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第一話
バウンティハンター
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私はこの稼業をして六年になる。仕事は0Lではく賞金稼ぎ・・・バウンティハンターだ。依頼を受ければ
対象者を捕まえて連れてきて引き渡す。引き渡せば報酬がもらえる。
私は氷見十六夜。(ひみいざよい)二十五歳。このニュー東京地区では上位レベルハンターでもあるが
自分にはその自覚はない。他の地区へ行けばいくらでも凄腕のハンターや異能力者はいるからだ。
氷見は落ちている新聞を拾った。西暦は二〇五二年と書いてあった。
北京地区、重慶地区の放射能除去始まる
新国連による会議始まる
世界情勢はほぼ変わるとは思っていない。私は両親の話と博物館で写真と動画でしか見たことがないが、
かつて三十年前、大都市東京があった。人口千二百万人で、東京タワーや東京スカイツリーがあったという。
東京駅には新幹線や在来線が二〇路線以上、一日百万人の乗降客を誇っていて外人の観光客の人気が
京都についで人気だったという。二〇二〇年の東京オリンピックに向けて新国立競技場が完成する予定
だったというのを聞いた。両親は若い頃、よく渋谷、新宿、池袋へ行ったという。でももう昔の面影はなく、
思い出も何もなくなったと言った。というのも二〇一九年に中東での紛争は本格的な戦争になり
第三次世界大戦が始まった。日本も世界も巻き込まれ、二〇二〇年の一月に核爆弾が投下され、
予定されていた東京オリンピックは中止になり戦火は拡大。核ミサイルや化学兵器が使われ、
多くの人々が死んだ。二〇二〇年の東京への核爆弾投下前、東京にいなかった天皇御一家と大阪に遊説
していた首相と政府幹部は大阪に首都機能を移し、首都だった東京は遷都された。
子供心でショックを受けて頭から離れないものがある。それは博物館で見たのは核爆弾の恐ろしいキノコ雲。
無残に鉄骨と残骸だけになった東京駅と無数の白骨が散らばる在来線ホーム。吹き飛ばされ地面に転がる
黒焦げの五編成の新幹線。瓦礫の焼け野原と化した渋谷、新宿、銀座といった都心。折れ曲がった
東京タワーとスカイツリー。橋自体が落下したゲートブリッジとレインボーブリッジ。生存者の捜索をする
自衛隊の映像にはショッキングな映像しか見なかったのを覚えている。子供心に焼きついた動画は新幹線
の残骸に入った捜索隊の映像だ。目の前にあるのは、おびただし数の黒焦げ遺体と白骨が散らばる光景。
それは世界中の都市に現われた光景であったという。おびただしい犠牲者を出した戦争の終戦は
二〇二七年である。それから三年後の二〇三〇年。
新国連は言った。
「君達の罪は問わない」
そこから復興が始まった。日本の場合は核ミサイルの直撃は東京だけだが、それでも五十万人以上が
死んだと言われている場所に政府はニュー東京を再建した。政府は大阪、京都、北九州、札幌、那覇
といった都市に行政、司法を集中させた。いわば小さな政府を目指した格好になる。よって地方都市は
ゴーストタウンが多くなり消滅した自治体は多い。日本だけでなく世界的に小さな政府を目指して復興、
遷都している。二〇一九年時点で七十二億いた人口は第三次世界大戦後には四十五億に減っており、
代償は大きかった。放射能と化学兵器の影響によりミュータントが誕生した。以前から異能力者や
ミュータントはいたかもしれないが出生率が高くなったのも二〇二五年頃である。普通の人間と
ミュータントが住む地区は分けられている。ミュータントは不毛の土地。人間は大都市や都市に住める。
私の場合は人間とミュータントの間に生まれたハーフというものもあって、都市に住んでいる。都市に
住めるだけでも幸運と思わなければいけない。ミュータントは汚染地区に追いやられるからだ。
氷見はゴーグル型のメガネをかけ、腕時計の文字盤に触れた。ターゲットの位置が表示される。
雑居ビルに入る氷見。
彼女が階段を上がると柄の悪い連中がいた。ただ柄が悪いだけでなく賞金をかけられている
ミュータントや人間の住処になっている。ターゲットは五階に住んでいるがこの連中がすんなり
通してくれるとは思ってない。
いきなり襲いかかる男。
氷見は腕をねじ上げ背負い投げ。蹴りを入れてきた男をかわし、足払い。男はひっくり返った。
彼女は廊下を進み、階段を上がる。
部屋から出てきた男はいきなり銃を撃つ。
氷見は壁や天井蹴り、銃弾をかわすと銃を蹴り落とし、掌底で弾き、ハイキック。男はひっくり
返った。彼女はその銃をつかみ別の部屋から出てきた中年女を撃った。ライフル銃を持った
中年女はもんどりうって倒れた。
氷見は男が持っていた銃をポケットに入れ、死んだ中年女のライフル銃をつかんで階段を上がった。
廊下に介護ロボットが二体歩いていた。躊躇することなく駆けながら、氷見はライフル銃を連射。介護ロボット
の頭部を撃ち抜き、警護ロボットを蜂の巣にした。彼女は振り向きざまに背後にいた男二人を撃つ。
叫び声を上げながら階段を転げ落ちた。
男二人はさっき一階にいた奴らだ。
氷見は階段と廊下を駆けながら、警備ロボットを何体かライフル銃で破壊しながら五階の部屋の
ドアを蹴破った。
氷見は弾切れのライフル銃を捨てた。
机で白い粉をつめる作業をしていた四人の男女が銃を抜いた。せつな男女の影から触手が巻きついた。
ひどく驚く男女。
両目を半眼にする氷見。
影から伸びた触手は男女の首にも巻きつき男女は白目を剥いて倒れた。
氷見は隣りの部屋に入った。せつな手榴弾
が投げ込まれ、彼女はとっさに四人がいる部屋へ蹴り、机の下に隠れた。
ドーン!!
閃光とともに爆発。ドアと窓ガラスが吹き飛んだ。
氷見は隣りの部屋に入った。
そこに女子高生風の少女がいた。見た目はかわいいがただの女子高生ではない。名前はソラン・礼子。
十八歳。科学の知識を生かして武器を発明して闇市場に売るれっきとした武器商人だ。礼子は笑みを
浮かべながら腕から手先にかけての義手をはめた。義手は高性能なマニュピレーターつきのパワード
スーツの一部だ。大戦時では全身型のスーツは普通にあったという。
礼子はパンチを突き入れた。
氷見は受け流しかわす。
礼子の連続速射パンチ。
氷見はすんでのところでかわし、膝蹴り。
嗚咽をもらしてよろける礼子。彼女のパンチ。氷見はかわすが背後の壁に拳がめりこみ壊れた。
礼子は壊れた義手を捨てると壊れていない義手から剣を抜いた。
とっさに上体をそらしてかわす氷見。
礼子は連続で剣で突きを入れなぎ払う。
間隙を縫うように交わしてバック転してかわすとポケットから銃を抜く。
銃弾は礼子の肩を射抜く。
氷見は義手を蹴っ飛ばし、掌底を弾いた。目を剥きもんどり打って倒れた。
「ソラン礼子。あんた警察から賞金がかかられているね。警察に引き渡すよ。・・・といっても聞こえてないか」
氷見は首輪を礼子につけた。この首輪は護送するときに容疑者が暴れないためにする。装着すると神経針が
刺さりマヒして動けないしくみになっている。
部屋に入ってくる目つきの鋭い二人の男。二人と一緒に三人の警官が入ってくる。
「犯人逮捕。ご苦労だった」
証明書を渡す細身の男。
「ありがとう」
氷見は受け取るとさっさと出て行った。
都内にあるハンター詰所に入る氷見。受付にいる係員に証明書を渡して手馴れた手続きをして二階の
食堂へ入った。室内は数人位しかいないがお昼時、夕飯時になるとハンターでごったがえす。彼女は
サンドイッチをもらうと席についた。
「やあ仕事は終わった?」
向かいの席に勝手に座る外人男性。
「リック。座っていいって言ってないけど」
しゃらっと言う氷見。
リックと呼ばれた外人男性はハンバーガーを食べ始める。
「君が入った雑居ビルは違法薬物の売人の巣窟で有名になっていた」
リックはタブレット端末を出した。
「ソラン・礼子だけでなく国際指名手配が三人、指名手配の殺人犯が三人。違法改造のロボットがいた。
他にも薬物中毒者が一〇人いたんだが全部警察が連行していった」
リックは画面をスクロールさせながら説明した。
「すごい札付き悪ばっか」
目を丸くする氷見。
すんなり入れたのはヤク中でおかしくなって出られなかっただけだろう。中年女は五人殺した凶悪犯で
他の男は売人で元締めだった。
「警察からソラン礼子の他に他の連中の逮捕につながったから謝礼がいくらばかり出るそうだ」
リックが言う。
「謝礼といっても感謝状でしょ」
そっけなく言う氷見。
「そうなるね。ソラン礼子は武器商人というだけでなく売人の元締めもしていた。扱うのは薬物だけでな
くミュータント化した動物を怪物にしたり、人体実験をする機械まで売りさばいていた」
「そんなものを扱って買ってくれる売人がいるの?」
「ブローカーは限られる。みんな大戦時に出回っていた物だ。人間を改造してサイボーグとかターミネーター
みたいなロボットもね。それを収集する連中までいる」
リックは端末を操作しながら言う。
「その依頼書はあの掲示板にあったね」
ふと思い出す氷見。
食堂の隅にあるホワイトボードには依頼人からの依頼書が貼りつけてある。依頼は国連から政府レベル。
個人や金持ちまである。賞金も高額だが上位レベルよりさらにハイレベルな依頼者の依頼まである。
氷見は掲示板からその依頼書を取ってくる。
「連続殺人犯、薬物の元締め、ヤク中の手配犯をまとめて五百万か。あのビルにいた連中の名前が
全部載っているし、そいつと戦った。ソラン礼子もかなりの賞金だったからおまけね」
惜しいという顔をする氷見。
今回はソラン礼子の依頼書だけ受理されたからガマンする。欲張ってもしょうもない。
「リック、十六夜。会長が呼んでる」
女性ハンターが近づいた。
「会長が?」
リックと氷見は声をそろえる。
「なんか話があるみたい」
女性ハンターが言う。
二人はうなづくと部屋を出て行く。
会長室があるのは五階である。三階、四階は事務室と倉庫になっている。
五階の会長室に入る二人。
会長室といっても応接間のような場所に会長のオスカー・萬元・ミツルがいる。普段から体は鍛えており、
筋骨隆々でシャツを着ていてもその筋肉がわかる。ソファに愛人のロシア人の高級娼婦がいる。
イリーナ・スフォルツア。スタイルは抜群で高いヒールを履き、露出度の高いドレスを身につけブランドものの
ネックレスをしている。彼女は妻ではなく政治家、金持ち専門の娼婦で元はロシアのスパイだったという。
オスカーが傭兵をやっている時に連れてきたらしい。二人とも背は高く、オスカーが身長二メートル。イリーナ
が一九〇センチという長身だった。
「さっきのソラン礼子と殺人犯、売人の仕事はご苦労だった」
オスカーは笑みを浮かべた。
「あのー。用件はなんですか?」
リックが聞いた。
「君らに依頼が来ている。普通なこんな部屋に呼ばないが特殊能力者や能力の高いミュータント専門に
依頼がいろんな所に来ている。賞金を賭けられているのはこいつだ」
写真を出すオスカー。
写真にはブルドック顔の男が映っている。
「デブのおじさん?」
のぞきこむ氷見。
「ただの賞金首ではなく複数の国から戦争犯罪人として指名手配されている上にギャンブル好きで賭け
カジノやルーレットで負けて多額の借金がある。どの国のハンターも手を引いている。だからうちに回って来た」
オスカーは困った顔をする。
顔を見合わせるリックと氷見。
「時間はあるし、考えてもいい。一番危険だから仲間を募ってもいい」
オスカーは写真をリックに渡した。
「そこの二人。ロボットを所有する科学者の所に行きなさい」
イリーナはリックに名刺を渡すと投げキッスをした。
はにかむリック。
氷見はリックの腕を引っ張り部屋を出て行った。
廊下を出てエレベーターに乗り氷見は写真と名刺を見る。名刺の住所が東京港にある造船所になっていた。
「どこに行くの?」
リックが聞いた。
「東京港のドック。横須賀ならわかるけどなんかあったっけ?」
首をかしげる氷見。
横須賀基地は海上自衛隊と在日米軍基地があるのは知っている。
「横須賀にも修理ドックはあった。でもそこでまかないきれない時は臨時ドックとして使っていた」
携帯を出して地図を出すリック。
「じゃあ行こう」
ハンター詰所から出る二人。彼らはバイクに乗る。このバイクはハンターや兵士用に作られた戦闘バイク
である。前面の風防にヘルメットと連動してターゲットを捕捉できる機器が搭載。車体にはマシンガンが
格納されているというバイクなのだ。
二人はエンジンを始動させて大通りへ走り去った。
二時間後。東京港臨時ドック。
ここはフェリー、貨物、客船ターミナルと埠頭があるがそういった施設の隣りに臨時修理ドックがある。
管理室に入る二人。管理事務室の隣りはドックである。米軍か他国軍の揚陸艦かわからないが大型艦が
ドック入りしている。
「科学者がこんな場所にいるのか?」
リックがつぶやく。
「こんにちは。お邪魔します。誰かいますか?」
氷見は管理事務室に入った。
「なんですか?」
初老の技師が振り向いた。
「すいません。ヨセフ・ドワイト・ハルベルトという科学者を探しています」
名刺を見せる氷見。
「それは私だが」
初老の技師が答えた。
「え?」
「あの・・・修理業者じゃなくて」
戸惑う氷見。
「だからワシだと言っている」
強い口調の初老の技師。
「修理業者の格好していたらわかりません」
ムッとするリック。
「これだから最近の若い者は」
腰に手をあてる初老の科学者。
「帰ろうか?」
しらけるリック。
「せっかくここまで来たのに帰ったら失礼だと思う」
ため息をつく氷見。
不満そうな顔のリック。
「ヨセフ博士。私はバウンティハンターの氷見十六夜で隣りがリック・シュルツです。会長のオスカーから
この男の情報がほしくて来ました」
氷見は名乗った。
ヨセフ博士は写真を見るなり目を丸くする。
「こいつを探しているのか?」
「そうですけど」
リックと氷見が声をそろえる。
「ワシも探しているんだ。だから仲間を募集していた。国連や複数の国や借金の取立て屋も
探しているんだ。しかしみんな探しに行ったきり帰ってこない」
ヨセフは口を開いた。
「他のハンター協会が断るのも無理ないか。生還率が低すぎるし、リスクも高いね」
冷静な氷見。
「ワシはこのチビデブに科学のイロハを教えた。出来の悪い弟子に教えたのを後悔している」
視線をうつすヨセフ。
「資料ではチビデブことロジャース・メイスン・塚本は日系人で東大や大学院を主席で卒業。ロボットや
人工知能、プログラムを作って企業に売り込んだ。それが採用されて違法な物を闇市場で売りさばく
ようになり、武器商人として発明した戦闘ロボットを売り歩いた。二〇年前の大戦ではそれで莫大な財産を
築いて世界中に別荘やホテル、豪邸を持っている。彼はギャンブル好きで賭けカジノやポーカー、スロット
を楽しむと決まって戦闘ロボットと一緒に無人戦闘ヘリで帰っていくそうだ」
タブレット端末の資料を出すリック。
「ロボットに無人ヘリはすごいね」
わりこむ氷見
「天才だね」
感心するリック。
無人戦闘ヘリに戦闘ロボットを従えてくるのだから相当な天才だろう。
「あいつは確かにプログラムやシステム開発と構築は天才だった。そのための施設を建築したりしたし、
軍にも売り込んだ。大国は関心を持たなかったがアフリカの独裁国が目をつけて実際に使用した。
その後は歴史のとおりだ」
重い口を開くヨセフ。
「戦闘ロボットと戦闘ヘリに乗って帰るのだからそれを追跡できないの?」
氷見がたずねた。
「ステルスモードで消えるんだ。あいつの周りには戦闘ロボットや飛行物体が取り巻きがいるし、
ミュータント化した動物がいる」
「協力者とかいるでしょ。そいつも生きているなら食べ物を調達するだろうし、生活に必要なものだって
購入する。ギャンブル好きならまたカジノに現われる。そこから調べた方がよさそうね。戦闘ロボットを
使うなら国連軍からロボットを借りればいい」
氷見はひらめいた。
「まさか本当に行こうとしている?」
リックが驚きの声をあげる。
「あの愛人が言ったじゃん。ロボットを持っている科学者って」
氷見がしれっと言う。
「確かに持っている。バージル!!」
ヨセフは外に出て拡声器で叫ぶ。
マストにいたロボットは金属の翼を広げて飛ぶと部屋の前に着地した。身長は二五〇センチ位。
白地に水色のボディ。皮膚にあたる部分はサイバネティックスーツで、上半身や重要な部分は水色の
アーマーで覆われている。顔は人間そっくりのマスクに頭部は重要な電子脳を守るためのヘルメットが
装着されている。背中の金属の翼は脱着式なのか簡単に外れた。服を着てカツラをかぶれば人間
そっくりなのだ。
口をあんぐり開けたままの二人。
「私はバージル。よろしく」
バージルと名乗ったロボットは手を差し出した。
氷見はおそるおそる握手した。
義手のマニュピレーターと関節はなめらかで人間そくりでよく通る声でしゃべる。
「よく握手できるな」
リックは手を引っ込めたまま言う。
「情けない男ね。その気になれば私達はとっくに死んでる」
しゃらっと言う氷見。
黙ったままのリック。
「私は大戦時は空母や揚陸艦で戦術士官のリーダーをしていました。つまり造船所と基地と戦闘艦
しか知りません。私もハンターになりたいのです」
バージルは口を開いた。
「マジっすか?」
声をそろえるリックと氷見。
「もう一体いるんだ」
ヨセフは口笛を吹いた。
すると上空から戦闘機が現われ垂直に降下して着地した。機種はF42という無人タイプの戦闘機
や偵察機、ステルス機まである。操縦席にはパイロットの姿はなく代わりに電子脳とおぼしき球体が
据えつけられている。
「どーも。ドールです」
戦闘機から声が聞こえた。
「戦闘機がしゃべってる・・・」
二人は絶句した。
「ドールだ。ワシはサポート役でついていくから一緒にいかないか?」
ヨセフが誘った。
「まだ行くとは言ってません」
きっぱり言うリックと氷見。
「ハッカーが必要ね。知り合いでプロのハッカーいる?」
少し考えてから言う氷見。
「トムパッカーンがいる」
ポンと手をたたくリック。
「え?」
「アルゼンチン出身のハッカーでハンターのジェル・トムパッカーンを紹介する。そいつなら
”集積所”に侵入できる」
目を輝かせるリック。
「じゃあ行こう」
ヨセフは笑みを浮かべた。
対象者を捕まえて連れてきて引き渡す。引き渡せば報酬がもらえる。
私は氷見十六夜。(ひみいざよい)二十五歳。このニュー東京地区では上位レベルハンターでもあるが
自分にはその自覚はない。他の地区へ行けばいくらでも凄腕のハンターや異能力者はいるからだ。
氷見は落ちている新聞を拾った。西暦は二〇五二年と書いてあった。
北京地区、重慶地区の放射能除去始まる
新国連による会議始まる
世界情勢はほぼ変わるとは思っていない。私は両親の話と博物館で写真と動画でしか見たことがないが、
かつて三十年前、大都市東京があった。人口千二百万人で、東京タワーや東京スカイツリーがあったという。
東京駅には新幹線や在来線が二〇路線以上、一日百万人の乗降客を誇っていて外人の観光客の人気が
京都についで人気だったという。二〇二〇年の東京オリンピックに向けて新国立競技場が完成する予定
だったというのを聞いた。両親は若い頃、よく渋谷、新宿、池袋へ行ったという。でももう昔の面影はなく、
思い出も何もなくなったと言った。というのも二〇一九年に中東での紛争は本格的な戦争になり
第三次世界大戦が始まった。日本も世界も巻き込まれ、二〇二〇年の一月に核爆弾が投下され、
予定されていた東京オリンピックは中止になり戦火は拡大。核ミサイルや化学兵器が使われ、
多くの人々が死んだ。二〇二〇年の東京への核爆弾投下前、東京にいなかった天皇御一家と大阪に遊説
していた首相と政府幹部は大阪に首都機能を移し、首都だった東京は遷都された。
子供心でショックを受けて頭から離れないものがある。それは博物館で見たのは核爆弾の恐ろしいキノコ雲。
無残に鉄骨と残骸だけになった東京駅と無数の白骨が散らばる在来線ホーム。吹き飛ばされ地面に転がる
黒焦げの五編成の新幹線。瓦礫の焼け野原と化した渋谷、新宿、銀座といった都心。折れ曲がった
東京タワーとスカイツリー。橋自体が落下したゲートブリッジとレインボーブリッジ。生存者の捜索をする
自衛隊の映像にはショッキングな映像しか見なかったのを覚えている。子供心に焼きついた動画は新幹線
の残骸に入った捜索隊の映像だ。目の前にあるのは、おびただし数の黒焦げ遺体と白骨が散らばる光景。
それは世界中の都市に現われた光景であったという。おびただしい犠牲者を出した戦争の終戦は
二〇二七年である。それから三年後の二〇三〇年。
新国連は言った。
「君達の罪は問わない」
そこから復興が始まった。日本の場合は核ミサイルの直撃は東京だけだが、それでも五十万人以上が
死んだと言われている場所に政府はニュー東京を再建した。政府は大阪、京都、北九州、札幌、那覇
といった都市に行政、司法を集中させた。いわば小さな政府を目指した格好になる。よって地方都市は
ゴーストタウンが多くなり消滅した自治体は多い。日本だけでなく世界的に小さな政府を目指して復興、
遷都している。二〇一九年時点で七十二億いた人口は第三次世界大戦後には四十五億に減っており、
代償は大きかった。放射能と化学兵器の影響によりミュータントが誕生した。以前から異能力者や
ミュータントはいたかもしれないが出生率が高くなったのも二〇二五年頃である。普通の人間と
ミュータントが住む地区は分けられている。ミュータントは不毛の土地。人間は大都市や都市に住める。
私の場合は人間とミュータントの間に生まれたハーフというものもあって、都市に住んでいる。都市に
住めるだけでも幸運と思わなければいけない。ミュータントは汚染地区に追いやられるからだ。
氷見はゴーグル型のメガネをかけ、腕時計の文字盤に触れた。ターゲットの位置が表示される。
雑居ビルに入る氷見。
彼女が階段を上がると柄の悪い連中がいた。ただ柄が悪いだけでなく賞金をかけられている
ミュータントや人間の住処になっている。ターゲットは五階に住んでいるがこの連中がすんなり
通してくれるとは思ってない。
いきなり襲いかかる男。
氷見は腕をねじ上げ背負い投げ。蹴りを入れてきた男をかわし、足払い。男はひっくり返った。
彼女は廊下を進み、階段を上がる。
部屋から出てきた男はいきなり銃を撃つ。
氷見は壁や天井蹴り、銃弾をかわすと銃を蹴り落とし、掌底で弾き、ハイキック。男はひっくり
返った。彼女はその銃をつかみ別の部屋から出てきた中年女を撃った。ライフル銃を持った
中年女はもんどりうって倒れた。
氷見は男が持っていた銃をポケットに入れ、死んだ中年女のライフル銃をつかんで階段を上がった。
廊下に介護ロボットが二体歩いていた。躊躇することなく駆けながら、氷見はライフル銃を連射。介護ロボット
の頭部を撃ち抜き、警護ロボットを蜂の巣にした。彼女は振り向きざまに背後にいた男二人を撃つ。
叫び声を上げながら階段を転げ落ちた。
男二人はさっき一階にいた奴らだ。
氷見は階段と廊下を駆けながら、警備ロボットを何体かライフル銃で破壊しながら五階の部屋の
ドアを蹴破った。
氷見は弾切れのライフル銃を捨てた。
机で白い粉をつめる作業をしていた四人の男女が銃を抜いた。せつな男女の影から触手が巻きついた。
ひどく驚く男女。
両目を半眼にする氷見。
影から伸びた触手は男女の首にも巻きつき男女は白目を剥いて倒れた。
氷見は隣りの部屋に入った。せつな手榴弾
が投げ込まれ、彼女はとっさに四人がいる部屋へ蹴り、机の下に隠れた。
ドーン!!
閃光とともに爆発。ドアと窓ガラスが吹き飛んだ。
氷見は隣りの部屋に入った。
そこに女子高生風の少女がいた。見た目はかわいいがただの女子高生ではない。名前はソラン・礼子。
十八歳。科学の知識を生かして武器を発明して闇市場に売るれっきとした武器商人だ。礼子は笑みを
浮かべながら腕から手先にかけての義手をはめた。義手は高性能なマニュピレーターつきのパワード
スーツの一部だ。大戦時では全身型のスーツは普通にあったという。
礼子はパンチを突き入れた。
氷見は受け流しかわす。
礼子の連続速射パンチ。
氷見はすんでのところでかわし、膝蹴り。
嗚咽をもらしてよろける礼子。彼女のパンチ。氷見はかわすが背後の壁に拳がめりこみ壊れた。
礼子は壊れた義手を捨てると壊れていない義手から剣を抜いた。
とっさに上体をそらしてかわす氷見。
礼子は連続で剣で突きを入れなぎ払う。
間隙を縫うように交わしてバック転してかわすとポケットから銃を抜く。
銃弾は礼子の肩を射抜く。
氷見は義手を蹴っ飛ばし、掌底を弾いた。目を剥きもんどり打って倒れた。
「ソラン礼子。あんた警察から賞金がかかられているね。警察に引き渡すよ。・・・といっても聞こえてないか」
氷見は首輪を礼子につけた。この首輪は護送するときに容疑者が暴れないためにする。装着すると神経針が
刺さりマヒして動けないしくみになっている。
部屋に入ってくる目つきの鋭い二人の男。二人と一緒に三人の警官が入ってくる。
「犯人逮捕。ご苦労だった」
証明書を渡す細身の男。
「ありがとう」
氷見は受け取るとさっさと出て行った。
都内にあるハンター詰所に入る氷見。受付にいる係員に証明書を渡して手馴れた手続きをして二階の
食堂へ入った。室内は数人位しかいないがお昼時、夕飯時になるとハンターでごったがえす。彼女は
サンドイッチをもらうと席についた。
「やあ仕事は終わった?」
向かいの席に勝手に座る外人男性。
「リック。座っていいって言ってないけど」
しゃらっと言う氷見。
リックと呼ばれた外人男性はハンバーガーを食べ始める。
「君が入った雑居ビルは違法薬物の売人の巣窟で有名になっていた」
リックはタブレット端末を出した。
「ソラン・礼子だけでなく国際指名手配が三人、指名手配の殺人犯が三人。違法改造のロボットがいた。
他にも薬物中毒者が一〇人いたんだが全部警察が連行していった」
リックは画面をスクロールさせながら説明した。
「すごい札付き悪ばっか」
目を丸くする氷見。
すんなり入れたのはヤク中でおかしくなって出られなかっただけだろう。中年女は五人殺した凶悪犯で
他の男は売人で元締めだった。
「警察からソラン礼子の他に他の連中の逮捕につながったから謝礼がいくらばかり出るそうだ」
リックが言う。
「謝礼といっても感謝状でしょ」
そっけなく言う氷見。
「そうなるね。ソラン礼子は武器商人というだけでなく売人の元締めもしていた。扱うのは薬物だけでな
くミュータント化した動物を怪物にしたり、人体実験をする機械まで売りさばいていた」
「そんなものを扱って買ってくれる売人がいるの?」
「ブローカーは限られる。みんな大戦時に出回っていた物だ。人間を改造してサイボーグとかターミネーター
みたいなロボットもね。それを収集する連中までいる」
リックは端末を操作しながら言う。
「その依頼書はあの掲示板にあったね」
ふと思い出す氷見。
食堂の隅にあるホワイトボードには依頼人からの依頼書が貼りつけてある。依頼は国連から政府レベル。
個人や金持ちまである。賞金も高額だが上位レベルよりさらにハイレベルな依頼者の依頼まである。
氷見は掲示板からその依頼書を取ってくる。
「連続殺人犯、薬物の元締め、ヤク中の手配犯をまとめて五百万か。あのビルにいた連中の名前が
全部載っているし、そいつと戦った。ソラン礼子もかなりの賞金だったからおまけね」
惜しいという顔をする氷見。
今回はソラン礼子の依頼書だけ受理されたからガマンする。欲張ってもしょうもない。
「リック、十六夜。会長が呼んでる」
女性ハンターが近づいた。
「会長が?」
リックと氷見は声をそろえる。
「なんか話があるみたい」
女性ハンターが言う。
二人はうなづくと部屋を出て行く。
会長室があるのは五階である。三階、四階は事務室と倉庫になっている。
五階の会長室に入る二人。
会長室といっても応接間のような場所に会長のオスカー・萬元・ミツルがいる。普段から体は鍛えており、
筋骨隆々でシャツを着ていてもその筋肉がわかる。ソファに愛人のロシア人の高級娼婦がいる。
イリーナ・スフォルツア。スタイルは抜群で高いヒールを履き、露出度の高いドレスを身につけブランドものの
ネックレスをしている。彼女は妻ではなく政治家、金持ち専門の娼婦で元はロシアのスパイだったという。
オスカーが傭兵をやっている時に連れてきたらしい。二人とも背は高く、オスカーが身長二メートル。イリーナ
が一九〇センチという長身だった。
「さっきのソラン礼子と殺人犯、売人の仕事はご苦労だった」
オスカーは笑みを浮かべた。
「あのー。用件はなんですか?」
リックが聞いた。
「君らに依頼が来ている。普通なこんな部屋に呼ばないが特殊能力者や能力の高いミュータント専門に
依頼がいろんな所に来ている。賞金を賭けられているのはこいつだ」
写真を出すオスカー。
写真にはブルドック顔の男が映っている。
「デブのおじさん?」
のぞきこむ氷見。
「ただの賞金首ではなく複数の国から戦争犯罪人として指名手配されている上にギャンブル好きで賭け
カジノやルーレットで負けて多額の借金がある。どの国のハンターも手を引いている。だからうちに回って来た」
オスカーは困った顔をする。
顔を見合わせるリックと氷見。
「時間はあるし、考えてもいい。一番危険だから仲間を募ってもいい」
オスカーは写真をリックに渡した。
「そこの二人。ロボットを所有する科学者の所に行きなさい」
イリーナはリックに名刺を渡すと投げキッスをした。
はにかむリック。
氷見はリックの腕を引っ張り部屋を出て行った。
廊下を出てエレベーターに乗り氷見は写真と名刺を見る。名刺の住所が東京港にある造船所になっていた。
「どこに行くの?」
リックが聞いた。
「東京港のドック。横須賀ならわかるけどなんかあったっけ?」
首をかしげる氷見。
横須賀基地は海上自衛隊と在日米軍基地があるのは知っている。
「横須賀にも修理ドックはあった。でもそこでまかないきれない時は臨時ドックとして使っていた」
携帯を出して地図を出すリック。
「じゃあ行こう」
ハンター詰所から出る二人。彼らはバイクに乗る。このバイクはハンターや兵士用に作られた戦闘バイク
である。前面の風防にヘルメットと連動してターゲットを捕捉できる機器が搭載。車体にはマシンガンが
格納されているというバイクなのだ。
二人はエンジンを始動させて大通りへ走り去った。
二時間後。東京港臨時ドック。
ここはフェリー、貨物、客船ターミナルと埠頭があるがそういった施設の隣りに臨時修理ドックがある。
管理室に入る二人。管理事務室の隣りはドックである。米軍か他国軍の揚陸艦かわからないが大型艦が
ドック入りしている。
「科学者がこんな場所にいるのか?」
リックがつぶやく。
「こんにちは。お邪魔します。誰かいますか?」
氷見は管理事務室に入った。
「なんですか?」
初老の技師が振り向いた。
「すいません。ヨセフ・ドワイト・ハルベルトという科学者を探しています」
名刺を見せる氷見。
「それは私だが」
初老の技師が答えた。
「え?」
「あの・・・修理業者じゃなくて」
戸惑う氷見。
「だからワシだと言っている」
強い口調の初老の技師。
「修理業者の格好していたらわかりません」
ムッとするリック。
「これだから最近の若い者は」
腰に手をあてる初老の科学者。
「帰ろうか?」
しらけるリック。
「せっかくここまで来たのに帰ったら失礼だと思う」
ため息をつく氷見。
不満そうな顔のリック。
「ヨセフ博士。私はバウンティハンターの氷見十六夜で隣りがリック・シュルツです。会長のオスカーから
この男の情報がほしくて来ました」
氷見は名乗った。
ヨセフ博士は写真を見るなり目を丸くする。
「こいつを探しているのか?」
「そうですけど」
リックと氷見が声をそろえる。
「ワシも探しているんだ。だから仲間を募集していた。国連や複数の国や借金の取立て屋も
探しているんだ。しかしみんな探しに行ったきり帰ってこない」
ヨセフは口を開いた。
「他のハンター協会が断るのも無理ないか。生還率が低すぎるし、リスクも高いね」
冷静な氷見。
「ワシはこのチビデブに科学のイロハを教えた。出来の悪い弟子に教えたのを後悔している」
視線をうつすヨセフ。
「資料ではチビデブことロジャース・メイスン・塚本は日系人で東大や大学院を主席で卒業。ロボットや
人工知能、プログラムを作って企業に売り込んだ。それが採用されて違法な物を闇市場で売りさばく
ようになり、武器商人として発明した戦闘ロボットを売り歩いた。二〇年前の大戦ではそれで莫大な財産を
築いて世界中に別荘やホテル、豪邸を持っている。彼はギャンブル好きで賭けカジノやポーカー、スロット
を楽しむと決まって戦闘ロボットと一緒に無人戦闘ヘリで帰っていくそうだ」
タブレット端末の資料を出すリック。
「ロボットに無人ヘリはすごいね」
わりこむ氷見
「天才だね」
感心するリック。
無人戦闘ヘリに戦闘ロボットを従えてくるのだから相当な天才だろう。
「あいつは確かにプログラムやシステム開発と構築は天才だった。そのための施設を建築したりしたし、
軍にも売り込んだ。大国は関心を持たなかったがアフリカの独裁国が目をつけて実際に使用した。
その後は歴史のとおりだ」
重い口を開くヨセフ。
「戦闘ロボットと戦闘ヘリに乗って帰るのだからそれを追跡できないの?」
氷見がたずねた。
「ステルスモードで消えるんだ。あいつの周りには戦闘ロボットや飛行物体が取り巻きがいるし、
ミュータント化した動物がいる」
「協力者とかいるでしょ。そいつも生きているなら食べ物を調達するだろうし、生活に必要なものだって
購入する。ギャンブル好きならまたカジノに現われる。そこから調べた方がよさそうね。戦闘ロボットを
使うなら国連軍からロボットを借りればいい」
氷見はひらめいた。
「まさか本当に行こうとしている?」
リックが驚きの声をあげる。
「あの愛人が言ったじゃん。ロボットを持っている科学者って」
氷見がしれっと言う。
「確かに持っている。バージル!!」
ヨセフは外に出て拡声器で叫ぶ。
マストにいたロボットは金属の翼を広げて飛ぶと部屋の前に着地した。身長は二五〇センチ位。
白地に水色のボディ。皮膚にあたる部分はサイバネティックスーツで、上半身や重要な部分は水色の
アーマーで覆われている。顔は人間そっくりのマスクに頭部は重要な電子脳を守るためのヘルメットが
装着されている。背中の金属の翼は脱着式なのか簡単に外れた。服を着てカツラをかぶれば人間
そっくりなのだ。
口をあんぐり開けたままの二人。
「私はバージル。よろしく」
バージルと名乗ったロボットは手を差し出した。
氷見はおそるおそる握手した。
義手のマニュピレーターと関節はなめらかで人間そくりでよく通る声でしゃべる。
「よく握手できるな」
リックは手を引っ込めたまま言う。
「情けない男ね。その気になれば私達はとっくに死んでる」
しゃらっと言う氷見。
黙ったままのリック。
「私は大戦時は空母や揚陸艦で戦術士官のリーダーをしていました。つまり造船所と基地と戦闘艦
しか知りません。私もハンターになりたいのです」
バージルは口を開いた。
「マジっすか?」
声をそろえるリックと氷見。
「もう一体いるんだ」
ヨセフは口笛を吹いた。
すると上空から戦闘機が現われ垂直に降下して着地した。機種はF42という無人タイプの戦闘機
や偵察機、ステルス機まである。操縦席にはパイロットの姿はなく代わりに電子脳とおぼしき球体が
据えつけられている。
「どーも。ドールです」
戦闘機から声が聞こえた。
「戦闘機がしゃべってる・・・」
二人は絶句した。
「ドールだ。ワシはサポート役でついていくから一緒にいかないか?」
ヨセフが誘った。
「まだ行くとは言ってません」
きっぱり言うリックと氷見。
「ハッカーが必要ね。知り合いでプロのハッカーいる?」
少し考えてから言う氷見。
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ポンと手をたたくリック。
「え?」
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”集積所”に侵入できる」
目を輝かせるリック。
「じゃあ行こう」
ヨセフは笑みを浮かべた。
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