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お兄様。
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「お兄様!!テオお兄様!!」
幼い少女の焦った様な声が城内に響いた。
使用人達は、皆何事かと声の主を一度見るが、花でできた冠を落ちないようにと頭ごと抑え走る少女を見た使用人達は、皆微笑ましそうに少女を見届けている。
少女は、使用人達のそんな視線に気づく事なく、一人の人物を探す為、広い城内を必死に走り回っていた。
ルーチェスタは、少し不器用なのかいつもは上手に作る事の出来ない花冠を、今日は自分でも100点を出してあげたい程、上手に作る事が出来たのだ!!
下手くそな出来の花冠を見せても、テオお兄様は「ルーチェは本当に天才だね。」と言って褒めてくれる。
そんなお兄様に、100点の冠を見せたらきっともっと褒めてくれるに違いない!!
ルーチェスタは頭で自分を褒めてくれる兄と慕う程に大好きな人の顔を思い浮かべ、ニンマリと微笑んだ。
そうして、着いた先は王城の一角にあるバラ園である。
このバラ園では、特別な交配をさせ作られた様々な色をしたバラが咲いており、そのバラ達から香る独特な香りがルーチェスタは好きだ。
香りだけではない、このバラ園にくればルーチェスタの大好きなお兄様に大体の確率で会えるので、それもまたルーチェスタがこの場所を好きな理由の一つである。
既に王城の外にある庭からこのバラ園まで1キロ程少し休憩も挟みながら走ってきたルーチェスタは「ハァハァ。」と息を切らしながら、やっと着いたバラ園の前の扉に満面の笑みで手をかけ、
「テオお兄様!!!!!」と大好きな兄を呼び、見てみてと言わんばかりに、頭に乗せていた花で出来た冠を頭から取ろうとした所で、その顔から笑みを消す事になるのだ。
「て、、お、、お兄様、、??」
ルーチェの目の前。
ドアを開け、直ぐに備えられているバラ園の白いベンチ。
そこはよくお兄様と慕うテオが昼寝の際に使っているベンチだ。
そのベンチに行けば、大抵テオに会える為、ルーチェスタは真っ白なそのベンチがとても大切だった。
なのに、何故か今、、目の前でルーチェスタの大好きなお兄様が豊富な胸を持つ、、色気ムンムンの侍女と、唇を合わせているのだ。
急に入ってきたルーチェスタに驚いた二人は、何故だか唇を合わせたまま固まっている。
「、、、、、。」
「、、、、、。」
「、、、、、、、、、。」
誰も話さぬまま2分程経ち、侍女とテオはそっと離れた。
そして、ギギギギと壊れた機械の様にルーチェスタをテオが見たかと思えば、「やぁ僕の可愛いお姫様。」とまるで何事もなかったかの様に王子様の様に甘い笑みを浮かべルーチェスタを見たのだ。
幼い少女の焦った様な声が城内に響いた。
使用人達は、皆何事かと声の主を一度見るが、花でできた冠を落ちないようにと頭ごと抑え走る少女を見た使用人達は、皆微笑ましそうに少女を見届けている。
少女は、使用人達のそんな視線に気づく事なく、一人の人物を探す為、広い城内を必死に走り回っていた。
ルーチェスタは、少し不器用なのかいつもは上手に作る事の出来ない花冠を、今日は自分でも100点を出してあげたい程、上手に作る事が出来たのだ!!
下手くそな出来の花冠を見せても、テオお兄様は「ルーチェは本当に天才だね。」と言って褒めてくれる。
そんなお兄様に、100点の冠を見せたらきっともっと褒めてくれるに違いない!!
ルーチェスタは頭で自分を褒めてくれる兄と慕う程に大好きな人の顔を思い浮かべ、ニンマリと微笑んだ。
そうして、着いた先は王城の一角にあるバラ園である。
このバラ園では、特別な交配をさせ作られた様々な色をしたバラが咲いており、そのバラ達から香る独特な香りがルーチェスタは好きだ。
香りだけではない、このバラ園にくればルーチェスタの大好きなお兄様に大体の確率で会えるので、それもまたルーチェスタがこの場所を好きな理由の一つである。
既に王城の外にある庭からこのバラ園まで1キロ程少し休憩も挟みながら走ってきたルーチェスタは「ハァハァ。」と息を切らしながら、やっと着いたバラ園の前の扉に満面の笑みで手をかけ、
「テオお兄様!!!!!」と大好きな兄を呼び、見てみてと言わんばかりに、頭に乗せていた花で出来た冠を頭から取ろうとした所で、その顔から笑みを消す事になるのだ。
「て、、お、、お兄様、、??」
ルーチェの目の前。
ドアを開け、直ぐに備えられているバラ園の白いベンチ。
そこはよくお兄様と慕うテオが昼寝の際に使っているベンチだ。
そのベンチに行けば、大抵テオに会える為、ルーチェスタは真っ白なそのベンチがとても大切だった。
なのに、何故か今、、目の前でルーチェスタの大好きなお兄様が豊富な胸を持つ、、色気ムンムンの侍女と、唇を合わせているのだ。
急に入ってきたルーチェスタに驚いた二人は、何故だか唇を合わせたまま固まっている。
「、、、、、。」
「、、、、、。」
「、、、、、、、、、。」
誰も話さぬまま2分程経ち、侍女とテオはそっと離れた。
そして、ギギギギと壊れた機械の様にルーチェスタをテオが見たかと思えば、「やぁ僕の可愛いお姫様。」とまるで何事もなかったかの様に王子様の様に甘い笑みを浮かべルーチェスタを見たのだ。
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