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ー至福ー121

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「ま、とりあえずは考えている事を整理してから行動するか?」

 俺からしても、これだけはちゃんと整理してからでないと行動出来ないような気がするからだ。

「先ずは、俺から姉貴に電話して、聞いてみる事にするわぁ……ほんで、とりあえず、姉貴に了承を得ないとダメやろうしな」
「ま、確かに、そうだよなぁ。 先ず、雄介のお姉さんに聞いてみないと色々な事、先に進む事が出来ないしさ……」

 その雄介の言葉に賛成しているのは和也だ。

 こういう話の時っていうのは、雄介と和也がメインになって来る。 だけど、この話だけは俺も参加しないとならないだろう。

「今日は、とりあえず休みなんだし、昨日、雄介のお姉さんとは話したばっかだけど、これについては今日決めたばかりだし、そこは仕方ねぇよな?」

 とりあえず俺も会話に参加する。 何だか和也と雄介だけでは何か違うような気がするからだ。 寧ろ、俺はこの話に参加しないとダメだろう。

「え? あ、まぁな……」

 やはり雄介の方は和也も居る中で、俺が参加して来た事に驚いているのか、さっきまで顔を俯けていた筈なのに目を丸くしてまで顔を俺の方へと向けていたのだから。

「なら、雄介……お前のお姉さんに頼む!」

 そう言って俺の方は雄介に向かって真剣に頭を下げるのだ。

 こんな事、今まで一度もした事がなかったのかもしれないのだが、今回の話については俺の方も真剣だ。 だからこうやって雄介に頭を下げたのだから。

「そやな……望までもそんなに真剣に頼んでくれるんやったら、俺の方も誠意を見せなぁアカンよな……。 ほんなら、待っておって、今から俺が姉貴に電話するしな」

 そう言って雄介は何処かに行かずにその場で美里に電話をするようだ。 それだけ雄介もこの事については真剣なのであろう。

 雄介が美里に電話を掛けると、雄介は敢えてみんなに聞こえるようにスピーカーにしたのか、コール音だけは今は部屋内を支配していた。 何回かのコール音の後、受話器からは女性の声が聞こえて来る。

『あら? 雄ちゃんから電話してくるなんて珍しいわね。 で、今日は何の話なのかしら? 雄ちゃんってよっぽどじゃ無い限りは私に電話して来ないのだから、雄ちゃんからしてみたらよっぽどの事なのでしょうね? あ! そうか! 吉良先生と真面目に結婚する気になったから、結婚式に呼んでくれるっていう事なのかしらね?』

 美里は俺達にガンガンと話を勧めて来る。 何だか、雄介が美里と話がしたくない理由が分かった瞬間なのかもしれない。 だけど今日はいつも美里と話をするとめんどくさそうな表情をしている雄介なのに、今日は、それとは逆で、

「あのな……姉貴にお願い事があるんやけど……」

 今日の雄介っていうのは、美里と話をしているのにも関わらず、気持ち的に丁寧な感じで話をしているのは気のせいであろうか。
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