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第 18話 緑の大地 2

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王の承認を得たことで計画は一気に進み出す。

王の意向で国軍は訓練させたいと動員できなかったが、それ以上に国民の皆が動いてくれる。

王城からロフト邸に帰った俺をその場で待っていたリフリーと森の護り手のメンバーは王様以上に俺を質問攻めにした。

俺の返答に森の護り手のメンバーはいちおう納得したようだったがリフリーは最後まで納得せずしばらくの間、気まずい夜を過ごすことになった。

計画が決まった後のロフトの他国に対する動きは早く、直ぐに外務大臣を呼び指示をすると他国からの物資の支援どころか援軍の約束までとりつけた。

緑化計画の指揮は騎士団が取り、花のタネや野菜の苗はギルドを通じて国民に配られ国民はそれを空いてる空き地に植えていった。

森の木は切ることを禁止され、建築資材が高騰したが皆我慢している。

期限は6か月、樹木では間に合わないと皆、花のタネをまき野菜を植え、最終的には雑草でも良いと道の隙間にまで植えていく。

季節は日本に例えると春先、植物には1番良い季節、皆、額に汗して働いてくれている。

国王から各地の領主に対して緑化令が出された時の領主の反対は相当なものだった。

当たり前の事だ、領地の政ごとを放棄して緑を植えろと言われても納得できるはずがない。

国に納める税の免除と不足する物資の供給を条件にロフトが強引に押し切った。

国民としてもモンスターを倒す為に緑を育てろと急に言われても、はいそうですかとは言えない。

王の命令で出陣して、倒せないまでも封印した、封印した場所は禁域とされ軍が硬く守ることとなり、その事は国民には知らされなかった。

そして時は経ち破壊する者の情報は伝説として一部の者のみが知ることになる。

そもそもこの時代の国民は破壊する者の恐怖など何ひとつ知らないのだ。

それでも騎士団やギルドの働きかけのお陰で最初は日常を変えることのなかった人々もいつしか変わっていく。

家に有る植木鉢の数を増やす様な些細なことから始まった変化は街の花壇に移り畑へと広がる頃には人々の生活を一変させていた。

皆、日が登る前に起きギルドに向かう、そして苗を受け取るとそれぞれの場所で誰に言われるまでもなく苗を植える。

その情熱は植物が育たない様な地にも緑を増やしていった。

このモチベーションの高さは6か月と期間が定められていたから保たれたのだろう。

これがずっと続くなどと言われたら皆、投げ出していた。

国民の皆が緑を増やしていた間、俺が何をしていたかと言うと、雪山で遭難していた。

王を説得してロフト邸で質問攻めにあった俺は一旦は領地の家に帰るもビューネイに合わせろとのロフトからの命令にも等しいお願いに負け案内することになる。

しかし、ビューネイは俺の2度目の訪問を良しとしなかった、俺が前に辿った道を何度進んでも暗部の監視同様に吹雪に阻まれ迷わされた。

最初は俺がわざと道に迷ったフリをしているんだろうと疑っていたロフトも自分の身に危険が及ぶとなると早々に引き揚げる。

山を降りた俺は畑を荒らす害獣の駆除から始まり植物を食べる虫の対策、空いた時間には栽培方法の改良とほぼ雑用係に徹していた。

徹していたが自分の領地での野菜作りもおろそかにはしなかった、苦労して整備した水耕栽培の設備だ、このまま使わない手はないし。

破壊する者が居なくなってもこの世界は続いていく、もちろん俺も死ぬつもりはない。

世界が続く以上、みんなにも生活がある、俺の家族のリフリーやキャロ、森の護り手のメンバーも同様だ。

領地の水耕栽培はキャロが頼めば森の護り手のメンバーが喜んで手伝ってくれるはずだから心配ない。

俺は今の自分にできる精一杯の事をしよう、それは何か、融合して間もない2つの魂、それによる違和感を無くして本来の力を取り戻す。

それには戦闘訓練に限る、害獣駆除の雑用係と言ったが、要は畑を荒らすモンスターとの戦闘、やればやる程俺は鍛えられ畑は守られる、正に一石二鳥、俺はモンスターを求めて国中を回った。

焦りがあったのかもしれない、6か月後に下される死刑宣告、俺に融合された騎士団長の魂に刻まれた破壊する者の絶望感、それは時が経つ程に増していく。

鍛えれば鍛えるほど自分を追い詰めていく、それでも時は無常に過ぎ期限の半年が来た。

皆の頑張りのお陰もあり思った以上に緑が増えた、街や村を覆い尽くした緑は大地を覆い王都をも覆う。

その光景はさながら緑の絨毯を敷き詰めた様、緑の絨毯は大陸をも覆う。

皆が作った緑の絨毯を突き進む勇敢なる者、その者は騎士団だったり国軍の兵であり冒険者だった。

それぞれの者には守るべき者があり皆、笑顔で帰ってくることを信じている顔だ。

皆が目指す地は破壊する者封印の地ディマイズ。

誰が名付けたか終焉の地【ディマイズ】



緑の絨毯はディマイズの地まで続く。



その地に今、30万の人々が集った。






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