791 / 881
ー閃光ー83
しおりを挟む
さすがにため息が出そうだった。
確かに新城たちには家に来てもらうようにしたのだけど、あからさまに二人でイチャイチャし始めたのだから、俺がため息をついてしまうのは当然のことだろう。
とりあえず、そんな二人を横目に、俺はイライラしながら自分の家へと向かう。
車を駐車場に止め、新城たちと一緒に、このマンションの三階にある自分の家へと向かう。ドアを鍵で開けると、なんだか今日は賑やかな気がするのは気のせいだろうか。
確か、家には雄介しかいないはずだ。
少なくとも、雄介がいると思うのだが、もう一人確実に誰かがいるような気がする。
俺は少し警戒しながら、部屋の奥へ進んで行った。すると、そこにいたのは――
「……美里さん?!」
「あら~……おかえりなさい。お邪魔してますよ」
「あ、こんばんは……えっと……?」
とりあえず、美里だということに安心したが、俺はどうも美里にまだ慣れていないせいか、言葉に詰まってしまった。
「えっと……望さんの反応からすると、『美里さんが俺たちの家に来てるんですか?』って感じですよねぇ?」
「え? あー……まぁ?」
俺は美里の言葉に思わず視線を逸らしてしまう。まさに美里の言う通りだったからだ。
「だって、さすがに私だって、雄ちゃんのことが気になるじゃない? 雄ちゃんは記憶喪失という立派な頭の病気なんですから、家事とか日常的に前のようにできるのか? って言われたら、分からなかったですしね。それに、昼間は記憶のない雄ちゃんが一人でいるのも危ないじゃない?」
「あ……」
そう言われて、俺は思わず納得してしまったかもしれない。
今日の俺は、朝出勤する際に雄介から逃げるようにして出て来たせいもあるが、美里には雄介のことを頼むのはどうかと思っていた。美里のお腹には今、俺たちの子供がいるのだから、無理をさせるわけにはいかない。
「ま、望さんが私にそう簡単に頼れないっていうのは、分かる気がしますけどね。だから私の方から動いたほうがいいかと思いまして……」
「あ……そうだったんですね。あ、ありがとうございます」
どうも俺は本当に美里と話すのが苦手だ。元々口下手なのに、さらに口ごもってしまう。
「それで、今日は望さんの後ろに素敵なお二人がいらっしゃると思うんですけど……お仕事関係の方ですか?」
「あー……あっ!」
美里との会話にテンパってしまい、すっかり新城のことを忘れていたのだ。
確かに新城たちには家に来てもらうようにしたのだけど、あからさまに二人でイチャイチャし始めたのだから、俺がため息をついてしまうのは当然のことだろう。
とりあえず、そんな二人を横目に、俺はイライラしながら自分の家へと向かう。
車を駐車場に止め、新城たちと一緒に、このマンションの三階にある自分の家へと向かう。ドアを鍵で開けると、なんだか今日は賑やかな気がするのは気のせいだろうか。
確か、家には雄介しかいないはずだ。
少なくとも、雄介がいると思うのだが、もう一人確実に誰かがいるような気がする。
俺は少し警戒しながら、部屋の奥へ進んで行った。すると、そこにいたのは――
「……美里さん?!」
「あら~……おかえりなさい。お邪魔してますよ」
「あ、こんばんは……えっと……?」
とりあえず、美里だということに安心したが、俺はどうも美里にまだ慣れていないせいか、言葉に詰まってしまった。
「えっと……望さんの反応からすると、『美里さんが俺たちの家に来てるんですか?』って感じですよねぇ?」
「え? あー……まぁ?」
俺は美里の言葉に思わず視線を逸らしてしまう。まさに美里の言う通りだったからだ。
「だって、さすがに私だって、雄ちゃんのことが気になるじゃない? 雄ちゃんは記憶喪失という立派な頭の病気なんですから、家事とか日常的に前のようにできるのか? って言われたら、分からなかったですしね。それに、昼間は記憶のない雄ちゃんが一人でいるのも危ないじゃない?」
「あ……」
そう言われて、俺は思わず納得してしまったかもしれない。
今日の俺は、朝出勤する際に雄介から逃げるようにして出て来たせいもあるが、美里には雄介のことを頼むのはどうかと思っていた。美里のお腹には今、俺たちの子供がいるのだから、無理をさせるわけにはいかない。
「ま、望さんが私にそう簡単に頼れないっていうのは、分かる気がしますけどね。だから私の方から動いたほうがいいかと思いまして……」
「あ……そうだったんですね。あ、ありがとうございます」
どうも俺は本当に美里と話すのが苦手だ。元々口下手なのに、さらに口ごもってしまう。
「それで、今日は望さんの後ろに素敵なお二人がいらっしゃると思うんですけど……お仕事関係の方ですか?」
「あー……あっ!」
美里との会話にテンパってしまい、すっかり新城のことを忘れていたのだ。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる