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ー至福ー173

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「そうですねぇ……」

 と裕実が会話に参加して来てくれる。

「では、たまには僕が望さんと組むっていうのはどうですか?」
「ん? え? 裕実と俺とでか?」

 その珍しい提案に俺の方は気持ち的に首を傾げながら言うのだ。

「だって、僕、望さんとあまり組んで仕事した事が無いので、春坂に行く前に組んでみたかったんですものー」
「あ、ああ! そういう事なっ!」

 そこに変に納得してしまった俺。

 全然俺的には裕実と組んでも構わなかったからなのかもしれない。 それにそう言われてみれば、裕実とは一回も組んで仕事をしてなかったのだからと思ったのだが、春坂にいる頃に、一回、実琴が来た時にだっただろうか、その時に一度だけ裕実と組んだだけだ。

 それでもたまには裕実と仕事をしてみたかったし、俺の方は承諾をする。

「じゃあ、午後からは裕実と俺とで仕事して、和也の方は雄介の面倒見ててくれよな。 それと、家事の方も宜しくー!」
「裕実がそうしたいんだったら、俺の方は構わねぇよ。 そうだな、その間、俺の方は雄介の面倒を見たり、家事したりしますかぁー!」

 そう言うと和也は立ち上がり、食器をキッチンへと運んでいくのだった。 そしてそこで食器を洗い始める。

「じゃあ、俺達の方は診療所の方に行こうか?」

 まだ全然診察時間まであるのだけど、俺と裕実は診療所の方へと向かうのだった。

 本当に裕実と俺とで組むのは、実琴が新人として入って来た以来だろう。 あの時、初めて俺の方は裕実と組んだのだけど、本当に問題なかったようにも思える。 そう和也並に仕事が早いからだ。

 初めの頃はドジばっかしていた裕実だったのだけど、和也に告白されてからは、本当にドジではなくなったようにも思える。

 そういつか裕実は言っていた。

 わざとドジっ子を演出していたんだという事を。

 それは自分の方に和也が振り向いてくれる為とも言っていた筈だ。

 そこまでして裕実は和也に振り向いて欲しかったという事なのであろう。 だからなのか、二人は今もラブラブで親父と俺との夢を叶えてくれた人物でもあるのだから。

 ホント、裕実は真面目な性格だ。

 診療所に来てからは直ぐに掃除を始めて、本当に俺の周りでくるくると動き回っているのだから。

 あっちに行ったと思ったら、こっちに行って背後に通ったと思ったら、また遠くに行ったりとしている。

 俺の方が電子カルテだけを見てるだけというのが悪いと思えてくる位なのだから。

 だけど俺からしてみたら、今はそれしかやる事が無いのだから仕方がない事だろう。

 しかし雄介の事が若干気になる所だ。
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