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ー閃光ー106

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 本当に今さっきのメールの相手に、今の俺は胸が高鳴っている。こんなことは本当にいつぶりなんだろうか。

 いや、雄介といると、確かに胸が常に高鳴りっぱなしなのだが、それでも今の俺は、いつも以上に興奮状態だった。

 もう少しで自分の家の近くに着く、と思ったところで渋滞にハマってしまった。

 そこで大きなため息を吐いてしまうのは、当たり前だろう。

 確かにこの大きな交差点では、毎回渋滞にハマってしまうのだが、目の前にいいことが待っている時というのは、本当に渋滞がイライラする。

 渋滞で思い出すのは、昔はこうやって仕事の帰りに渋滞にハマると、雄介が休みの時には迎えに来てくれたものだ。だが、今はそれもない。

 この交差点を曲がれば、今住んでいるマンションはすぐそこなのに、と思ってしまう。

 やっと車が動き出した。だが、まだ数メートルしか進まない。

 すると、もう一度メールの通知音が鳴る。

 今は渋滞に引っかかっているから、スマホを取り出して、今来たメールを読み始める。

『まだ、なのか?』

 と、たった一言だけのメール。

 しかし、アイツにしては珍しく短文に思える。

 いつもなら、物凄い長文でメールをしてくるのだから。

 でも、この短文からすると、めちゃくちゃ俺の帰宅を待ち望んでいるのがわかる。

 とりあえず、俺も返信する。

『あと少しなんだけど……渋滞に引っかかってさぁ。マジ、もうちょい待ってくれねぇか?』

 と送ると、すぐに返事が返ってくる。

『わかったよ』

 その一言で、メールのやり取りは終わる。

 本当に数メートルしか進まない。でも、確かに仕方がないのだろう。誰だって早く帰りたいのに、この交差点は帰宅する車で一番混む場所でもあるのだから。

 数分経った頃だろうか、俺の車はやっと交差点を抜けることができた。

 そこからはすんなりと進み始める。俺は今住んでいるマンションの地下駐車場へと車を止め、それから急いで自分の家へと向かう。

 鍵を開けた向こう側には、昨日のように賑やかな雰囲気が広がっていた。

 本当に、この家は俺と雄介だけが住んでいたはずなのに、ここ連日は、妙に賑やかな家になっているような気がする。

「ただいまぁー!」

 そう、俺はいつもの癖なのか、それとも訪問者が嬉しくてそう言ってしまったのかはわからないが、思わず明るく言ってしまった。

 すると、部屋の中からは雄介ではなく、

「おかえりー!」

 という声が返ってくる。

 それでも俺は、その声に明るい表情になって部屋へと入って行った。
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