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八。

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「この花は、乾燥させておいて、使用したい時に水につければ、熱冷ましの効果があるんだ。」

「ほぉう、そおなのですか!」

「こっちの薬草はあの花と一緒に擦れば眠気覚ましになる。」

「そして、あの薬草をヒドュラの尻尾と煮込んでやると、毒消しになる。」

今日は、何故かご機嫌なノアに連れられ、ルゥは離宮の温室にきていた。

そこには、見たことない花や草など、ノアが各国から集めてきた薬草などでいっぱいだ。

どの草も適した温度などがあるのか、池の中に生えている草や、パラソルで影を作りその中で育てられている花など、様々である。

「それで、あの赤い花は、、危険だから絶対に触るなよ?」

ノアが指差した先にある赤い花は、どす黒く赤い。そして、人間の口のような物がついた花であった。

、、、あれには、言われなくても近づきたくない。とルゥは心で思う。

「あれは、何で口がついてるのですかぁ?」

ルゥが聞くと、ノアは少し眉間を寄せ険しい顔をした。

「あれは、、何でも食べるんだ。果物でも、動物でも、人でも、なんでも。」

「食べて、どうするのですか?」

ルゥは問うが、ノアはその続きを決して話してくれなかった。

「それで、この花は薬にはならないが、小さくて見てるだけで心が癒されるだろ。」

「本当です!ルゥこの花好きですぅ!」

白くて小さい花を指でちょいちょいと触ってみると、フワリと花の香りが香る。

甘くて、とても優しい香りがする。

スゥっとめいいっぱい香りを吸い込むと、それだけで幸せな気持ちになった。

そんなルゥを見てか
「薬には出来ないが、それは香水にできる、、。欲しいか?」とノアが言った。

いつものノアなら絶対そんな事を言うはずがないのに、、、。

よっぽど温室を語れる相手ができて嬉しいのだろうか。

「欲しいですぅ!!約束!約束ですよぅ!ノア様!」

「あぁ、、約束な。」

いつもより、何だか優しいノアはその後も一つ一つ楽しそうに、ルゥに説明をするので、ルゥはそんなノアが可愛くて何度も相槌を打った。

「聞いてるか?」

余りにも相槌を打ちすぎたのだろう。

ルゥの顔を覗き込むノアの顔は少し不機嫌そうだ。

「ノア様があまりにも可愛いので、頭に入ってこないのです。好きですよぅノア様。」

ベッタリとノアの腕にくっつくと、ノアは大きくため息を吐いた。

「連れてこなければよかった。」

「ルゥと2人の空間にいたかったんですよね?ノア様のエッチ。」


ノアの言葉など聞こえてないのか、聞こえてても聞こえていないふりをしているのか、ルゥはポッと頬を染めると、ルゥはクネクネと体を動かし、照れている。

そんなルゥを見て、ノアは黒い花を指差す。

「あの花を飲めば、病気が治るんだけど、いるか?」

なんて辛辣な言葉を言われても、ルゥはニコニコと笑みを崩さない。

「ルゥの病は恋です。この病は、ノア様のキスでしか治らないんですよぅ。」

ノアの腕にくっついたまま、ノアを見上げんーっと口を尖らせ、キスをねだる。

またいつものように、無視されたり、唇じゃない物を押し当てられると分かっていても、ルゥはキスをねだった。

「ほら!ノア様!!チャンスは今だけですぅ。今しかないですよぅ!ピッチピチのルゥとのキスのチャンスは今だけです!」

目を閉じたまま、催促をしてみる。

すると、ゆっくりと自分の顔に何かが近づいてきた。

「ルゥ。」

至近距離で話され、ルゥの顔にノアの吐息がかかる。

それだけで、ルゥの胸はパンクしそうだ。

どうせしてくれないもんだと思ってるからいつもルゥはあんな態度でいれるのである。

だけど、いざ近づいてこられると、ルゥは恥ずかしさと緊張で壊れそうになってしまう。

ルゥが必死で緊張で倒れそうな自分を奮い立たせていると、そっと唇に柔らかい何かが触れた。

トカゲでも、指でもない。とても柔らかくて温かい感触である。

そっと目を開ければ、ノアの顔が直ぐそばにあり、ルゥを見て、優しく微笑んでいた。

「のっ、、、ノア様??」

まさか、、まさか本当にキスをしてくれるなんて思っていなかった。

自分からキスしてと言ったとはいえ、ルゥの頭の中には沢山の?が浮かんでいるし、胸だってドリルのように、ドドドドドドドドッと煩い。

「治ったか?」

顔を真っ赤にして驚くルゥとは対照的に、ノアは不敵な笑みを浮かべる。

そんな顔、、ずるすぎる。

「すっ、、、。」

「すっ???」


「すきですぅ!!!ノア様すきですぅ!!!」

離宮の温室に、ルゥのそんな叫び声が長い間こだました。


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