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第 20話 破壊する者 2
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「各隊、防御態勢を取れ‼︎」
副団長が各隊に指示を出す。
流石、白狼騎士団の精鋭達だ、小山の様な巨体を前に各隊長の指示に従いあっという間に防御陣形に移った。
「盾防御隊!前へ!」
「続いて槍隊!前へ!」
「弓隊!構え!」
三段構えの防御陣形、大型モンスター相手にとる陣形だが、今回の様に、どの様な攻撃をしてくるかわからないモンスターの出方を見るのにも最適な陣形で、防御をとりつつ攻撃にも直ぐに移れる。
しかも、目の前のモンスターとクレーターの関係がわからない以上、迂闊には手を出せない。
俺はいつものように相手を観察する。
人でもモンスターでもかわりなく相手をよく観察すれば分かることがある。
どんな武器を持っている、どんな鎧を身につけている、そこから分かる事は幾つもある。
モンスターも同様で牙は爪は鋭いか、体を覆う外皮は硬そうか、それだけでどの様な攻撃をするか予想でき対応できる。
目の前のモンスターは全長約30メートル、体高8メートルの体に片側3本、計6本の巨木の様な足が生えている。
あの巨体に太い足だ、踏みつけられれば無事では済まないが奴の動きは速くは無いだろう、武器は?巨木の様な足に鋭い爪は生えて無い。
尾は生えているが短く、あれでは吹き飛ばし攻撃はできない、脅威と言えば頭に付いてる2本の角ぐらいか、角による突進攻撃、しかし、動きが遅ければ避けるのは容易い。
今のところ巨体なモンスターだが、それほど脅威では無い。
こちらから仕掛けてみるか?
あの時の俺はそれがどんなに危険な行為か気づく事はなかった。
いつの時代も決断の遅れは命取りに繋がる、俺が攻撃を迷っている間に奴が動いた。
まるで眠けを振り払う様に頭を2度立てに振る。
「弓隊、放て‼︎」
副団長は弓隊に命じた、もちろん、このモンスターに弓攻撃が効くとは思っていない。
この弓攻撃の意味は奴の攻撃の妨害とこちらが次の攻撃に移る為の時間稼ぎ。
案の定、こちらが放った弓は奴の体に届く前に見えない壁に阻まれて全て地面に落ちた。
しかし、この弓による攻撃は無駄ではなかった、奴は見えない壁を張り巡らす瞬間動きを止めるのだ。
こちらが次の攻撃に移れる時間を充分にかせげた。
「弩弓隊!攻撃用意!」
「砲撃隊!準備!」
今回の出陣、モンスターの可能性、特に大型種のモンスターを想定して弩弓隊を同行させると共に万が一に備えて大砲をも2門準備してきている。
この時の俺は何に焦っていたのだろう、相手のモンスターをよく知りもせず決着を急いだ。
砲撃隊の準備完了を待たずに弩弓での攻撃を開始してしまったのだ。
副団長の攻撃開始の合図で奴の四方に分かれて配置された弩弓機から弩弓が勢いよく奴めがけて放たれた。
攻城戦で城壁を破壊するのに使用する弩弓である、当たりさえすれば奴でも無事では済むまい。
放たれた弩弓は先程 矢が弾かれた見えない壁を越え突き進む。
俺の左右に配置された大砲の照準を奴に向けたまま皆、弩弓での攻撃の結果を待つ。
4本の弩弓が奴の体にまさに触れようとした瞬間だ、突然奴が声なき雄叫びをあげた。
その雄叫びは衝撃波となり4本の弩弓を消した後、地面に落ちた矢をも消し去り広がっていく。
「全隊!退避~!」
副団長の号令で皆、衝撃波の範囲内から脱出をはかる。
しかし、衝撃波は森の木々を消し去りながら馬にて逃げる部下たちをも飲み込んでいく。
この力は転移魔法!
転移魔法なのだが、この想像を絶する威力は⁉︎
一度にこれ程の物質を転移させるなど考えられないがこのモンスターは行っている。
転移魔法の使い手は王国の中にも何人かは居る、いずれも高レベルのハイプリーストだ。
その者の力を持ってしてもせいぜい人間2人を転移させるのが精一杯でそれ以上は魔力が保たない。
俺も転移魔法を習得しようと研究した事があり、その過程でキャンセル方法も学習した、結局転移魔法は習得できなかったがキャンセル方法がこんなところで役に立つとは。
俺は最後の力で奴の転移を強制キャンセルして奴をこの空間に固定した。
消えゆく意識の中、監視連絡隊がいる山が衝撃波で消し去られるのが見える、願わくばあの中の誰か1人でも構わないから王都にこの事を伝えてくれ。
そして後の世の者よ、奴のことを伝承として残し対策を考えてほしい。
騎士団長だった頃の俺の魂の記憶。
奴の衝撃波は騎士団を消し、森を消し、山をも消した、地形をも変え全てを破壊する。
故に誰が名付けたか【破壊する者】。
もう2度とあの時な様な思いはしない、皆を守って俺も生き延びる。
副団長が各隊に指示を出す。
流石、白狼騎士団の精鋭達だ、小山の様な巨体を前に各隊長の指示に従いあっという間に防御陣形に移った。
「盾防御隊!前へ!」
「続いて槍隊!前へ!」
「弓隊!構え!」
三段構えの防御陣形、大型モンスター相手にとる陣形だが、今回の様に、どの様な攻撃をしてくるかわからないモンスターの出方を見るのにも最適な陣形で、防御をとりつつ攻撃にも直ぐに移れる。
しかも、目の前のモンスターとクレーターの関係がわからない以上、迂闊には手を出せない。
俺はいつものように相手を観察する。
人でもモンスターでもかわりなく相手をよく観察すれば分かることがある。
どんな武器を持っている、どんな鎧を身につけている、そこから分かる事は幾つもある。
モンスターも同様で牙は爪は鋭いか、体を覆う外皮は硬そうか、それだけでどの様な攻撃をするか予想でき対応できる。
目の前のモンスターは全長約30メートル、体高8メートルの体に片側3本、計6本の巨木の様な足が生えている。
あの巨体に太い足だ、踏みつけられれば無事では済まないが奴の動きは速くは無いだろう、武器は?巨木の様な足に鋭い爪は生えて無い。
尾は生えているが短く、あれでは吹き飛ばし攻撃はできない、脅威と言えば頭に付いてる2本の角ぐらいか、角による突進攻撃、しかし、動きが遅ければ避けるのは容易い。
今のところ巨体なモンスターだが、それほど脅威では無い。
こちらから仕掛けてみるか?
あの時の俺はそれがどんなに危険な行為か気づく事はなかった。
いつの時代も決断の遅れは命取りに繋がる、俺が攻撃を迷っている間に奴が動いた。
まるで眠けを振り払う様に頭を2度立てに振る。
「弓隊、放て‼︎」
副団長は弓隊に命じた、もちろん、このモンスターに弓攻撃が効くとは思っていない。
この弓攻撃の意味は奴の攻撃の妨害とこちらが次の攻撃に移る為の時間稼ぎ。
案の定、こちらが放った弓は奴の体に届く前に見えない壁に阻まれて全て地面に落ちた。
しかし、この弓による攻撃は無駄ではなかった、奴は見えない壁を張り巡らす瞬間動きを止めるのだ。
こちらが次の攻撃に移れる時間を充分にかせげた。
「弩弓隊!攻撃用意!」
「砲撃隊!準備!」
今回の出陣、モンスターの可能性、特に大型種のモンスターを想定して弩弓隊を同行させると共に万が一に備えて大砲をも2門準備してきている。
この時の俺は何に焦っていたのだろう、相手のモンスターをよく知りもせず決着を急いだ。
砲撃隊の準備完了を待たずに弩弓での攻撃を開始してしまったのだ。
副団長の攻撃開始の合図で奴の四方に分かれて配置された弩弓機から弩弓が勢いよく奴めがけて放たれた。
攻城戦で城壁を破壊するのに使用する弩弓である、当たりさえすれば奴でも無事では済むまい。
放たれた弩弓は先程 矢が弾かれた見えない壁を越え突き進む。
俺の左右に配置された大砲の照準を奴に向けたまま皆、弩弓での攻撃の結果を待つ。
4本の弩弓が奴の体にまさに触れようとした瞬間だ、突然奴が声なき雄叫びをあげた。
その雄叫びは衝撃波となり4本の弩弓を消した後、地面に落ちた矢をも消し去り広がっていく。
「全隊!退避~!」
副団長の号令で皆、衝撃波の範囲内から脱出をはかる。
しかし、衝撃波は森の木々を消し去りながら馬にて逃げる部下たちをも飲み込んでいく。
この力は転移魔法!
転移魔法なのだが、この想像を絶する威力は⁉︎
一度にこれ程の物質を転移させるなど考えられないがこのモンスターは行っている。
転移魔法の使い手は王国の中にも何人かは居る、いずれも高レベルのハイプリーストだ。
その者の力を持ってしてもせいぜい人間2人を転移させるのが精一杯でそれ以上は魔力が保たない。
俺も転移魔法を習得しようと研究した事があり、その過程でキャンセル方法も学習した、結局転移魔法は習得できなかったがキャンセル方法がこんなところで役に立つとは。
俺は最後の力で奴の転移を強制キャンセルして奴をこの空間に固定した。
消えゆく意識の中、監視連絡隊がいる山が衝撃波で消し去られるのが見える、願わくばあの中の誰か1人でも構わないから王都にこの事を伝えてくれ。
そして後の世の者よ、奴のことを伝承として残し対策を考えてほしい。
騎士団長だった頃の俺の魂の記憶。
奴の衝撃波は騎士団を消し、森を消し、山をも消した、地形をも変え全てを破壊する。
故に誰が名付けたか【破壊する者】。
もう2度とあの時な様な思いはしない、皆を守って俺も生き延びる。
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