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ー至福ー92

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「ま、そうなんやろなぁ。 それに、望は俺とより和也と居る方がホンマは長いんやしな」

 そう言われて、気付いたというのか忘れていたような気がする。

 そうだ。 雄介の言う通り、俺は雄介より和也といる時間の方が長かったんだ。 と改めて思い出せたような気がするからだ。

「まぁな。 でも、和也と俺は確かにいる時間っていうのは長いのかもしれねぇけど、でも、俺的には雄介といる時間の方が長いような気がするんだよなぁ」
「そっか……確かに、時間的には、和也の方が一緒にいる時間っていうのは長いのかもしれへんけど、望はそういう事を言いたいんじゃなくて、俺との大事な時間の方が長かったって言いたいんかな?」
「ん? まぁ、そういう事だな」

 雄介のその答えに納得する俺。 いや満足もしているのかもしれない。

 本当に俺だって雄介の事が好きだ。 だから悪いけど和也よりかは雄介の方が上の方がいいのだから。

「ほなら、そろそろ、名残惜しい所やけど、夕飯の準備しないとな」
「え? あ、そうだな……」

 本当に雄介の言う通り今日は本当に雄介と離れるのが名残惜しい所だ。 確かに俺達というのは一緒に暮らしているのだから、名残惜しいと思うのは変な事なのかもしれないけど、そこはきっと和也達がいるからであろう。 そう俺が和也達が居る前では絶対的に雄介に甘えないからなのかもしれない。 だけど今更和也達の前で雄介の前で甘える事は出来ないだろう。 これがもし和也の居る前でも俺が雄介に甘えていたのなら名残惜しいとは思ってなかったのかもしれないのだが。

 雄介は俺から離れ私服へと着替え始める。

 とりあえずは今日は診療所の方に患者さんが来てない事に安堵し、二人だけの甘い時間というのは終了となってしまった。

 俺の方ももうスイッチを入れ替えて、私服へと着替える。

 雄介は着替え終えると、俺の方へと顔を向けて本当の笑顔で、

「これで、俺達の方は結婚の話は固まったって事でええよな?」

 その雄介の言葉に、微笑み、首をゆっくりと縦に振る俺。

 そして自分達の部屋のドアを開けると雄介はいつも以上にリズム良く階段を降りて行くのだ。 きっと今の雄介は本来だったらスキップでもしたい位舞い上がっているのかもしれない。 実際、俺だってそうなのだから雄介の方もそうなのであろう。

 下へと降りて行くと、和也と裕実はソファでテレビを見ていたらしい。

「なんだ、お前等ずっとそこに居たのか?」
「だってさ、雄介達は話合う為に部屋へと行ったんだろ? ならさ、もしもっていう時の為に俺達の方は待機してないとならないじゃんか……」

 ま、確かに和也の言う通りだ。 そこに納得した俺は、とりあえず何処に座るか迷っていた。
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