上 下
714 / 881

ー閃光ー5

しおりを挟む
 琉斗の方は、その雄介の言葉に目を丸くしていたようにも思える。

 きっと今の雄介の発言がそのまますぎて、びっくりしているのであろう。

 しかし本当に雄介という人間はすごい。

 確かに、俺が雄介に何度も医者になる前に色々と言ったことはあったのだけど、本当に今はちゃんとした医者になってきている気がする。それに雄介の場合には、本当に小児科医というのがお似合いだ。

 元から子供を相手にするのが得意だった雄介なのだが、小児科を選択してからの雄介は、今まで以上に子供に関して強くなったようにも思える。

 それに琉斗と雄介は確かに甥っ子という立場ではあるのだけど、琉斗の方はある意味初めて雄介に相談しに来ているのだから。相談というより愚痴に近いのかもしれないのだが。

「そうそう! 本当にそう! でも、なんで雄介おじさんはお母さんのこと知ってるの?」

 気付いた時には言葉遣いだって、だいぶ崩したような感じになっている琉斗。そこも雄介らしいのかもしれない。それだけ琉斗も雄介に気を許しているということなのだから。

 そして『雄介おじさん』は今も健在らしく、俺はその言葉に心の中でクスクスとしていた。保育園の頃に琉斗に会った時も、雄介のことをそう呼んでいたのを思い出す。まぁ、雄介と琉斗の関係は、叔父さんと甥っ子という関係なのだから、琉斗がそう呼ぶのは当たり前のことなのだけど、やっぱり俺からすると違和感みたいなのはあるのかもしれない。

 しかし子供というのは、本当に分からないことは直球で聞いてくるもんだ。特に琉斗の場合には兄弟がいないのだから、余計に雄介と美里の関係はよく分かっていないのかもしれない。それか美里と雄介の関係は知っているものの、兄弟で小さい頃は一緒に住んでいたということを知らないということなのであろう。

 だからなのか、雄介の方は、ちゃんと琉斗のことを馬鹿にせず、説明を始めたようだ。

「あのな、俺と姉貴の関係っていうのは、兄弟やねんって……だから、今は確かに離れて暮らしておるけど、小さい頃は一緒に住んでおったし、一緒に遊んでおったし、ずっと一緒だったからって言うたら、分かるかな?」
「あ、あー! 兄弟って、そういうことなんだねぇ。俺の友達とかって、兄弟がいない人が多いから、知らなかったんだよね。へぇー、そうなんだ……お母さんと雄介おじさんは兄弟だったんだねぇ。じゃあ、お母さんの性格とかっていうのは、一番分かっているっていうこと?」
「まぁ、そういうことになんねんな……。せやから、姉貴と居ると疲れるっていう琉斗の気持ち、分かるのかもしれへんで……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

少年達は淫らな機械の上で許しを請う

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

処理中です...