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第二章

気持ち。(15歳。)

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その日のアースは、いつもとなんだか違っていた。

ゴロゴロとベットの上でくつろいでいるルディリアナの部屋にアースがきたのは、外も暗くなり出した頃だ。

ドアを開けて入ってくるなり、勢いよくドアを閉め鍵をかけたかと思えば、ルディリアナの横に寝転んだ。

そして何も言わずに、ジッと私を見つめるのだ。

「アース???」

なんだかいつもと違うと感じる。

いつものアースはいつもケラケラと空気も読まずに人の気持ちも考えずに笑ってるよーな人なのに、私を見るアースの顔はとても悲しそうであった。

そっと手が近付いてきたかと思えば、アースの手がルディリアナの頬を撫でた。

感触を楽しむようにぷにぷにと摘んでみたり、鼻を撫でてみたり、目を触ってみたりと、ルディリアナの顔を満遍なく触り出す。

何故触るのかルディリアナには意味がわからなかった。

いつもうるさいくらいのアースが全く喋らない。。

、、、異常である。

「あの、アース?大丈夫?何かあった?」

私が問えば、アースは少し目を見開いてから、優しく微笑んだ。

そして、たった一言「ここから出たい?ルディ。」そんな質問を私に投げかけるのだ。

「出たい!」と直ぐにでも即答してしまいそうな質問なのに、ルディリアナは上手く答えられない。

「えっ、と。」

答えれば出れるかもしれないのに、出る事を望んでるはずなのに、その後に続く言葉はどうしてもいえない。

「馬鹿だね、ルーナ。」

聞こえた声の方を向けば、優しい笑みはもうない。

私にまたがり見下ろすその顔には、不気味な笑みをしたアースが座ってる。

そんな笑みを見て愛しいと感じてしまえば、もう嫌でも自分の気持ちに気づいてしまう。

行ってしまうとあれだが、アースは顔と筋肉は私の好みドンピシャである。

だが、それを無駄にするほど性格は基本最悪である。

嫌なことするし、ルディリアナが泣けば喜ぶし、言わなくてもルディリアナの好きな者を把握してる。

普通に怖い。

毎日見てる口角を釣り上げる不気味な笑みは、毎日見てればおかしいと気づく。

いつも、どこか、、アースは悲しそうだった。

「もう逃してやらないよ?鍵はかけてないよ。今俺を押してでも逃げれば逃げれるよ。」

アースはどこまでもルディリアナの嫌な事ばかりする。

そんな事、ルディリアナは望んでないのに。

「アース。。」

そっと手をアースの頬に近づけた。

自分から触れたアースの顔は外の空気で冷えてきたのか、とっても冷たい。

名前を呼べば触れれば、、アースの頬を涙が伝う。

初めて見るアースの涙を見て、ルディリアナは確かに喜びを得た。

アースが私の涙を見たいと言うのが、少し分かった気がする。

「好きよ。アース。」

告げてしまえば、アースはもっと涙を流した。

「だって!俺、、、ルディに嫌なことばかりしてる!!そんなわけがない。」

あれだけ好き好き求めといて、逆にいえばこれである。

面倒臭い男だ。

「本当に、そんなんじゃ嫌われるわよ!アース。」

私にまたがるアースの体を思い切り押してやった。

べそべそ泣いてるアースの体には力が入ってなくて、私より大きな体なのに簡単に後ろに倒れていく。

私に押され私が逃げると思ったのか、私の腕を掴んで離さない。

、、、逃げろと言ったくせに。

「、、行かないで、ルディ。好きなんだ。なんでも買ってあげるから、、初めてなんだルディ。嫌いでもいいから側にいて。」

体を起こし見下ろす男は泣いている。

私より大きな体と素敵な筋肉をつけた男が、笑いたくなるほどべそべそ泣いてる。

カッコ悪いったらありゃしないけど、ルディリアナはそんな彼も愛しいと感じてしまう。

「馬鹿ね。アース。逃げろって言ったり行くなって言ったり、何なの?」

そう言いながら今度はルディリアナがアースの上に跨った。

「ルディぃ、、?」

逆に跨られるとは思ってなかったのか、アースは素っ頓狂な顔をしてる。

「好きって言ったでしょ。」

垂れた髪を耳に掛け直し、ルディリアナはそっと触れるだけのキスをアースに落とした。

そしてニコッと笑えば、アースは唇をワナワナと震わせた。

「ルディ!!ルーナ!!あぁ、僕の嫁!愛してるよ。」

そして力一杯叫んだ後、いつの間に逆になったのかと思った時には、自分の上にまたアースが跨ってて、苦しいくらいのキスをされる。

この人を好きになって良かったのかという疑問は浮かぶが、キスをして不気味な笑みを浮かべるアースを見れば、まあいいかと思った。


余談だが、次の日からルディリアナの部屋のドアの鍵はかけられなくなった。
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