上 下
384 / 881

ー至福ー103

しおりを挟む
 それでも俺の方は雄介の事を直視する事は出来ずに、完全に雄介とは反対側を向いて体を洗い始める。

 それでも俺の鼓動というのは波打ち始めていた。

 流石に雄介とお風呂に入るのは未だに緊張しているようだ。

 確かに俺的には全然雄介の事は好きだ。 だが、緊張とは違うような気がするのだから鼓動が波打っているという事だろう。 そして俺の方は緊張している為か黙ったままだった。

 とそんな時、背中越しに雄介が、

「ホンマ、今日は和也達も真剣に結婚について話するんやろうな? でもな、もし、和也達が結婚はしないっていう事になったら、別れてまうんやろうか?」
「……へ?」

 俺の方は雄介のその一言で、雄介の事を見上げる。

「流石に、あの二人が別れる訳ないんじゃねぇのか?」
「ま、そうやと思うねんけどなぁ。 それは、もしもっていう話でさ……」

 何だか雄介の様子が少しおかしいような気がする。

 こう雄介の性格上、ネガティブな発言というのはしないからだ。

 そこに首を傾げながらも、体等を洗い終えた俺達はお風呂から上がる。 そして二階へと上がり今日の体を休める為にベッドへと横になる。

 本当にこの島に来てからっていうのは、自然の音しか聞こえて来ない。 それが人間からしてみたら心地いいのか、いつに間にか眠りの中へと吸い込まれて行く感覚がある。

 俺はそんな自然に浸りながらボッーとしていると、

「ホンマ、俺達が結婚出来るような事になるなんて思ってもみなかった事やんなぁ。 過去の俺達に教えて上げたい位やわぁ……」

 そんな雄介の発言に俺の方はクスリとし、

「まぁ、そうだよなぁ。 もし、タイムマシンみたいなのがあって、それを、過去の俺達に言う事が出来たら、どんな反応するんだろうな。 って、雄介だったら、どんな時代の俺達に、そんな事を伝えたいんだ?」
「……あ、そうやんなぁ? 一番最初の俺達になんかな?」
「そんな俺達に言ってしまったら、絶対に俺が、『そんな訳ねぇだろ? 俺達が結婚なんてする訳ないじゃねぇか』って言ってツンっていう態度取るんじゃねぇのかな?」

 その俺の言葉に雄介はプッと吹き出してしまっていた。 きっと雄介からしてみたら、今俺が言った台詞がまんまだっていう事でなんであろう。

「確かに、それ、ホンマに望やったら言いそうやわぁー。 って、望……記憶の方、大分戻って来たんと違うの?」

 そう急に興奮気味に雄介はそう言って来て、今まで天井の方に視線を向けて話をしていた雄介だったのだけど、それを横向きにさせて言って来る。 しかし本当に俺と雄介の距離というのは、こんなにも近くなったのかと思う位の距離感だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

少年達は淫らな機械の上で許しを請う

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...