上 下
584 / 788

ー未知ー78

しおりを挟む
「も、もう、大丈夫か?」

 何だか急に雄介が俺の方へと顔を上げて来てまでそう聞いて来た。

 そんな雄介からの質問に俺の方も気持ち的に顔を上げる。 そして目を見開きながら雄介の事を見つめ、

「……へ?」

 と言ってしまっていた。

 すると視線が合ってしまった俺達。 その瞬間、俺の心臓が気持ち的に跳ねたのが分かった。 そんな俺に雄介の方は笑顔のままだ。

 本当にあの笑顔に俺の方はいつも救われているような気がする。 本当に雄介という人物は俺に対しては常に笑顔のような気がするからだ。

「やっぱ、望じゃ、それだけじゃ、通じんかったか……」

 そう半分は独り言のように呟くと、雄介は今度ちゃんと俺の方に向けて、

「もう、挿れても大丈夫か?」

 そう今度はストレートに聞いてくる雄介。

 確かにもう雄介だったら、ストレートに聞いてきても怒るなんてことはしないのだけど、流石に俺だってそんなにストレートに聞かれてしまうと恥ずかしくなって来る。

 だからなのか俺の方は雄介から視線を離して、顔を赤くしながら、

「あー、そこは、もう、雄介がいいって思うんだったら、いいんじゃねぇのか?」

 そうちょっとそこは自信なさげに答える俺。

「そっか……」

 その雄介の答え方に何だか残念そうに聞こえるのは気のせいであろうか。

 そんな雄介に今度は俺の方が心配になってしまい、半身を起こすと真剣に俺は雄介の顔を見つめるのだ。

「何でだよ……何で、そんな残念そうに答えるんだよ……」

 俺の方は雄介が逃げないようにと両腕まで掴んで雄介の事を見つめるのだった。

「え? あー……」

 きっと雄介の中で俺がこんな風に責めて来るとは思ってなかったのかもしれない。 そう寧ろ雄介の方が、俺の今の行動に戸惑っているようにも思えるのだから。

 そう俺の場合には、本当にこういう行為に関して確かに今まで逃げて来た。 だけど今はもう逃げるなんて事はしない。 雄介と婚約寸前まで来てるのだから、本気で話し合いをするもんなのであろう。 と思っているからだ。

 恋人だった時には、相手と合わないと思えば、特に話し合う必要っていうのは無く、合わなければ別れればいいだけの話なのであろうが、今の俺たちっていうのは婚約までしている状態なのだから、もう結婚は秒読み状態。 なら、そこはもう真剣に話合わないといけないだろう。 寧ろ一番本音で話し合う事が出来る位の相手なのだから。

「あ、いや……そういう意味じゃなくてな……」

 そう俺から視線を離してまで答える雄介。 それはある意味、どっちなのであろうか。

 まさか俺がここまで真剣に話そうとするとは思ってなくて困っている状態なのか、この話から話を逸らそうとしているのであろうか。 その二点だろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?

望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。 ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。 転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを―― そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。 その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。 ――そして、セイフィーラは見てしまった。 目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を―― ※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。 ※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)

ついで姫の本気

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
国の間で二組の婚約が結ばれた。 一方は王太子と王女の婚約。 もう一方は王太子の親友の高位貴族と王女と仲の良い下位貴族の娘のもので……。 綺麗な話を書いていた反動でできたお話なので救いなし。 ハッピーな終わり方ではありません(多分)。 ※4/7 完結しました。 ざまぁのみの暗い話の予定でしたが、読者様に励まされ闇精神が復活。 救いのあるラストになっております。 短いです。全三話くらいの予定です。 ↑3/31 見通しが甘くてすみません。ちょっとだけのびます。 4/6 9話目 わかりにくいと思われる部分に少し文を加えました。

三十路AV女優、青春始めていいですか?

江多 煙
恋愛
今まで良いことなしのAV女優、 足路ゆりこと白川遊理子(しらかわゆりこ)は 三十路の秋に青春をする⁉︎ 現代のシンデレラをご覧ください。

不器用な君は、今日も甘い。

四十九院紙縞
BL
恥ずかしがり屋で遠回りしがちな小説家・詩村三久と、鈍感気味な優等生系サラリーマン・黒木椿季の、緩やかに進む関係と日常の話。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

【完結】美貌のオメガは正体を隠す

竜鳴躍
BL
蜂谷蜜璃は奨学金で有名国立大学の法学部に通う3年生で地味子である。 ガンガン高級高品質の抑制剤を飲みまくりベータのふりをしているが、本当はハニーという名の売れっ子風俗嬢(処女)だった。 秘密にしていた2重生活が同級生にバレてしまい………。 実家にざまああります。 ※司法試験合格~のスケジュールを間違えていたので、各話修正しました。

【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453 の続きです。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

処理中です...