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第 3 章 王都 防衛 編
禁忌
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この世界の戦に異世界の俺が関わっていいのか?
どのみち俺が手を貸したところでどうにかなるものでもないが、このままでは俺達の命が危ない。
リュオに頼んで飛んで逃げようか?
それをしたら俺は王都に住む大勢の人間を見捨てたことになる。
考えてる時間はなさそうである。
その時、遠くの空に現れた点は、みるみる王都に近づいてきて俺達の上空で止まった。
一目でリュオと同じ竜族とわかる男は俺達を見下ろして言う。
「強い力を感じて来てみれば『リュオ』お前だったのか!」
「一族のはぐれ者が、また人間どもに手を貸すつもりか、それが『禁忌』に触れる事はわかっている筈だ‼︎」
竜族の力は強力すぎるが故に戦いの流れを一変させてしまう、それ故に竜族は他種族に関わる事を禁忌として禁じてきた。
戦場に静寂が走る、『竜徒』たちはこの男の出現に戦いを止めて平伏している。
「それにしても竜を騙る虫けら共もよくやる、まさか王都まで攻め上がるとはな」
あの強い『竜徒』たちを虫けら扱いする竜族の男は一瞬で移動する、俺が男の姿を見失った瞬間、背後に衝撃音と共に男は降り立った。
リュオは先程から小刻みに震えている、どんなに強いモンスターと出会っても恐怖を見せなかったリュオが。
この男の強さはリュオを遥かに凌いでいるのか⁉︎
リュオが消えいるような声で言う、『竜角』(リュカク)兄さん。
どうやらリュオがリュカクと呼ぶ男はリュオと兄妹のようだ。
「リュカク兄さん、どうしてこんな所に?」
リュカクはリュオの言葉を無視すると俺を見て言う。
「リュオ!お前の連れている『それ』は何だ!ペットのつもりか?」
その言葉にリュオが激昂する。
「ライスはペットじゃない‼︎」
「リュオの友達だ‼︎」
リュオがリュカクに飛びかかる。
俺には何が起こったかわからなかった。
次の瞬間、地面に倒れているリュオとリュオを踏みつけているリュカクの姿がそこにあった。
俺に何とか出来るわけがない、それでも俺は挑みかかる。
俺の『勇気』(無謀)と言うスキルが発動した。
小さい頃から発動したこのスキル、小学生の時は、川で溺れている子猫を助けようと橋の上から飛び込み死にかけて、高校生の時は踏み切りで立ち往生した車を退かそうとして全身骨折になる。
挙げ句の果ては女の子を助けてトラックに跳ね飛ばされた。
俺はときどき自分を馬鹿だと思う、人には出来る事と出来ない事がある。
それでも体が出てしまう、剣を上段に構え力いっぱいにリュカクに飛びかかる。
頭が真っ白になる、腹部に激痛が走ったのちに俺の体は生暖かいものに包まれる。
体を包む生暖かいものの正体はどうやら俺の血液、血の大半が腹に開いた穴から流れ出ている。
腹の感覚も無くなりだし意識を保つのも困難になってきた。
どうやら俺は死ぬようだ、が、ただ死ぬわけではない。
リュカクの腕に一太刀浴びせた。
意識の薄れる中、腕に傷を負うリュカクの姿を確認した。
「中々やるな人間!」
そう言ってリュカクは腕の血を拭った手を舐める。
「リュオ!この場は見逃してやる」
そう言って飛び立つと、ものすごい勢いで去って行った。
ただの気まぐれか、それとも何か意味があるのか、リュカクは引いていった。
圧倒的にリュカクが有利だったのに。
どうやら俺は死ぬがリュオは助かったようだ。
俺は安心して目を閉じる。
どのくらいの時間が経っただろう、手にあたたかさを感じて俺は目を覚ます。
目を覚ました所はどこかのベットの上、横たわる俺の手をリュオが握ってくれている。
ずっと側にいてくれたのか、看病疲れかリュオは眠っている。
リュカクに折られた片角が痛々しい。
『⁉︎』
何故、俺は生きている?
腹に穴を開けられて死んだ筈、その時の傷だってある。
俺が腹の傷をさすっていると、その気配に気づいたリュオが目を覚ます。
「ライス~~~!」
満面の泣き顔のリュオが俺に抱きついてくる。
そのリュオの手に付いた傷に俺は気がつく、リュカクとの戦いでは、手は傷付かなかった筈だ。
まさか、リュオは俺の為に自分の血を❓
古来から竜の血には不老不死の効果があるとされているが、実際には誰も試したことがない。
人間に竜を狩ることは不可能だし、不老不死を得る為に死んだのでは意味がない。
俺が死ななかったのはリュオが血を与えたからか?
俺は体に異常がないかあちこち見回した。
城壁の上で見張りをしていた時、兵士に聞いた話しでは、『竜徒』たちは竜の血を一滴飲んだだけであの様な怪物になったと言っていた。
ならば俺も怪物になるのか?
今のところ大丈夫のようだが、いつ怪物に変わるかわからない。
かと言ってリュオに文句を言うつもりもない、リュオに助けられていなければ一度は無くなっていた命だ。
体を一通り見回しても異常は見当たらない、それどころか体に力がみなぎっている。
これならば、『竜徒』たちと戦えるかもしれない。
リュカクが引いたことで一度は撤退した『竜徒』たちも、いつ襲ってくるかわからない。
力が欲しい、例え人間をやめてでも!
俺は更なる力を求めてトルン村を目指す。
どのみち俺が手を貸したところでどうにかなるものでもないが、このままでは俺達の命が危ない。
リュオに頼んで飛んで逃げようか?
それをしたら俺は王都に住む大勢の人間を見捨てたことになる。
考えてる時間はなさそうである。
その時、遠くの空に現れた点は、みるみる王都に近づいてきて俺達の上空で止まった。
一目でリュオと同じ竜族とわかる男は俺達を見下ろして言う。
「強い力を感じて来てみれば『リュオ』お前だったのか!」
「一族のはぐれ者が、また人間どもに手を貸すつもりか、それが『禁忌』に触れる事はわかっている筈だ‼︎」
竜族の力は強力すぎるが故に戦いの流れを一変させてしまう、それ故に竜族は他種族に関わる事を禁忌として禁じてきた。
戦場に静寂が走る、『竜徒』たちはこの男の出現に戦いを止めて平伏している。
「それにしても竜を騙る虫けら共もよくやる、まさか王都まで攻め上がるとはな」
あの強い『竜徒』たちを虫けら扱いする竜族の男は一瞬で移動する、俺が男の姿を見失った瞬間、背後に衝撃音と共に男は降り立った。
リュオは先程から小刻みに震えている、どんなに強いモンスターと出会っても恐怖を見せなかったリュオが。
この男の強さはリュオを遥かに凌いでいるのか⁉︎
リュオが消えいるような声で言う、『竜角』(リュカク)兄さん。
どうやらリュオがリュカクと呼ぶ男はリュオと兄妹のようだ。
「リュカク兄さん、どうしてこんな所に?」
リュカクはリュオの言葉を無視すると俺を見て言う。
「リュオ!お前の連れている『それ』は何だ!ペットのつもりか?」
その言葉にリュオが激昂する。
「ライスはペットじゃない‼︎」
「リュオの友達だ‼︎」
リュオがリュカクに飛びかかる。
俺には何が起こったかわからなかった。
次の瞬間、地面に倒れているリュオとリュオを踏みつけているリュカクの姿がそこにあった。
俺に何とか出来るわけがない、それでも俺は挑みかかる。
俺の『勇気』(無謀)と言うスキルが発動した。
小さい頃から発動したこのスキル、小学生の時は、川で溺れている子猫を助けようと橋の上から飛び込み死にかけて、高校生の時は踏み切りで立ち往生した車を退かそうとして全身骨折になる。
挙げ句の果ては女の子を助けてトラックに跳ね飛ばされた。
俺はときどき自分を馬鹿だと思う、人には出来る事と出来ない事がある。
それでも体が出てしまう、剣を上段に構え力いっぱいにリュカクに飛びかかる。
頭が真っ白になる、腹部に激痛が走ったのちに俺の体は生暖かいものに包まれる。
体を包む生暖かいものの正体はどうやら俺の血液、血の大半が腹に開いた穴から流れ出ている。
腹の感覚も無くなりだし意識を保つのも困難になってきた。
どうやら俺は死ぬようだ、が、ただ死ぬわけではない。
リュカクの腕に一太刀浴びせた。
意識の薄れる中、腕に傷を負うリュカクの姿を確認した。
「中々やるな人間!」
そう言ってリュカクは腕の血を拭った手を舐める。
「リュオ!この場は見逃してやる」
そう言って飛び立つと、ものすごい勢いで去って行った。
ただの気まぐれか、それとも何か意味があるのか、リュカクは引いていった。
圧倒的にリュカクが有利だったのに。
どうやら俺は死ぬがリュオは助かったようだ。
俺は安心して目を閉じる。
どのくらいの時間が経っただろう、手にあたたかさを感じて俺は目を覚ます。
目を覚ました所はどこかのベットの上、横たわる俺の手をリュオが握ってくれている。
ずっと側にいてくれたのか、看病疲れかリュオは眠っている。
リュカクに折られた片角が痛々しい。
『⁉︎』
何故、俺は生きている?
腹に穴を開けられて死んだ筈、その時の傷だってある。
俺が腹の傷をさすっていると、その気配に気づいたリュオが目を覚ます。
「ライス~~~!」
満面の泣き顔のリュオが俺に抱きついてくる。
そのリュオの手に付いた傷に俺は気がつく、リュカクとの戦いでは、手は傷付かなかった筈だ。
まさか、リュオは俺の為に自分の血を❓
古来から竜の血には不老不死の効果があるとされているが、実際には誰も試したことがない。
人間に竜を狩ることは不可能だし、不老不死を得る為に死んだのでは意味がない。
俺が死ななかったのはリュオが血を与えたからか?
俺は体に異常がないかあちこち見回した。
城壁の上で見張りをしていた時、兵士に聞いた話しでは、『竜徒』たちは竜の血を一滴飲んだだけであの様な怪物になったと言っていた。
ならば俺も怪物になるのか?
今のところ大丈夫のようだが、いつ怪物に変わるかわからない。
かと言ってリュオに文句を言うつもりもない、リュオに助けられていなければ一度は無くなっていた命だ。
体を一通り見回しても異常は見当たらない、それどころか体に力がみなぎっている。
これならば、『竜徒』たちと戦えるかもしれない。
リュカクが引いたことで一度は撤退した『竜徒』たちも、いつ襲ってくるかわからない。
力が欲しい、例え人間をやめてでも!
俺は更なる力を求めてトルン村を目指す。
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