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ー未知ー13
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「あ、ああ……おう……」
やっと口に出来た言葉というのは、返事ぐらいなもので、とりあえず雄介に言われた通りにスマホを雄介に渡すのだ。
とりあえず暗証番号までは押しておいたのだから、後は、雄介が親父に電話してくれるということだろう。
俺の方はそんな雄介に軽く息を吐くと、既にコール音が聞こえてきた。 何回かのコール音の後に聞こえてきたのは、親父の声だ。 そりゃ、他の人の声が聞こえてきたら怖いけど、でも何でか変に安心してしまったのは気のせいであろうか。
『もしもし? 望かい? また、急にどうしたんだい?』
そういつもの親父の声にも何故か俺の方は安心してしまったようにも思える。
「あ、えーと……」
と俺が悩んでいる風にしていると、雄介がジェスチャーで俺に向けて静止を求め、俺の方は仕方なくその雄介のサインで言葉を止めるのだ。
そして首を傾げていると、雄介が軽く咳払いをし、
「望のお父さんにお願いがあって、今日は電話したんですけど……」
と美里さんの時とは違い、いつも以上に真剣な声色で、しかもさっき美里さんに注意を受けていた言葉遣いさえも難なくクリアしている雄介だ。
俺の方はそこに目をパチクリとさせていると、雄介の方はこう何無く話し始める。
「今回、望のお父さんに電話したのは、望のお父さんも知っておられるかと思いますが、世間では、同性同士でも結婚できるということになりましたので、長年望と付き合って来た私からしたら、この度、望と結婚したく、お電話した次第です」
そこで頭を下げる雄介。
そう今は電話だけをしているのだから、ビデオカメラモードになってるわけではなく、何でか相手に姿が見えていないのにも関わらず、人間というのは頭を下げてしまうのは何でなのであろうか。 とりあえずそこはいいとして、しかし雄介がそこまで真剣に親父に言うとは思ってなかった事なのかもしれない。
本当に雄介は俺と真剣に結婚したいという事がビリビリと伝わって来るような言葉と声色だ。 だからなのか再び俺の鼓動が早くなって来ているような気がする。
何でか俺の方が緊張で生唾を飲んでしまっているような気がするのは気のせいであろうか。 しかし親父の答えが本当に遅い。 いや、時間にしてみたらたった数秒なのかもしれないけど、今はそんな時間さえも長く感じてしまう程だ。
周りは全く静かな空間な筈なのに、時間を刻む音と鼓動の音とでうるさく感じる。
とそんな時、口を開いたのは雄介だ。
「また、キチンとご挨拶をしに行く為に、時間を取らせて頂く為にも電話をした次第です」
本当に本当に雄介の方はこういう事にもキチンとしているのかもしれない。 本当にこんな雄介を見たのは初めてなのだから。
やっと口に出来た言葉というのは、返事ぐらいなもので、とりあえず雄介に言われた通りにスマホを雄介に渡すのだ。
とりあえず暗証番号までは押しておいたのだから、後は、雄介が親父に電話してくれるということだろう。
俺の方はそんな雄介に軽く息を吐くと、既にコール音が聞こえてきた。 何回かのコール音の後に聞こえてきたのは、親父の声だ。 そりゃ、他の人の声が聞こえてきたら怖いけど、でも何でか変に安心してしまったのは気のせいであろうか。
『もしもし? 望かい? また、急にどうしたんだい?』
そういつもの親父の声にも何故か俺の方は安心してしまったようにも思える。
「あ、えーと……」
と俺が悩んでいる風にしていると、雄介がジェスチャーで俺に向けて静止を求め、俺の方は仕方なくその雄介のサインで言葉を止めるのだ。
そして首を傾げていると、雄介が軽く咳払いをし、
「望のお父さんにお願いがあって、今日は電話したんですけど……」
と美里さんの時とは違い、いつも以上に真剣な声色で、しかもさっき美里さんに注意を受けていた言葉遣いさえも難なくクリアしている雄介だ。
俺の方はそこに目をパチクリとさせていると、雄介の方はこう何無く話し始める。
「今回、望のお父さんに電話したのは、望のお父さんも知っておられるかと思いますが、世間では、同性同士でも結婚できるということになりましたので、長年望と付き合って来た私からしたら、この度、望と結婚したく、お電話した次第です」
そこで頭を下げる雄介。
そう今は電話だけをしているのだから、ビデオカメラモードになってるわけではなく、何でか相手に姿が見えていないのにも関わらず、人間というのは頭を下げてしまうのは何でなのであろうか。 とりあえずそこはいいとして、しかし雄介がそこまで真剣に親父に言うとは思ってなかった事なのかもしれない。
本当に雄介は俺と真剣に結婚したいという事がビリビリと伝わって来るような言葉と声色だ。 だからなのか再び俺の鼓動が早くなって来ているような気がする。
何でか俺の方が緊張で生唾を飲んでしまっているような気がするのは気のせいであろうか。 しかし親父の答えが本当に遅い。 いや、時間にしてみたらたった数秒なのかもしれないけど、今はそんな時間さえも長く感じてしまう程だ。
周りは全く静かな空間な筈なのに、時間を刻む音と鼓動の音とでうるさく感じる。
とそんな時、口を開いたのは雄介だ。
「また、キチンとご挨拶をしに行く為に、時間を取らせて頂く為にも電話をした次第です」
本当に本当に雄介の方はこういう事にもキチンとしているのかもしれない。 本当にこんな雄介を見たのは初めてなのだから。
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