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ー未知ー196

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「ぁあ! それと、親としてしっかりしておかないといけないのは、子供の見本にならないといけないと思うねんって……特に約束事とかはな……。 わりとこれについては、子供って敏感やしなぁ……」

 その雄介の言葉に、美里と俺は目を丸くする。

 確かに、子供からしてみたら、親がしてくる約束事に敏感なのかもしれない。

 その約束事が破られれば、子供は親に裏切られたと思うのだから。

 俺もそれは一度経験したことがある。

 俺が小さい頃、親父が一度日本に来ると言っていたはずなのに、結局仕事が入って来れなかったことだ。

 確かにうちの親は忙しいのは分かっていたけど、それでも子供だった俺は久しぶりに親父に会えるのを楽しみにしていた。

 だからこそ、子供っていうのは、親に約束事を破られるのが一番嫌いなんだと思う。

 本当に雄介には、子供を育てる力みたいなのがあるのだろう。

 なんだか、雄介が言う子供の育て方のプレゼンを聞いていると、俺も子育てに関しては雄介に任せたくなってくるほどだ。

 だからなのか、俺も真剣に美里の方へ視線を向けて、手を膝につけて、

「どうか、俺たちのために代理出産について、よろしくお願いします!」

 と言った。

 俺も子育てに関しては雄介に任せたかったからなのかもしれない。

 その言葉に、美里は、

「もう、いいのよ。望さん……大丈夫。雄ちゃんが子供に関してはきちんとしてるみたいだから、私も決意できたからね……それに、雄ちゃんの子供への本気度も伝わってきたし」

 美里はそんな雄介をべた褒めしているようだ。だが雄介の方は、そういうのは苦手なのか、他人に褒められるのに慣れていないのか、照れくさそうにしていた。

 しかし、やっぱり雄介っていうのは、すごいと思う。普段はわりと平和主義みたいでのほほんとしているような人物なのだが、本当にいざという時には、やってくれるという感じなのだから。

 そういや、一昔前に、ハイジャックがあって、その時だって、ある意味、何もないのに一人で犯人に立ち向かっていたこともある。

 それを思い出し、美里に語り始める俺。

「え? そうなの!? あ、あー……え? あの、ハイジャックされた飛行機の中で、雄ちゃんが……え? みんなのことを助けたってこと?!」

 あの当時はテレビでそのハイジャックのニュースは流れていたのかもしれないが、雄介がどういう風に乗客を助けたっていうところまでは知らないだろう。だから俺はあの時のことを美里に話したのだ。

 案の定、驚きを見せる美里。
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