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喧嘩する程。

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こんな格好で、テオお兄様に会えるはずがないじゃない!!!

「エフィナ!!ドアを開けて!こんな格好ではテオお兄様に合えないわ!」

ルーチェスタはエフィナの部屋の扉をドンドンと強く叩くが、エフィナからの反応は一切なく、王城の広い広い廊下はシーンと静まりかえっている。

エフィナとは、ルーチェスタが物心がついた時から共に過ごして来た。
小さい頃は二人で、ルーチェスタの兄や使用人達に様々な悪戯を繰り返し、悪戯が成功すれば、二人顔を見合わせニシシと悪戯な笑みを浮かべたものである。

エフィナが自分にピッタリとフィットするドレスを準備していた時点で気づくべきだったのだ、、。

きっと扉の向こうで見慣れた笑みを浮かべてるであろうエフィナの顔を思い浮かべ、ルーチェスタは「やられたわ、、。」とポツリ呟いた。

エフィナはこの悪戯が成功するまできっとドアを開ける気はないだろう。
ならば、この状況を打破する方法を他に考えなくては、、とルーチェスタはうーんうんと頭を捻りながら、どうしたもんかと考える。

王城の廊下は広く、更には長い。
エフィナの部屋に繋がる廊下の前は限られた者しか通れない決まりになっている。

その為、エフィナを守る護衛達は、皆廊下前の階段で見張りをしているので、階段まで行って仕舞えば護衛に新しいドレスを持って来てもらう事は可能だ。

だが、、胸元がパックしと開いたこのドレスで護衛に声をかけるのはなんとも気が引けた。

このまま待っていれば、エフィナ専属の侍女か専属の騎士が通るはずである。
専属の侍女は5人、騎士は一人なので確率的には待っていれば侍女が通るはずだ。

ならば、このまま待って侍女に新しいドレスを用意させるのが一番賢いだろう。

ルーチェスタは胸元のパックしと開いた、なんとも心許ないドレスの胸元をギュッと押さえ、侍女が通るのを今か今かと待つのだが、、待ち始めて既に数十分、、今だ侍女が通る気配は一切ないのである。

「どっ、、どおして誰も通らないのよ!!」

広い廊下にキーンっとルーチェスタの声が鳴り響いた。
少し目元に涙を溜めたルーチェスタは、もう諦めて護衛にドレスを頼んだ方が早いのではないか、、と思い出した時だった。

廊下の一番端から、カツカツと歩く音が聞こえたかと思えば、誰かがこちらへと向かって来ているのが目に入ったのだ。

エフィナの部屋までやってこれるのは、一人の騎士を除いて5人。
その5人の中の誰かまでは分からないが、ルーチェスタは待ち望んだ侍女の到来に歓喜し、大きく腕を振る始末である。

「ねぇ!!!貴方!!!新しいドレスを持って来て欲しいのだけどーー!!」

遠く離れた所まで聞こえる様に、ルーチェスタは大きく叫んで言ってみるのだが、、なに分広すぎる廊下だ。

ルーチェスタの叫び声等届いていないのであろう、侍女は先程と変わらず、廊下にカツカツと足音を響かせながら、ルーチェスタの方へと近づいて来ている。
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