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ー未知ー181

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「……正直、望がそこまで考えていたなんて思わなかったわ……。ちょうど、俺もそのことについて考えていたところだしな」

 そこで雄介は一旦間を置くと、

「ホンマ、今の時代っていうのは、ちょっと前に叱らない子育てとかが流行ったからなのか、ホンマ、そういう親が増えてきたっていうんかな? それに、俺たちが小さい頃っていうのは、クレーマー的な親たちが増えてきたりした時期だったしなぁ。簡単に言えば、逆ギレしてくる親たちが増えてきたから、そんな親たちを見てきた子供たちが今、親の世代になっているし、だから、世の中がいい方に変わっていかないんだと思うで……。ほんでもって、外で子供を叱れば、虐待って言われるし、ホンマ、どこまで子供のことを叱ってええんか? っていう加減っていうのが分からないもんやしな。俺の方はむっちゃ親に叱られて育ったから、やっちゃいけないこと、やっていいこと、そこはちゃんと分かってるっていうんかな?」
「まぁな……そこは、分かるような気がする。だから、俺たちの子供はちゃんと叱るところは叱っていこうな」
「ま、そういうことやんね。ほんで、愛情持って育てれば、ちゃんと親が言ってることも分かってくれるし、子供も答えてくれるんやと思うで……。だって、俺だって、親のことはあんま好きじゃないけど、大事にしたいとは思うからな」
「クス……それは、俺の方も分かるような気がするわ。確かに、親はちょっとウザいとかって思うけどさ、でも、やっぱ、自分の親なんだから、長生きしてほしいとは思うしな」

 なんだかこういう平和そうな会話をしたのも久しぶりなのかもしれない。

 家だとテレビとか何か他の物にも目が行ってしまうのだが、こういうお店だと他に気を散らすものがないからなのか、話に集中できるのは気のせいだろうか。

 そこで一旦俺たちの会話が途切れると、

「ほな、そろそろ、飯食ってから家に帰って、姉貴が来る準備しようか?」

 と雄介は体勢をまったりモードから普通のモードへと変えたようで、若干崩れていた姿勢を正し、メニュー表を開く。

「さっき、食べたばかりなのに食うのか?」
「『腹が減っては戦はできぬ』って言うもんやろ?」
「あー、確かに……」

 そこは変に納得してしまった俺。

 確かに、今の俺たちには、まさにその通りなのかもしれない。

 それに午後一時から話し合いが始まって、何時に終わるのかさえも分からないのだから、今食べておかないと次いつ食べられるのかが分からないからだ。

 俺も、雄介同様にメニュー表を開く。
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