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ー鼓動ー277

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 そんな事を考えているとリビングに通じるドア開く。 ドアと言ってもここのドアは引き戸だ。

 いつも気にしない俺だけど今日は気になってしまったというのか久しぶりに和也達に会うのだから、せめて挨拶位はしないとと思ったのか顔を上げていた。

「おっ! 雄介達帰っていたのか?」

 と最初に声を掛けて来たのは和也だ。

「おうっ! 一週間っていう約束やったやろ?」
「ま、確かにそうだけどな……で、ここに戻って来たって事は雄介の方は大丈夫だったって事なんだよな?」
「ま、そういう事だな」

 そう俺の方が返事をするのだ。

「なら、良かったじゃねぇか」

 そう言って和也は俺の近くへと腰を下ろして来た。

「……って、和也……服に着替えて来いよ」
「え? あ、そうだったな……ま、服に着替えて来たら……お土産話しでも聞いてやるよ」
「……って、なんだよそれー!」

 と突っ込みながらも和也の方は家と診療所の間にあるロッカールームへと向かうのだった。

 いや朔望や裕実達もだ。

 そんな和也達に俺は微笑む。

 だって、いつもと変わらない感じで安心したっていう所だからだ。

 いや、たった一週間で何かが変わるって訳じゃないけど……ここに戻って来ていつもと変わらない感じが安心出来たのかもしれない。

 そして和也達は私服に着替えて戻って来る。

 雄介がまだ夕飯の用意をしている事に気付いたのか朔望達は俺が居るソファへと座るのだ。

「……で、久しぶりの東京はどうだったんだ?」

 と俺に話し掛けてくる和也。

 確かにお土産話しを聞くとは言っていたのだけど、俺に振られても……って感じだ。

 だって俺は元から話は上手くない。 だから俺に振られても困ると言えば困ってしまうのだから。

「別に、何も……」
「……って事はやっぱ、何かしてきたのか?」
「そ、そんな事はねぇからっ!」

 と少し焦り気味で答えてしまった俺。

「やばいっ!」と思ってしまった時には後の祭りだろう。

 和也の方に顔を向けるとやはりと言ってもおかしくはない。 ニヤニヤとしてこっちを見ていたのだから。
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