?
そう考えながら玄関に向かう。
ガチャリと音を立ててドアを開ければ――。
「ちーっす! 先輩、遊びに来ましたよ!」
見慣れた黒髪ロングの美少女。
バイト先の後輩である天月美沙が立っていた。
「なんで俺ん家知ってんの!? ストーカー!?」
「嫌ですなーもう。ストーカーなんてするわけないじゃないですか」
「じゃあ、なんで……」
小さく頬を膨らませた天月に代わって俺の疑問に答えたのは、あわただしく玄関にやってきたレナだった。
『美沙っちは私が呼んだのよ!』
「お呼ばれしちゃいました」
「はぁ……、そういうことか」
いたずらっぽく言う二人にため息を吐きながらも、せっかく来てもらったのだからというわけで家に招き入れる。
「レナ、今度から事前に言っとけよ」
『美沙っちを呼んだ』
「もう遅いわ」
軽口をたたきながら、もてなしの準備をする。
俺がティーカップをお盆に乗せて持っていくと、キョロキョロと部屋の中を見回していた天月はすぐに紅茶に食いついた。
「いい匂いの紅茶ですね」
優雅に紅茶の匂いを楽しむ天月。
その姿は貴族のようで、すごく様になっていた。
「レナにねだられてしぶしぶ買ったお高い紅茶だからな」
『味は私が保証するわ!』
「先輩はお人好しですね。それとも相手がレナちゃんだから買ってあげたのかな?」
いたずらっぽく聞いてくる。
「そ、そんなことないし。普通にレナに押し負けただけだし!」
「それはそれでカッコ悪くないですか?」
「んばああああ!!!」
天月はいつものようにニヤニヤした目で俺を見ながら紅茶をすする。
俺はものの見事に手玉に取られていた。
「……おいしい。最高じゃないですか!」
『でしょでしょ! やっぱ美沙っちもそう思うわよね!』
「ええ。この甘さの具合が絶妙で……」
話題が変わったことに安堵して、俺も紅茶に手を伸ばす。
ん、やっぱうめーな。
レナのセンスに改めて感嘆する。
こういう目利きはやたら鋭いんだよな。
ゆっくりと紅茶を堪能したところで、俺も話に加わる。
紅茶談義を終えたところで、肝心なことについて聞いた。
「遊びに来たのはいいけど、何をするんだ?」
天月が来ることなんて知らなかったから、何も用意してないぞ。
「レナちゃんがものすごく絶賛していた先輩の手料理を食べたいです!」
『ちょ! 絶賛とかしてないから! ちょっと褒めただけだから!』
「三十分くらい褒め続けてましたよね!」
『そ、そんなことないわ! 三分くらいしか褒めてないはずよ! …………たぶん』
笑顔で告げた天月に、レナは顔を赤くてたじたじになる。
レナが自分の知らないところで料理をものすごく褒めてくれていたことに胸が温かくなるのを感じた。
材料は冷蔵庫にいっぱいあるし、作り置きは明日に回せば問題ないか。
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